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読みにくさでいうと少しだけ苦手な部類ではあるけれど、思っていたよりも読めた
駄目な飛行機がなかったら〜からのくだりをすきだなと思う自分はどこまでも普通だなと思った
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本作に通底しているテーマの一つには「存在証明」があると思う.
無から生み出され,存在が記述され,多くの人に求められることでその価値を保つBTCをはじめ,
「ダメな飛行機」(=飛べない飛行機)という本来の目的を果たせない造形物や
子孫繁栄を命題とする動物の一種でありながら中絶を行う田久保紀子は本来の役割を果たせないものの象徴であり,その例示である.
感情の伴わない涙も,ただ堆く高さだけを誇る塔も.
果たして,本来の役割を果たせないものたちは無価値なものなのだろうか.
本作においてこれら全てに共通して投げかけられるのは「存在」と「価値」の関係に関する問いである.
「ダメな飛行機コレクション」の飛行機は誰がどう考えたってジャンクである.実際,作中でも鉄屑以下と形容される.しかし,nimrodや田久保,中本からは「欲」され,「面白」がられ,そこには本来の文脈と違えど価値が生まれている.
これはBTCの価格が天井知らずに高騰していくメカニズムもこれに通ずる(中本がマイニングしなくても誰かがマイニングしてその価値を担保する).
これらを以てして私は
「凡ゆる事象において,価値は元々規定されたものではない(≒本人の意図とは関係なく何処かの誰かによって価値は付与され得る)」であるため,無価値なものは存在し得ないというポジティブなメッセージを受け取った気がする.
飛べない飛行機やBitcoinそれ自体には本来的な価値を果たせないが,無価値ではない.
中絶をする判断を行った女性も誰にも読まれない小説もまた然りだし,中本の感情を伴わない涙は人を癒す.
ただ,この文脈でバベルの塔やドロドロ人類を読み解くには未だ読みが足りない(or誤解している)ようにおもうので,日を改めて読み直したい.
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人類の営みに乗れなくなる、しかし逃れきれない。
自分の人生を生きる、または置き換え可能。
失敗できる。
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面白いよ!面白い。芥川賞のレベルに上田さんが合わせに行った可能性はないですか?上田さんの小説はほんと面白いけど、ニムロッドは手は抜いていないものの手加減した感じあったな
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わからなさが残る。けれどなんだか響く言葉もあり、なんとなく『東京都同情塔』を思い出す。
バベルの塔を思わせる「塔」
「駄目な飛行機コレクション」
「小説」、そこに「ビットコイン」
欲しがる人が多ければ多いほど価値の上がる実体のないもの。
「駄目な飛行機コレクション」は、人間の欲望が形になったもの。縛られていることと自由のはざまで、それぞれどこを突出させたかで、いろんな駄目な飛行機コレクションが出来上がる。
「欲望」、「人間」、「根源的な衝動」
そしてその可能性について。
『東京都同情塔』がよかった人には読んでみてほしいです。
再読記録で印象に残った内容・言葉