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評価内訳
2020/09/28 01:23
投稿元:
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作品紹介を読むと、ガス中毒死による死が事故か自殺か、それとも他殺か、という謎を解き明かしていくものかと思える。 主要な登場人物は、主人と妾、二人の間の子、その家庭教師、三人の女中の7人である。 捜査に当たる刑事と、一人の女中の語りが交差し、少しずつ事実が明らかになっていき、全体は起、承、転、結と進んでいく。 真相は一応明らかになるが、死亡した妾(おくさま)の人物像が、どれだけ彼女と関わりのあった各人から語られても、明確に焦点を結ぶことはないので、わだかまるものが残る。 本作は語り体であり、作者の文章は決して分かりづらいものではないのだが、特に女中の語りは、物事からちょっと引いたスタンスからの冷たい視点を窺わせるもので、作者は一種独特な雰囲気を醸し出して描いている。その雰囲気に酔いしれながら読んでいくのが楽しいのではないだろうか。
2021/09/08 09:32
怪死があり、警察の捜査も(意外? な真相も)あるのだが、ミステリと言うより、風俗小説の味わい。捜査のディテールも、事件に巻き込まれた人々の心理の機微も、社会派よりもリアルに描写される。ミステリとして読めば、不満も出るが、こう言う物だと思って読めば、案外楽しいかも知れない。