満州国からスタートした本作も遂に太平洋戦争という巨大な戦争に突入です。
2021/02/27 12:42
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
満州国からスタートした本作も遂に太平洋戦争という巨大な戦争に突入です。その分、満州国という視点が希薄になったのは残念だが、舞台は東アジアへと大きく広がり、戦記的色彩が強くなった分流れは追いやすくなった。太平洋戦争の経過は結構頭に入っていることも有り、個人的には読み易くなったと感じる。あとは歴史の流れに沿って敗戦へと向かうだけなのだが、逆に敷島4兄弟がどう関わっていくのか、間垣徳蔵の意図はと最後の謎に興味が移った感じ。
<蛇足> 地図が中国全土から東アジア(インド東半分を含む)に拡大した。
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投稿者:Zero - この投稿者のレビュー一覧を見る
特務中佐が語る日米開戦の原因に帝国陸海軍の勢力争いがあったのが情けない。米国が早くから陸海軍の争いを避けるために、統合参謀本部を軍のトップに据えた点から、工業生産力などのハード面だけでなく、ソフト面でも遅れをとっていたのか。まあ、陸軍=長州、海軍=薩摩が母体なので、大東亜戦争開戦から敗戦にいたる道程は、すでに幕末の「禁門の変」で確定していたと言えるかも。
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ついに日米開戦
敷島四兄弟は、流れに引きずられ、立場を微妙に変えながら、歴史を目撃する。
現在に一番近い歴史であるだけに、
もしこの時点でこうだったら?こうしていれば?とか、ついつい思いながら読んでしまう。
ここに出てくる政治家や軍人、実業家などの一部は、現在の政治家や実業家に直接関係していたりする。
この巻の中に、「社会主義と国家社会主義は同根だ」との言葉があり、確かに一党独裁ということともに、スターリンもヒトラーも同じにおい(力で他を制する)がする。
そして、現在の日本の1強の政治状況は、その方向に流れていっていないだろうか?
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1928年~1945年の17年間の満州の歴史。登場人物4兄弟の視点で語られる。満州事変から第二次世界大戦終結までの流のなかで、南京事件、張鼓峰事件、ノモンハン事件、葛根廟事件、通化事件と有名な事件が次々と起こり、4兄弟それぞれの立場で事件と向き合う様子が描かれる。満州の歴史を詳しく知らなかったので、勉強になった。何が正しくてなにが正しくないのかなんてだれにもわからないと感じた。
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長かった。
私事のバタバタやお盆休みを挟んだとはいえ、読み始めから読了まで1ヶ月もかかったのは、ひさしぶり。でも、間違いなく面白い1冊。
日本軍部が太平洋戦争へとひた走る狂気の時代。
局所局所で無能な司令官が愚策を呈し、軍部や政界の勢力争いが、国を破滅の途へと誘って行く・・・。
★4つ、8ポイント。
2018.08.27.新。
※巻末解説文より。
敷島四兄弟が主人公なのではない、「満州国」こそが主人公なのだ・・。
納得。
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不安が緩慢とともに北の大地に残る中、狂騒は絶望を無視して南へ。現在から振り返るからこそわかるこのうねり、当時を必死に生きる人にはやはり抗えない波だったんだろうか。いや、女を囲うその傲慢さに、戦勝の報に溢れるその顔の緩みに、何かを感じて動く余地はあったのでは。いやいや、これこそが現在を高みに思う歴史の闇か。
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大長編も7巻目となった。時代はとうとう1941年12月8日に至り終わりも近い。描かれるのは戦いの場面が多くなり、男女が入り乱れたりするシーンも減っていまいち面白くない。
解説(高野秀行)の船戸作品分析がなかなか秀逸。「(作者の船戸さんは)舞台をどこに定めても大枠の「現実」を勝手にいじらない。架空の政治家や政党、反政府ゲリラなどは一切登場させない。~中略~ 半面、実在の人物は直接書かない。それがイランのホメイニ師であれ、幕末の榎本武揚であれ、登場人物の会話や地の文にこそ垣間見えるが、彼らの内面が描かれることはない。内面どころか見た目の描写さえない。おそらく、見た目を描写すると内面も透けて見えてしまうからだろう。」(p.684)とか、各巻の解説を読んできたので敷島4兄弟(それにしても太郎、次郎、三郎、四郎という名づけ方は何という短絡さ。フィクション感を醸すためだろうか)の末路もそこはことなく知っているんだけど、本巻の解説の「船戸作品の登場人物が最後にはほとんど死んでしまうのも、彼独特のニヒリズムだけが理由ではなかろう。「自分が創ったものは自分で始末しなければいけない」――それもまた船戸さんの流儀の一部なのだと思う。芝居が終わったあと、舞台は前の状態に戻さねばならないということだ。」(p.684)を読んで何だか納得。次巻以降を楽しむ視点がひとつ増えたような感じ。