投稿元:
レビューを見る
死刑囚、麻倉の語りを延々と読むものかと思ったが、最後のネタバレがわくわくした。最初に熊沢の父について語ったところがちゃんと伏線になっており、面白かった。ただ表紙の煽りのせいでハードルが上がりすぎた感はあるかな?
投稿元:
レビューを見る
わかりやすくてあっという間に読めました
私は最後のどんでん返しより、その過程のそれぞれの章の内容の方が好きだなぁ
ちょっと出来すぎな感じもするけど
死刑制度廃止とか書いてあるから
社会派の濃い内容だったらどうしようかと思ったけど
ちゃんとバッチリ
ミステリーでした
投稿元:
レビューを見る
28年前に死刑が廃止された日本での最後の死刑囚·麻倉玲一。長らく海外にいたため彼の経歴に対する知識を持たないという理由でライターの熊沢克也は彼の告白本の執筆者に指名され、取材のため収監されている離島の拘置所に。紳士然とした麻倉が過去の殺人を淡々と語る姿に熊沢は嫌悪感を増大させていく…。各殺人の語りに仕掛けがあるのでそれが後から効いてくるのかと思っていたら中盤から性急な展開に。呆気にとられていたら凄い力技で畳んできた。きちんと設計されているので破綻は少ないんだけどなんじゃこれ感がどうしても残る。タイトルから構えてしまったせいか。レクター博士な魅力を持つ麻倉に対しての熊沢が魅力に欠けまくるからか。
投稿元:
レビューを見る
本屋で前面に押し出されており、徳間文庫大賞受賞というのと、表紙の煽りの「このラストは革命的!騙された!!」という一文に騙せれたくなり購入。
一章ごとの展開は面白くて350ページほどのページ数を感じることなく一気に読み終えた。
麻倉玲一というキャラは大物感が出ていて良かったし、結果的には煽り文通り騙される事になったのだが、目的の為の手段がいささかそこまでするの?という現実味があまりなくて、ラストのオチ自体は大きな威力は無かったのかなと。
ただ次はどうなる?という展開のストーリーは面白かったし、死刑執行後の展開にはスリルがあった。
投稿元:
レビューを見る
死刑が廃止された日本で唯一生存している死刑囚・麻倉玲一。海外生活の長さから彼への知識、先入観を持たないフリーライターの熊沢克也に彼の伝記を残す白羽の矢が立つ。麻倉の収容されている民間経営の刑務所は絶海の孤島にありレーザーの檻など最新の警備システムを用いて最低限の人員で管理されていた。しかし、そこの管理に携わる面々はどうやら麻倉と因縁があるようで・・・。
まずタイトルのインパクトに目を引くだろう、信頼できない語り手という物語の外側のメタフィクション的な用語が使われている。これは読者と視点を同じくし地の文も一人称視点の作品等で主人公の発言や思想がどこまで信用できるかといった考えなのだが本作には特に関係はない。視点はライターの熊沢であり、熊沢に語りかける麻倉の過去の話が脚色めいているということで信頼できない語り手と言ってるに過ぎず、故にこの用語の語感だけで興味を抱いているのなら少々ご思案頂きたい。
コカインの件で逮捕させるのは麻倉本人の力のみで可能で賠償させる私財を引き出すために誘拐劇を企てたっていうのはよくわからない。密輸を暴き逮捕させるというのが復讐としてのゴールのような気がして、そのゴールが簡単に達せられるのにわざわざ息子に殺人の疑惑をかけて金を引き出させる行為は必要か?そこまで強い恨みならむしろ本人をターゲットにしそうなものだが。
終盤、急に彼女が出来て人生の上振れを感じる主人公、しかし真相が明かされてこの幸せまでも信頼できない麻倉の仕込んだものじゃないかと疑心暗鬼になるラスト。うーん、そういう話ではなかったと思うのだけれど。
投稿元:
レビューを見る
最後の死刑囚である「朝倉」と冴えないルポライターのインタビューが続く中、次々と起こる殺人。
どうなるのかと一気に読んで、最後に騙された!となりました。
投稿元:
レビューを見る
何が起こっているのか、どういうシチュエーションなのか、冒頭に説明がなく、少しずつ明らかにしていくタイプの作品。視点人物である熊沢克也の目から、事実が少しずつ明かされる。
熊沢は、木菟鳴島という島で、終身刑務所を訪れる。死刑が廃止された後、完全なる終身刑の受刑者を受け入れるために作られた民間経営の刑務所。その刑務所にいる、最後の死刑囚、朝倉玲一に、海外でずっと生活をしていて、朝倉のことを知ららいライターである熊沢が取材をする…という設定
熊沢は、裕福で、自分を蔑む父を見返すために、この仕事を受けた。
朝倉が過去の殺人の告白をするという展開。最初は、鶴田瑞枝という教師。これは、父が殺人者であると、登場人物である鶴田と読者に誤解させる物語。サスペンスと見せかけて、被害者である生徒の兄が犯人だったという意外な犯人で終わるという、それなりによくできた、どこかで見たことがあるような短編小説となっている。
次は、朝倉が、木菟鳴島の地主である長富庄一郎の両親を殺害した話。これは、中学校の教師をしていた企業の次男長富昌孝が、長男の急死により、家業を継ぐことになる。妻となる人物だけは、昌孝の母の指示に従わず、中学校時代の同僚教師を選ぶ。しかし、その妻、長富優美は不倫をしていた。優美の不倫相手の妻が雇った探偵は、優美が昌孝を毒殺しようとしていることを知り、金に変えるために昌孝に報告。最後は、昌孝が優美にその事実を伝え、双方が双方を殺害しようとするところ、通り魔的な人物に撲殺されるというオチ。トリックらしいトリックはなく、筋書きの意外性がある「世にも奇妙な物語」系の短編
第三章では、長谷部奈緒に焦点が当たり、長谷部の兄が麻倉に殺害されたという話がされる。長谷部の兄、長谷部岳志は、麻倉に「あなたの名字に「麻」の字が入っているから麻の服が好きなのか。」というくだらない質問をしたから、麻倉に殺害された…として、囚人であるB354の死をめぐるやり取りが語られる。
B354は、幼稚園で園児5人を惨殺。麻倉は、心臓に病があったB354に、矛盾を突き付けて、「ことば」でB354を殺害。さらには、長谷部岳志も、妹、奈緒へのコンプレックスを突いて、自身を襲わせて、麻倉を閉じ込めるために仕掛けられているレーザービームを受けて死んだという話
この話の後、長谷部奈緒は、民間刑務所の看守から異動することになる。奈緒は異動前に、麻倉の殺害を決意。麻倉、奈緒、熊沢をめぐるトラブル。麻倉を殺害しようとした奈緒は麻倉につかまり、熊沢は麻倉を刺す。このシーンは映像として残っており、後で利用される。
その後、最後の死刑囚である麻倉の死刑が執行される話。死刑を執行されたはずの麻倉はよみがえり、関係さを殺害していくという姿が描かれ‥その日の3日後、熊沢は自分の部屋で目が覚める。
熊沢の父であり、企業の社長である熊沢仁史がコカインの横流しの罪で逮捕される。熊沢は、麻倉のこと、最後の死刑囚のことを調べるが、ネットにはそれらの記載はない。最後の死刑囚は10年前に子宮癌で死亡した女性だった。
麻倉から聞いた話、3つの短編の被害者は��それぞれ、コカインの常習者の手に掛かり、死亡していた。熊沢克也の人生は好転。ドイツにしたときの経験談のエッセイが出版されることになり、イラストレーサーである女性と交際が始まる。そして、熊沢仁史の裁判が始まったときに「麻倉玲一」を名乗る男から連絡があり、種明かしがされる。
エターナル警備保障や民間刑務所の話は全て嘘。行われていたのは、熊沢克也の誘拐。麻倉玲一と名乗った男は、かつて、熊沢仁史のもとで、コカインの密輸を行っていた。ほかの関係者は、全員、コカイン中毒者のせいで、身内や大切な人物を失った被害者。全ては、熊沢仁史への復讐のために行われていた。熊沢克也が殺人を犯したように見える映像を手に入れ、それをもとに、熊沢仁史を恐喝。金を奪い、証拠を警察に提供して、熊沢仁史の逮捕、勾留、裁判につなげた。
最後の場面は、イラストレーターの彼女に電話をする。その女は、「いいけど、戻って来られるの?」と発言。島に行ったことを知っている?麻倉は、「せっかく
掴んだささやかな幸せを逃がさないためにも、手にしたものは大切にするべきだよ。」と発言。彼女のことを知っている?
麻倉の最後の一言で、全てを疑う。何が真実で、何が作られた事実か。
「なるほど。最後まで僕は信頼できない語り手ということか。いいだろう。君にすべて委ねよう。僕の今の話が本当か、嘘か。君が決めればいい。」
熊沢克也は、彼女に「麻倉のことを知っているのか」と聞きたいが、聞けない。動けない。そんな場面で終わる。
別のある作品を読んで、この作品のことを思い出した。読んだのは1年程前だが、感想は書いていなかった。民間の刑務所が存在する島で、最後の死刑囚の話を聴き、本にする。その全てが嘘で、実は、資産家であり、コカインの密輸をしていた熊沢仁史という男に対する復讐のため、その子どもである視点人物=熊沢克也を誘拐していた。この「実は誘拐でした。」という点が大きなトリックになっている作品
この実は誘拐だったというオチにひねりを加え、金を出させるために、克也が殺人をしたように見える映像を入手する。その映像の入手のために、大がかりな仕掛けを用意したという設定
最後の死刑囚、「麻倉玲一」という存在。その存在を成立させるため、ずっと外国にいたという熊沢克也を利用。むしろ、熊沢克也がずっと外国にいたからこそ、その状況を利用して、麻倉玲一の話を構築し、誰かを殺害するエピソードを作るために、大がかりな仕掛けをしたという設定になっている。
全体を通じてみると、一貫性がない。3つの短編と、全体を通じた仕掛けがあるが、取って付けた感じがする。これは、メフィストという雑誌で連載されていたことが原因かもしれない。1つの作品とまでは仕上げられなかった独立した3つの短編を、この作品のために使ったという印象でもある。
3つの短編のデキは、そこまで悪くはない。ただ、最後の「実は誘拐でした」というオチにつながる、納得性の高い伏線がない。「実は誘拐でした。」というオチが唐突なものに感じられる。
最後の死刑囚、麻倉玲一の存在、「信頼できない語り手」の存在も、ラストの部分を含め、投げっぱなしになっている。最後に描かれる、イラストレーターの彼女の存在や、熊沢克也の部屋で目が覚めたという点等、もっと裏がありそうな含みがあるが、これらの点が宙ぶらりんのまま。物語全体の完成度を落としている。
この作品で初めて「実は誘拐でした」というオチに触れたのであれば、もっと違った感想があったかもしれないが、この系統ではもっと納得度の高い作品がある。いくつかの独立した短編を描き、それに一貫性を持たせるため、たいした伏線もないのに、「実は誘拐でした。」というオチを付けたという印象
個々の短編のデキや読みやすさという点で、駄作という印象まではないが、納得度がそれほどなく、そこまでの満足感はなかった。
投稿元:
レビューを見る
新幹線での移動の際に読むために購入した作品。「信頼できない語り手」好きとしては見過ごせないタイトルだったし、帯の惹句や作者の自信満々のコメントから期待半分で手に取ったが……うーん。
結論から言うと、メインの仕掛けはタイトルから想像する叙述トリックではなかった。(皆無ではないが、「やられた!」となるようなものではない)そういう意味では「まんまとタイトルに騙された」と言えなくもないが、望んだ「騙され方」ではなかったので喜びもない。
そしてメインとされるトリック自体は、最初に提示された設定から「この設定で驚きというのならこういう方向では」と想像できてしまったものそのままだったので答え合わせ感はあった。とはいえそれは作中の表現がフェアだから予想がついたとも言えるので悪いことではないのだが。
読んでいる間は先が気になってページを繰ったし、エログロもなくて、新幹線の移動中に読むエンタメとしては悪くなかった。また、結末で少し不穏な空気を漂わせていたのもよい。
ただやっぱりこのタイトルで叙述トリックがメインじゃないのか……というがっかり感は拭えず、「それなりに面白かったが期待した方向と違った」が総括の感想。
同著者で他に評判がいいものがあればまた読んでみよう。
投稿元:
レビューを見る
星3.6くらいかな
「信頼できない語り手」をタイトルに盛り込んでいるのでそのつもりで読んでしまうが、これはこれで初めからワクワクできて良いな
(そんな事あるかな?)(登場人物達の動きに違和感が?)という変な感覚は徐々に高まっていき、転換した時の放り出され感は気持ちいい
途中からは某アイランドの映画みたいな着地かな、と想像していたが、それよりは薄い真相…そして畳み方の性急さ。説明として薄いのは作者も分かって書いてそう。
この物語を成り立たせるだけの納得いく動機は作れない気がするし、その時点で小説としてはイマイチに着地するのは避けられない。
投稿元:
レビューを見る
久しぶりに太田さんのシリーズ物以外を読んだ。読み易く、さらっと読めた。個々の場面では面白いんだけど、全体としては何だったんだろうって感じ・・・
投稿元:
レビューを見る
麻倉が語った殺人の経緯は読んでて面白かった。
けれど、ラストへの展開はいささか急展開つーか、目的に対して行動が壮大過ぎるし、偶然に頼りすぎっていうか...
バカミス系はイケるクチなので、嫌いじゃないけどね。
けどそれならもっとはっちゃけて欲しかったかなー。
投稿元:
レビューを見る
日本で死刑が廃止されてから二十八年。日本に生存する最後の死刑囚・麻倉玲一は、離島の特別拘置所に収容されていた。
フリーライターの熊沢は、麻倉の取材のために拘置所があるその島・木菟啼島へ向かう。
「自分は人の命をジャッジする」と嘯く麻倉に嫌悪感を抱きながらも、熊沢は彼の犯した殺人の詳細を聞くこととなるが……。
タイトル通り、「信頼できない語り手」ものかつ、孤島で起こる事件を描いたクローズドサークルミステリー。
日本最後の死刑囚の告白という魅力的なテーマで、作中で語られる麻倉の犯した殺人事件も理解が出来ない人間の話を聞いているようでなかなか楽しいです。私は最初の事件が不条理で好きでした。
ラストは予想外に大掛かりな企みが隠されていて、きちんと騙されはしたのですが、ちょっと唐突なので納得度が高いかというと微妙かもしれません。
個人的には、ちょっとだけですが孤島が舞台の衝撃のラスト! な某映画を連想しました。
投稿元:
レビューを見る
死刑が廃止された日本において、唯一生存している最後の死刑囚・麻倉玲一。
この男、曲者だけどなかなか魅力的ではある。
彼の語る自身の犯罪記録はかなり胡散臭い。
でも思いの外興味深く、個人的に結構好きだったりする。
そんな麻倉の指名を受け取材にやって来たフリーライターの熊沢だが、彼自身も新たな事件に巻き込まれていく。
投稿元:
レビューを見る
死刑が廃止された日本。高額な報酬に釣られて最後の死刑囚となった麻倉玲一という男のインタビューをすることになったフリーライター。外界から遮断された島にある民間の刑務所に赴き、麻倉玲一の話を聞くことになる。
まず設定が突飛。死刑が廃止されているのに死刑囚は存在する。制度の運用開始日より前に決まっていれば当然なのだけれど。
自分が起こした事件について語るような話かと思ったが、タイトル通り終盤からまったく違う話になった。主人公が島まで呼ばれた理由、刑務所にいる人間たち、最終的に繋がったので個人的には読後感は悪くなかった。ただちょっと非現実的な話だなと思った。
投稿元:
レビューを見る
久しぶりに太田忠司の好きな作品だ。
ミステリとして、ラストも含めて好き。
2688冊
今年127冊目