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いつも登場人物の細かい描写などをスルーしてしまい、犯人を勘で何となく推測して外すレベルの読者だけど、火村と有栖川の冒頭のやり取りが面白くて好き。
アリスシリーズにハマって作品を全部読んだのは2014年。ドラマも見たけど、知らない間に続巻が出ていたのを見て、ふと読みたくなった。
・船長が死んだ夜…
火村とアリスの冒頭の不穏な会話で、ゴクリ…としたら、免停かい(笑)
有栖川をフィールドワークに誘うきっかけの電話のやり取りに笑った。
変わらない火村とアリスの関西弁の会話のやり取りが、アリスシリーズ!って感じ。
読み飛ばしたら謎は解けない系だけど、しかしミジョップは苦しいぞ!?
・エア・キャット
マジックショーを見たアリスと先輩作家のカフェで会話から。話題はマジックから火村の飼い猫へ移り、そこから最近の事件に猫が関係していたという話になる。
66歳独身一人暮らしの男性が頭を2回殴られて死んでいた。人付き合いもほとんどなく、本を読みこむ静かな生活を送っていた。家族の話では、亡くなった飼い猫が老衰で死んでからも、今も生きているように振る舞っていたとのこと。
本棚から夏目漱石の「三四郎」を抜き出した火村。間には直前の足取りとなる本屋のレシートが。犯人は本屋の防犯カメラに写っていたが、その後アリスが火村の部屋に本を借りに入ると、「三四郎」と書かれたメモが。なぜ火村が事件を予測したかのようなメモを事前に書いていたのか?
冒頭のマジックになぞらえて話が進む。
・カナダ金貨の謎
犯人視点で始まるアリスでは珍しいケース。
本物のカナダメープル金貨のネックレスをトレードマークにしていた男が自宅で殺された。財布はそのままなのに金貨のネックレスだけが現場から失われていたという謎。
・トロッコの行方…
マイケル・サンデルの「これからの正義の話をしよう」のトロッコ問題という例題が話中に出てくる。
行く先に5人がいてレバーを引くと1人がいる方に変えられる。どちらを犠牲にするか、トロッコの勢いを減らすために太った男をどかすかか…など、個人の倫理観についての違いを理解する例題があるそうだ。
トリックの解明は読むがまま火村の推理を聞いて「なるほどー」となった。しかし、ライトをつけた車が走ってくるのを見てヤバイ!って思うのはわかるけど、録画される!って判断して対処するのすごすぎでは。
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分厚い長編『双頭の悪魔』(学生アリス・江神二郎シリーズ)を読んだ後での、短編集(火村シリーズ)。
なんだかファンタジーと悲壮感漂う江神シリーズと比べるに、火村と作家アリスのこの本は、適度に俗世であり、大人である。
次々と運ばれてくるフルコース料理のような長編に比べると、主菜副菜、野菜、箸休めなどがバランスよく詰められたお弁当のような本。
メインの「カナダ金貨の謎」が、やはり、う〜んとうなる出来だった。
工作しようとしたけど出来なかったとか、それは未遂だったけれど思いつきはよかったのに、とか、追い詰める側と追い詰められる側の描写が交互にあり、楽しめた。
『船長が死んだ夜』
近くで殺人事件があったから行ってみる?みたいな二人が・・・(苦笑)
勘違いが元の殺人なのか否か
『エア・キャット』
偶然が重なった?いや、報いが来たのか。
「三四郎」という単語、卵が先か鶏が先か。
『カナダ金貨の謎』
トリック未遂で崩される。
このカナダ金貨は、もしかしてそういうアイテムなのか?というオカルト要素も残す。
『あるトリックの蹉跌』
アリスと火村の出会い。
『トロッコの行方』
「トロッコ問題」は聞いたことがあるような、無いような・・・
究極の選択の一つである。
自分的には、そもそもポイントの近くに居たく無い。
いきなり横から違う回答をしてきた、的な結末が!!!
でも、あるかもしれないですね。
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第10弾
短編集もいろんなテイストで面白い。 「あるトリックの蹉跌」2人の出会い。他のシリーズとは結局どうなっているのか…アリスが教室で小説を書いていて本当によかった。いつかきちんとした話にして読みたい。 「エアキャット」火村は登場しないのに火村の物語になる。 事件がごっつりしているのに、ふたりの掛け合いが妙に面白くて、本音の友達いいなって毎回思う。朝井先輩は変な空気取り込まないから好き。 表題作よりも、「トロッコの行方」の方がずしんと心にきた。犯人の気持ちわかるし、誰が悪いか、人次第。
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表題作「カナダ金貨の謎」は犯人の視点とアリス・火村の視点から書かれていて面白い。個人的には「船長が死んだ夜」が、日村の推理をきいて一番楽しめた。
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4話が収録されており、どれも読みやすくてあっという間に読める。
全部良かったけど、やっぱりアリスと火村先生の出会いは衝撃的だった。
ちょっとよそよそしい二人を見ると微笑ましい。
そして最後の落ちも良かった!
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安心の火村シリーズ。携帯電話もなかったところから、メールやスマホまで登場していて時代の変化を感じる。
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安心安定の火村英生シリーズ。
短編3作と超短編2作の構成。
「船長が死んだ夜」は野上を加えた3人の掛け合いが面白い。
火村とアリスの出会いを描いた「あるトリックの蹉跌」はファンサービス的内容でニヤっとしてしまう。
全編通じて相変わらず読み易い。
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中編3本短編2本の国名シリーズ第10弾。
相変わらず丁寧で読者に考えながら読ませてくれる推理小説。
推理物として面白かったのは「船長が死んだ夜」、シリーズのファンとしては火村とアリスの出会いの詳細が判明した「あるトリックの蹉跌」が良かった。
「…まいったな。あっと驚く結末だ」は台詞回し上手すぎる。トロッコ問題はそりゃあ答えが出んわ。
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国名シリーズ十作目
全五編からなる短編集
各事件の間に挟まる短編が面白く特に自分はトリックの蹉跌がお気に入り
作品全体を通して無難に纏めてられており楽しめた作品
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有栖川有栖版、国名シリーズ第十弾は表題作を含む五編の短編集。オーソドックスな犯人当てから、倒叙物などバラエティーに富む作品群は、作者が抱くミステリの幅の広さを示している。個人的な好みは『あるトリックの蹉跌』。この短編には推理の作り方が記されており、ミステリを書く人間は必見である。
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有栖川有栖の中短篇ミステリ小説集『カナダ金貨の謎』を読みました。
有栖川有栖の作品は8月に読んだ『ダリの繭』以来ですね。
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殺害現場から消えた一枚のメイプルリーフ金貨が臨床犯罪学者・火村英生を真相に導く。
倒叙形式の表題作「カナダ金貨の謎」ほか、火村とアリスの出会いを描いた「あるトリックの蹉跌」、思考実験【トロッコ問題】を下敷きにした「トロッコの行方」など趣向を凝らした五編を収録。
〈国名シリーズ〉第10弾。
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探偵役である臨床犯罪学者・火村英生と、ワトソン役の推理作家・有栖川有栖(アリス)のコンビが活躍する作家アリスシリーズの作品……その中でもタイトルに国名を冠した作品は特に国名シリーズと呼ばれており、本作品は国名シリーズの第10弾となる作品で以下の5篇が収録されています。
■船長が死んだ夜
■エア・キャット
■カナダ金貨の謎
■あるトリックの蹉跌
■トロッコの行方
■あとがき
■文庫版あとがき
■解説 越前敏弥
民家で発見された男性の絞殺体……殺害現場から持ち去られていたのは、一枚の「金貨」だった、、、
“完全犯罪”を計画していた犯人を、臨床犯罪学者の火村英生と推理作家の有栖川有栖がロジックで追い詰めていく表題作『カナダ金貨の謎』ほか、切れ味鋭い中短篇『船長が死んだ夜』、『エア・キャット』、『あるトリックの蹉跌』、『トロッコの行方』を収録……待望の〈国名シリーズ〉第10弾!
久し振りの国名シリーズ……愉しめました、、、
イチバン面白かったのは、殺人事件の容疑者のちょっとした特徴(●●恐怖症?)が手がかりとなって鮮やかな解決が導きだされる『船長が死んだ夜』ですねー ポスターって、そんな使い方ができるんですね。
倒叙形式で、殺害の犯行直後に犯人側の計画に綻びが生じるところから物語が展開する表題作の『カナダ金貨の謎』、、、
人命が懸かった二者択一の思考実験を手掛かりに、意外な真相が隠され、自己中心的な犯行理由が印象的な『トロッコの行方』も愉しめました。
機会があれば、未読の国名シリーズを読んでみたいですね。