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凄まじい作品を読ませていただきました。
芸術、恋情、人の裏表。
読み終えた今も押し寄せる登場人物の感情の波に押し寄せられそう。
読むことができたことが幸いと思う作品でした。
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戦国時代のあらゆるifを紡げる木下さん、こんな角度もお持ちなのか。。“通好みの安土桃山エログロ傾奇ファンタジー”というかんじ。三英傑すべてにダメージを与える邦之介、、いやダメージではないのかな。その正体もだれもが知るところの人物で。うーん。こういう仮説を生み出せるってとこがまずスゴイ。
これは映像化は難しいだろうなあ。脳内に描くのですら、邦之介が見ている色を想像するのも、能の躰捌きをイメージするにも、読み手側に器が要求されて、読み手としての力不足を感じてしまった。にしても、有名な鶴の汁の場面とか、光秀の饗応失態は実は。。みたいなのも、今更なかなか手をつけにくい場面に斬新に斬り込んでるよなあ。歌舞伎の舞台の脚本のようでもあった。
名古屋山三郎と不破万作がでてきたから、浅香庄次郎も期待してしまった。黄素妙論とかも、なかなか、教科書には載らない安土桃山文化みたいなところを突いていて、渋い。蜷川実花さん撮影で、イメージフォトブック出してほしい。史実マニアには叩かれそうな筋ではあるけど、美しきグレーの、いや“絹鼠”の世界。妄想に乾杯。
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語彙があれだが,すごい話だった。ネットや本の帯の情報で話を想像してたけど,それが合っている・違っているということではなく,話のスケールが想像よりもはるかに大きかった。
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う~ん、これは評価が難しい。思ってたのと違って面白いという部分と、思ってたのと違ってガッカリという部分が混ざりあって何とも言えない読後感。
織田信長、森乱(蘭丸)、明智光秀、梅若太夫、千宗易(利休)、豊臣秀次、不破万作、豊臣秀吉、徳川家康…様々な武将や武士や芸能者たちがある者に惑わされ心を揺さぶられやがて破滅へ追いやられていく。その者の名は…加賀邦ノ介。
武士の衆道の世界がベースにあるのだが、第一章、第二章では単なる恋情や芸道の上での嫉妬にかられて…というよくある話。主従や立場の違いを超えた『一対一』の関係、『たがいの心と体を共有し、一心同体になること』という、死線を共にする武士ならではの、なかなか理解し難い衆道の関係をどう描くのかとワクワクしていた私としては興ざめしてしまった。
光秀が饗応役を解かれた宴席での失敗、その夜の梅若太夫の舞の失敗、他にも様々な事件の裏にこんな事情があったとしたら…という設定は面白い。
ただ底知れなさで言えば邦ノ介より格段に上と思われる信長がアッサリと本能寺で追い詰められたり、何でも調べ尽くしどこまでも手を伸ばしてくる厭らしい光秀がこれまたアッサリと本能寺後に果てたりと、このチグハグさに不満が残る。
人を惑わし掻き乱し、表の顔を無残に剥がされ、ひた隠しにしていた心の底をさらけ出した時…その時を見たいという邦ノ介は一体何を目的に生きているのか。それもまた芸の道なのか。
ところが第三章の千宗易の話ではすこし趣を変える。茶の湯を通じて『日ノ本由来の美と芸術』を守ろうとする千宗易とそれを乱す邦ノ介という構図が描かれる。
そして人を惑わし掻き乱し、やがて破滅へと導く邦ノ介もまた何かを切実に求めていることが分かって来る。
しかし第四章になるとまたちょっと趣が変わっていく。
参考文献のタイトルすら隠してネタバレを避けようとした木下さんの思いを汲んでこれ以上は書かないが、そういう話だったかという、思ってたのと違う感が大きくなってガッカリしてしまった。
第五章も途中まではガッカリしながら読んでいて、でも最終章だしここまで来たからには結末まで見守ろうと読み進めていった。途中『宇喜多の捨て嫁』との絡みが少しだけあったのは木下さんのファンサービスか?
歴史上は成功者である家康が邦ノ介によってどう痛め付けられるのかというのは興味があった。すると…なるほど、こういうことかと。
とは言え「おおっ!」という程の感心はなく、かと言ってふ~ん、という醒めた思いもなく。読み終えて一晩経った今も印象は微妙なまま。
邦ノ介が何故これほどまでに武士の衆道の世界を覗きたがったのか、その答えは最終章で示されるのだが、邦ノ介がやりたかったことと衆道の世界はイコールになっているのか?と言えば甚だ疑問。
身分も立場も敵味方すら超越し互いと一心同体になるという衆道と、邦ノ介が最終的にやったことは真逆じゃないか?
『絹鼠』色…これも流行りの多様性か?
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妖艶な芸能の徒が安土桃山時代を動かしていく歴史小説。
同時代を描いた大河ドラマ「麒麟がくる」が終わったので読みました。
著者の作品はマイナーな実在人物を取り扱うので勉強になります。
森仙千代(忠政)、簗田河内守に始まり、梅若太夫、瀬田掃部、蒔田淡路守、波多野図書、陶義清、不破万作、井戸宇衛門、名古屋山三郎と盛りだくさんです。
大河ドラマで描かれなかった丹波八上攻めが描かれていてよかったです。
物語として、はじめはTVでは描けないような念友(衆道)の話かと思いましたが、一人の人物が歴史の大きな事件に関与する伝奇ものとも取れました。
しかし、主人公の正体がわかった後の最終章で多様性を守る人の物語と受け取りました。
また、最終章は伏線回収章になっていて、宇喜多系の物語の登場人物も多く出てきたり、前章までの登場人物たちが江戸初期の事件に絡むのも、ものすごい構成計算されていると思いました。
参考文献に著者名だけで文献名を載せないほど、主人公の正体のネタバレを著者が回避したいようですが、この時代は歴史上出ている顔以外は不明な人が多いので、作者も想像のし甲斐があると思います。
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あっと驚くというか、なるほどそうきましたかという仕掛けもあるのだけど、そもそもなんの話だろうという、分からなさしか残らなかった。もっとストレートな設定の作品が読みたいんだけどと思いつつ。
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兄妹よ、精々あがくがいいさ。所詮は憂世だ。この世ほどの地獄はない。業や性を愛で育み、畜生道の果てにあるものを芸能という筆で美しく描くがいい。
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木下さんは、『宇喜田の捨て嫁』とかもそうだけど、人の業や性(さが)を描くのが上手い。世の中きれいごとだけでは、いかんのだよ。分かっちゃいるけど、読んでて、心をえぐられる。
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戦国時代にセクシャリティを導入したきわめて斬新な小説。怪しき魅力を放つ加賀邦ノ介の登場で、男たちはかき乱される。そして歴史も動きだす…。驚きをもって読了した。快作。
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2021.5.18完了。
寵童小説が連チャンになり読み進めるが、森乱が少々イメージと違った。従順な小姓というイメージから這い上がるための一部姑息さを併せ持つ。業の章から面白くなってきた。こんなに絡み合うとは思ってもみなかった。
全編通して余計な背景をガッツリすっ飛ばしているあたり読みやすい。
なかなか面白い進め方だった。
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出雲阿国は10代の頃から男装して各地の大名のもとを渡り歩き、信長、利休、秀次らの死にも関わっていた—-
だったらそのタイトルなんなのよ、と思ったが女とわかったら面白くないから仕方ないのか。