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本書は、誰にでもわかりやすく書いてありますが、しっかり経済の基礎を伝える構成になっています。上手な書き方だと思いました。
消費しているのはお金ではなく、誰かの労働。買うモノ・サービスは、突き詰めれば「問題解決」。
そう、自分で作ったりやれたりすればコストはかからないけれど、複数の、多種の、得意な人に働いてもらうことで、お金を支払う価値のあるものを手に入れることができます。
「どんなに価値が高くても、自分にとっての効用がなければ、意味がない」
本当にその通りで、「買ってよかった」と思えるものにお金を使いたいものです。
社会全体で、お金を「増やす」のではなく、「流す」こと。ファイナンシャル・プランナーとして、この点は声を大にしてみなさんに伝えたいです。
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ゴールドマンのトレーダーが書く、経済の基本。非常に面白いし、GSでのシビアな、お金儲けだけの仕事、それに見合った報酬、という厳しい戦いを終えて、人生とはなんだろうか、お金ってなんだろうか、そんなふうに考えたのかもしれない。空虚感からくる、逆説的な答えは、非常にシンプルで理を持っていると思った。貨幣の価値は、その向こうで人の労働が支えているからこそ成り立つものであり、本来は助け合ってお金とは関係なく働いていた日本の相互扶助的な社会から、クリーニングから、食事まで全てサービスと価格が織りなす資本主義の中に入ってしまい、本来価値のないものまで価格をつけてやり取りしてきたということに気がつかされる。みんなが休む日曜日に、お金を使うことは不可能だ、なぜなら働いている人がいないから何も提供されない。これは一つの真理であろう。ちょっと、途中からこの真理に囚われて、個々の幸せと社会の幸せをどういうふうに構築すべきか、という点が曖昧になってくる。GDPは国民が生み出した新しい仕事の対価の総数、でも幸せをその仕事が作り出したかなんてわからない。素晴らしいポイントは、社会=国ではないというところだろう。国の税金による富の再配分をすることで、貧困問題を一部解決できるが、それが政府の役割とバッサリ。本当は、もっとあるんだろうというのが大きな政府を考える人たちだろう。ハイパーインフレ説を否定する時のわかりやすい説明が秀逸だ。通貨の発行量と、物価のバランスが大きく崩れて一貨幣価値の大きな暴落を起こしたときに、1つのパンが1億円のような事態になってしまう。これが、本書の説明では、お金は将来の労働をやってもらう券となっていて、海外の人が日本円を多く持っているということは、日本国内の人を労働させることができるということになる。これが、政府が紙幣を発行しまくり、他国に渡せば労働する券としての借金が増えている。他国のために働かざるを得ず国内の物資が足りなくなり、価格が上がってしまうというものだ。
その流れで国債を死ぬほど発行している日本がなぜ破綻しないか、という点を論じている。本書のクライマックスと言ってもいい。トレーダーとしてヘッジファンドが日本国債のデフォルトを仕掛けるべく、空売りを行ったのは周知の事実であり、結局敗北して大損した。ギリシャで成功したのに、なぜ日本では通じなかったのか、これは人が労働する券を通貨を増やす形で日本が持ち、それを日本国内にばら撒いたからだ。日本国内の人は預金をもち、それでサービスに使う。そうすると、その向こうに労働している人がいる限り、お金は移動していく。結果的に、そのお金は日本国内にあるわけだ。とすると、いつか返さないといけない国債の期日に、労働してお金が移動していったその先で回収することにより、結果国債は償還できるというわけだ。政府、企業、個人という3つの大きな塊で、政府が大借金、企業と個人がお金持ちの状態にあるのが日本であり、トータルすると借金がない。だから、大丈夫というふうに考えられる。労働の借りを、海外に作ってしまうと、ドイツのハイパーインフレが起きる。返せない���らだ。こうしてみると、政府が借金をすること自体が悪いわけでないのは、その対価が労働となっていること、そしてそれが海外への労働の借入となっていて、返せないくらい労働力が枯渇したときだというロジックだ。社会のために、何をすべきか、それは働いている人がいることで初めて解決されることばかりだということ。自分の手元のお金を稼ぐという財布の中に目をやることで盲目的に、お金そのものに価値を見出してしまうが、実際には、その向こう側で働いている人がいるということこそが本質。とすると、お金を払おうが、払うまいが、何か人が労働すること自体に意味を持ち、感謝をしつつ、それを個々のレベルに落とさず、社会のためにやろうではないかと。
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経済の背景がとてもわかりやすく書かれている本だった。専門用語も少なく、例え話もわかりやすかったので、僕みたいな経済苦手だけど、頭に入れたい人には非常に向いてる本です。
最後の「社会全体で子供を育てる」というテーマで書かれていた部分は非常に共感した。子供が育たないと、国も育たない。
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予備知識要らずで、経済の話をわかりやすく解説してあるようだが、私には逆にわかりづらかった。適宜専門用語を使った方が、わかりやすかったのかもしれない。
お金の総量は変わらないことや、お金の動きに注目せずに、人を中心に経済を考えることが繰り返し主張される。年金の話や、インフレの話、貿易黒字、預金大国は借金大国、価格
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経済系の本を、と思っていたところに本書を見かけ、読んでみた。
経済の話をするとき、お金だけを見ていると方向を見誤ってしまうということを大変感じさせてくれる一冊と感じた。 羅針盤という形での考え方の再提示のタイミングがくどくなく、話の流れもスムーズであるからか、冒頭にクイズを入れても流れが止まらず読み進めることができた。国内だけなら、トータルでのお金の増減は変わらないというのは、人を中心にお金の流れを意識すると、納得感あった。
少し気になったのは、専門家軽視のような口調が散見されたこと。話に惹きつける手段としても、気になってしまった。
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ネットで紹介されていたので、読んでみた。
お金や経済に関する本はたくさんあるが、お金ではなく「人」を中心に据えて、経済をゼロから考え直していくという内容。
難しい言葉は使わずわかりやすく説明するということで、最初の方はなるほど~と理解しながら読んでいたが、途中からよくわからなくなってきた。
確かにお金だけを考えると自分の手元にあるお金が多いに越したことないという考えに至るが、お金が行き来する場面では必ず人が絡んでいるので、その先を考えるという想像力を持つと気持ちよくお金を使えるかも、とは思った。
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すごく良い本です。
「お金」の捉え方が変わりました。労働は人のためであり、「お金」のためではない。お金を払ったからよいのではなく、そこ先にいる「私のために働いてくれた人」のことを考え、感謝すべきと考えさせてもらいました。それにより、「僕たち」の範囲は広く広がり、より幸せを実感できる。
とても好い本です。
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2022/08/08
2022年18冊目。
とても分かりやすい構成で、日々接する「経済」に対する異なった視点を提供してくれる一冊。分かってるようで分かってなかったり、考えてるようで考えられてない「経済」にあらためて向き合えるという意味で、大いに読む価値があると言える。また、問題の単純化、視点の切替はビジネススキルとしても必須と言えるスキルで、その点についても学びのある一冊。ただ、結論が読者への問いかけで終わるため、少し歯切れが悪い印象を受けた。
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・お金を稼ぐ
・労働
に対して、見方や考え方が増えた。
お金は増えない、移動するものである。
AさんがBさんに1000円払い、
お皿を作ってもらった場合、お金はふえていない。
Bさんの財布だけでみると、1000円増えているが
社会全体としてみると
a➡bにお金が移動しただけである。
では、社会で何が増えたかというと
労働が発生し、お皿を作ってもらうという効用(価値)が生まれた
お金は人に働いてもらうためのツールであり、
たくさんお金を持っているということは
・他者のために沢山働いたということ。
・他者に働いてもらう力を持っているということ。
お金の役割は人に働いてもらえることで、
お金が無くても人に髪を切ってもらえたり、
料理してもらえたりするなら
生活にお金は必要ない
➡えらいてんちょうの小さな企業みたいなんにも
同じようなこと書いてあったな〜
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人や労働の観点から経済を見るという観点を具体例でイメージしやすかった。また行きすぎた経済信仰については本書と異なるアプローチではあるが、様々な書籍でも批判されており、共通した問題意識として捉えられているように感じた。
破綻した他国と異なり日本が破綻していない理由についての解説がとても勉強になった。
もし次回作が出るのであれば、国内の財布と国外の財布の関係性についてより深掘りしてほしいと思う。
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経済についてお金ではなく人を中心に捉え直すことで、難解な話を分かりやすく説明した良書。お金を流れと捉える部分は坂口恭平の「お金の大学」にも通じる内容だと感じた。
最後に年金と子育て費用についての比較があり、この視点はとても新鮮だった。特に昨日、「こども保険」への批判がSNS上で繰り広げられる様子を見ていたので、単に「自分の手取りが減る!」と憤る人にはぜひ一度この内容も読んでもらいたいと思った。(子ども保険が最善とは思わないが、年金と対になる社会全体で子どもを育てるためのお金という意味での存在感は私は評価したい。)
著者はゴールドマン・サックス出身とのことだが、ゴールドマン時代の仕事をどのように捉えているかについても興味がある。
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金融機関に在籍しながらブルシットジョブ感に日々苦しんでいる身からすると、
あー、経済の"専門家"たちがみんな本書のように考え、メディアで語り、行動してくれたら、新自由主義的な風潮が消えていくのになあ、
と思ってしまう。
自分にできることはこれを広めること、そして自分の根っこからの考えを"人間"視点で考える癖をつけ、言葉と行動で示していくこと。
微力だけど無力じゃない。
頑張ろう。
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今まで無かった視点でお金(国債・預金など)を知ることができた本。
文体や体裁も読みやすい部類でした。
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お金に対する考え方を変えてくれる本だった。
面白いし、読んで良かった!
・お金を払うとき、誰かが働いてくれている
・政府の借金は、個人や会社の預金の裏返し
・貿易黒字は、海外への労働の貸し
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ぼんやりと持っていた経済の疑問を非常にわかりやすく解説してくれる。「お金」ではなく「人」を中心に見るという考え方が明確に提示される。今まで「お金」中心に見ていたなと痛感。書かれていることがすべて正しいかは要検討だが、今後の暮らし方の指針になる本。