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乙女の本棚シリーズの中では、読みやすかった。タイトルもとてもやさしい。いとうあつきさんも、シリーズ初めてだと思うけど、シリーズの雰囲気を壊さず、かつ個性があり私好みだった。絵の挿入のしかたもとても良かった。
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イラストが綺麗。
文章がキレイだからなのか。
美しい死の話。
肺の病気で寝ている妻を看病する夫とのやりとり。
妻は辛そうで、わがままを言うが、それを必死で受け止めようとする夫の献身。
病状が悪化してゆき、夫も辛い。
ダメになりそう。
冬を越せて良かった。
素敵な花咲く春まで生きていられて
良かった。花束を抱いて目を閉じたところが美しかった。
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病の苦しみ、やがて訪れる死を前に揺れ動き、苦悩し、そして鎮まっていく二人。
2人のやり取りが、のたうちまわり、苦しみながらも、澄みきっていく過程が丁寧。
イラストも、秋から、苦悩に満ちた冬、春への移り変わりが描かれていてどこを開いても美しい。
文字色も工夫してあるのかな?
終わりと春にむかううつろいが、読んでいる側にもじんわり染みてくる。
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病の妻をもつ彼は妻に縛られていた。
彼には仕事があったが妻には彼しかなかった。
妻の病が進行するにつれ家庭は暗くなっていった。
冬の終わりに知人からスウィートピーの花束が馬車で届けられた。
夫婦は春の訪れを喜ぶ。
陰鬱な展開が続いたが最後に一条の温かな光が差したような物語だった。
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乙女の本棚シリーズから、横光利一さんといとうあつきさんのコラボ作品「春は馬車に乗って」です。なんともきれいな色使いのいとうあつきさんのイラストは、とってもステキです!
内容は、肺の病に侵され余命わずかな妻を看取る夫のお話です。病に苦しみ、夫にあたるしかない妻…夫も妻に振り回されながらも妻に寄り添い続けた結果、妻も自身の病を受け入れられるようになっていく…。最期は、妻に春いっぱい感じられるスイトピーを抱かせ、「この花は馬車に乗って、海の岸を真っ先きに春を撒き撒きやって来たのさ。」と…。
「キューブラー・ロスの死の受容」というものがあります。「否認 怒り 取引き、抑うつ、受容」…この5段階の通りかなって感じました。様々な葛藤もあったけれど、妻は夫に看取ってもらえて、本当によかったんじゃないかと感じました。
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1898/3/17〜1947/12/30 利一忌
1926年作
病気で自由にならないその身の悔しさと最期が近づく苦悩。その病気が言わせるワガママを夫に放つ事ができる素敵なカップルだなあと思うのです。
それでも 看病と経済に疲れを感じつつある夫。
医者から、いよいよ現実的な最期を知らされた夫は死について考える。
この作品のいとうあつきさんの夫婦の絵が、美しいなあ、と思う。春がやってくるようなコラボ。
スイトピーが馬車に乗って春をまきながらやってくる。春はやってきて、苦しみは消えて、妻の鎮魂歌。
横光さんの体験から。駆け落ちのように暮らし始め、同居後間も無く結核となり、亡くなった後入籍としたようです。
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肺病でどんどん弱っていく妻。
妻の家族と4、5年も闘争して、やっと娶ることができて、母と妻との間で苦痛な時間を過ごしたあと、やっと夫婦二人きりになれたのに、妻は病気になってしまった。
もう良くならないと、心の片隅にでも思っているのなら、彼は、毎日もっと優しくしてあげればいいのに。妻が言うように、隣で仕事をして、片時も離れない位に甘えさせてあげればいいのに。
妻が始終不満を伝えていたが、彼はちょっと冷たいと私も思った。
彼女のわがままを檻の中の理論と呼んで、もう死ぬかもしれない妻から逃げるように仕事とお金を言い訳にするのは、本当は鬱陶しいと思っているだけで、余り大切に思っていないんじゃないかと思ってしまう。
この妻は、言いたいことをちゃんと言えたのかな?
我慢し過ぎないで死ねたのかな?
それが気がかり。
もう死ぬんだから、照れ隠しとかしないで、彼はもっと優しくしてあげなよと思ってしまった。
私だったら、仕事なんかしないでずっとそばにいてってもっと主張しそうな気がする。
色とりどりの花々を乗せた舟の表紙の絵がとても魅力的。温かで柔らかな絵が、夫婦の想い合う少しぎこちない心を映し出しているようで、心に染みた。
乙女の本棚シリーズは、文学作品をより印象深く味わえる。今も毎月のように新刊が出ているようなので、未読のものを早く全部読みたい。
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横光利一さん、縁がないけど気になってたので手に取った乙女の本棚シリーズ。
死の淵にある妻とそれを看病する夫を描写した物語。
美しく柔らかなイラストのおかげで、文章だけだとどんどん暗く重たくなるストーリーが、一定の愛情と美しさを保って捉えられます。
本人ではどうしようもなく、病による不安や理不尽さからくる妻のワガママとそれに振り回されつつも見捨てられない夫の姿、を現代なら上っ面の愛と本音みたいなイヤミス的なものになりそうなのだが、この作品は上っ面は醜いけど底に愛情が横たわっている、と読める。そう読めるのもイラストの影響大きい。
2024.1.28
15
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はい、20オネエです
『乙女の本棚シリーズ』も、もはやベテランの域です
乙女の本棚プロと言ってもどこからも異論は出ないと思われます
そんなプロからこれから『乙女の本棚シリーズ』を読もうとしている皆さんに貴重なアドバイスをしましょう
先に解説みたいなん読んじゃダメです絶対
そっちに引っ張られちゃいますからね
自分が感じたことを堂々と誇りましょう
偉い学者先生の解釈とぜんぜん違ったっていいじゃない
そんなん蹴飛ばしちゃえばいいじゃない
笑われたって馬鹿にされたって自分が感じたことを自分が信じてあげなきゃ
で、今回わいが感じたのは「馬鹿馬鹿しさ」でした
死に向かう妻と看病に疲れる夫の言葉の応酬がなんか馬鹿馬鹿しかったんよな
なんか「死」ってものがどんどん軽くなってく気がしたんよね
なんとなくそれが日常になっていく
そしてあくまで日常の先に「死」があるんだって
それって妻の優しい愛情だった気もしてきたんよなー
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本が読めなくなって冬から数ヶ月かけて読んだら、
春になってた。
花束を渡す最後がとても良い。
その一方で、現実の話ではないのだと感じた。
なんでかなぁ。
でも本当なら良いなぁ。
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床に伏せてしまい死が迫る奥さんと、仕事やお金を言い訳に直視したくない旦那さんの話。イラストが綺麗なのが余計に死を感じた。相手に優しく、言いたいことはちゃんと言おうと思った。
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タイトルが綺麗だなと思ったのと、著者の本は読んだことなかったので手に取った。
ラスト、ふたりのやりとりが好き。春が来たんだな。というのがかなしいしさみしいし、でも救われるような思いでもある。