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第一部完、とでも言うべき8巻では、因縁深き名前付き『赫灼たる猿侯』との対決が描かれている。
7巻と合わせて、この巻前半で準備が終わり、巻の後半で複数パーティによる五番区の五つ星迷宮「炎天の紅楼」攻略が描かれた形だ。
本格的なレイドバトルが描かれた巻と言ってもいいだろう。
このシリーズのメインヒロインと言うべきテレジアの危機に焦点を当てつつの攻略劇は、実は意外に順調に進んだ戦いとなった。
万全に近い形で準備を進めての攻略であり、ページ数で言えば80ページくらいで「猿侯」討伐は為されている。
その意味で言えば、前半で登場した名前付き・流浪のストラダの方が純粋な戦闘力では脅威的だった印象もある。
狡猾なる『猿侯』も、破竹の勢いで成り上がるパーティ「銀の車輪(アリアンロッド)」の前では屈するしかなかった、というわけだろう。
因縁の深さを考えると、やや呆気なく終わった感もあった。
これは準備を整えれば整えただけ有り得る事態であり、ハクスラ型ストーリーのジレンマはあるだろう。
ただ、読者としてはその辺について、どうしても評価に加えざるを得ない一面はある。
というわけで、色々悩みつつ、ここでは星四つ半相当と評価している。
決勝のシーンで今少し、やりようがあった気もする。そこだけ惜しまれた巻だった。
次巻以降の展開、おそらくはストラダとの再会や、あるいは白夜旅団との対決などが織り込まれているのも特徴的である。
そこでも少し、物語の焦点の絞りが弱まったかもしれない。