「論文の書き方だけ」でない
2023/09/13 23:32
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投稿者:りん - この投稿者のレビュー一覧を見る
卒業論文執筆のために、数冊同様のHow To本を購入したが、この本が格段にわかりやすかった。
筆者がはじめに説明するように、本書は社会学や歴史学などの特定の分野においてどのように論文を書くのかということを説明する本ではない。
それ以前のこと、そもそも分野の違いとは何なのか、論文を書くとは何を意味するのかを、問答形式で噛み砕いて説明しており、腑に落ちる部分が多々あった。
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投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「型にはめて書く」論文の入門。Q&A形式も織り込み、分かりやすく解説しています。
「人間は不完全だから進歩する」
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本当に読んでよかった。というか、もっと早く読みたかった。論文とは何か、学問とは何かから、研究をするとはどのようなことなのかということが丁寧に解説されている。研究に取り組む大学生、特に人文社会科学の研究をする大学生は必読だと思う。
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これは凄い本でした。論文にご興味あれば、必読です。慶応の学生さんが羨ましい。学生で、これだけ論文の書き方を習えば、十分です。
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良書 論文とは何か、どういう構成で、どう考えて、どう描くかが丁寧にかかれています。
論文の構成、記述だけでなく、人を説得する技法として、テーマの選び方から、調査、そして、その記述までが平素な言葉でつづられています。
気になった点は以下。
・論文は①主題提起、②論証、③主題の再構成という構成が古代ギリシャから唱えられていた。
・古代ギリシャの構成が原型となっていて、現代アメリカでは、①序論・②本論・③結論というエッセイが教えられている。
・論文とは「人を説得する技法」である
・論文は、自然科学と人文科学とでは、若干構成がことなる。自然科学では、序文、対象と方法、結果、考察の四部構成となる。
・論文には、実験の結果だけでなく、過程も記録して保存し、公開する。他の人が同じ実験を繰り返して追試することが可能です。そのことを、再現性の確保という。
・人文科学の論文では、結果にあたる部分が長い。過去の資料を記述し、分析や検討をしていく過程が自然科学や工学系より長くなるためです。
・論文は、「実験/調査型」「試料分析型」「理論型」「複合型」
・資料について、自分が調べたものを「一次資料」、他人が調べたものを「二次資料」という
・問題となるのは、その論文にて問いたい「主題」は何なのか、調査する「対象」はなにかのかをはっきりすることです。
・主題と対象を設定するなら、調査の方法もある程度きまってきます。
・いまの大学で教えられている学問の主流は、経験的に観測できる対象から、観測できない主題を追求する学問です。
・主題設定は、「問い」の形で立ててみるとよい。
・主題は、抽象的な問い、対象は具体的に調査できるもの。
・先行研究を探すには、漠然とした関心でよいので、それに関係した「研究」を何か一つさがしましょう。
・主題や対象がある程度固まってきたら、手に入れた研究書や論文が言及している先行研究を、どんどん集めましょう。そして、集まった研究書や論文が言及している先行研究をまたどんどん集めましょう。
・少なくとも、論文で、Wikipediaを典拠に使うことは不適切とされています。
・方法を組み合わせて、調査全体を設計していくことを、方法論、もしくは、サーチ・デザインという
・見えたり聞こえたりした事象から、見えたり聞こえたりしない因果関係を推論することを、「因果推論」という
・調査設計する方法は、仮説検証型と、仮説生成型とがある。
・調査設計は、①探索、②記述、③比較、④因果の大きく四段階に分かれています。
・パラグラフライティングには、記述パラグラフ、比較パラグラフ、因果パラグラフがある。
・調査には、文献の先行調査による「事前研究」か、実際に調査を行う「サーベイ」がある
・「学」とは、ある前提をもとに、論理的な認識を行うこと。前提が変わると学問体系が変わる。これを「パラダイム転換」という。
・前提が異なる「学問」同志で議論することはむずかしい。学問体系が違うと使う理論も、方法論も違うことが多い。
・調査には、量的(定量)調査と、��的(定性)調査がある。
・認識論に対して、客観的に認識できるという実証主義と、主観的解釈を重視すべきとする解釈主義とがある。
・質的調査の方法 ①インタビュー、②オーラルヒストリー、③会話分析・言語分析・ナラティブ分析、④フィールドワーク・エスノグラフィ、⑤アクションリサーチがある。
・論文を作成にするにあたって、研究計画書を作る。
・パラグラフと同様、文章も、「一文一内容」にした方がわかりやすい
・複雑な論文を書くときは、構成表を書いてから、それから書き始めるのがよい。そして、カードに書いて、何度も並べ替えるのもよい。
・論文のレファレンスや注釈の方法は統一されていない。シカゴスタイルや、オクスフォード、ハーバードなどのやり方がある。
・構成がきちんとしていれば、そのまま要約を作れる
・論文の審査も校正も流れはいっしょ
①主題・対象、方法が設定されており、お互いに整合しているか
②既存の先行研究や学問体系との関係が十分に検討されているか
③明確な論拠と、明確な論理によって、論証がなされているか
④設定された主題に即した結論に導かれているか
⑤検討された先行研究の学問体系に対する貢献を明らかにしているか
⑥論文の文書として基本的な質が保たれているか。
目次は次の通り
はじめに
第1章 論文とは何か
第2章 科学と論文
第3章 主題と対象
第4章 はじめての調べ方
第5章 方法論(調査設計)
第6章 先行研究と学問体系(ディシプリン)
第7章 方法(メソッド)
第8章 研究計画書とプレゼンテーション
第9章 構成と文章
第10章 注記と要約
第11章 校正と仕上げ
おわりに
参考文献
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学生時代に読みたかった。今思えば何気なく書いた卒論も本書に記載されている構成で成り立っていると気付かされた。批判や追検証を通じてさらに論文を飛躍させることができたかもしれない。論文だけでなく、プレゼンなどでも応用可能な一冊。
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引用文献references
参考文献bibliography
P.81 4つの基本構造類型と分野別分布状況
主題 抽象的な問い
対象 具体的に観測できるもの
仮説検証or仮説生成
著者の意図 独立変数
作品 従属変数
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アイザック・ニュートンの名言として「私がかなたを見渡せたのだとしたら、それはひとえに巨人の肩の上に乗っていたからです。」というものがあります。どんなに偉大な発見も先人の思考の受け継ぐことによって生まれるって意味だと理解しています。学問というのは必然的に継続性の中で進んでいくものなのでしょう。一方、望月新一朗のABC予想の証明が論文掲載後も未だに議論されているという話題が、最近の数学ブーム(?)の中で取り上げられています。学問は開かれた場で徹底的に検証されるもの、ということの事例なのでしょう。学問というものが必要とされる歴史への接続性と誰も拒否しない公開性を成り立たせるツールが、本書が取り上げる「論文」という手段なのだと思いました。その「論文」作成の完全マニュアルがこの新書です。この春、仕事をリタイアした友人が大学院に入り直しているのですがなかなか研究というもののお作法に四苦八苦している、という愚痴を聞きました。なるほど、徹底的に科学的であろう、とすると守らなくてはならないルールがあるのだと推測します。しかし、その面倒くさいスタイル(本書では規律discipline」)が、スピードとか思い付きとか好き嫌いとかで、どんどんフェイク化した情報が溢れている社会の中で、ますます価値を持っているのだとも思います。なので、この本、学生のための実用書だけではなく、このフィルターバブル化していく社会で「対話」というものを成立させる必読書にも感じました。それにしても人文系科学の理系に対するコンプレックスは深いものがあるとも感じました。著者いうところの「科学ごっこ」…しかし、少子化による学生減に悩む大学は理系、文系という枠を超えた学部を新設が目立ちます。またデジタルの進捗によりデータの取り扱いが全領域に拡がっていることもきっと人文科学系の論文の書き方に大きな影響を与えていくのではないか?と思っています。この「論文の書き方」もアップデートされていくのでしょうか?
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文系理系という違いだけではなく、文系でも経済学と法学、歴史学など、それぞれの分野の論文の違いが俯瞰できる貴重な1冊。理系でも、物理学と医学の違いなどにも触れている。
学術論文に少しでも触れている人におすすめ。こういった本は意外となかった。
本書を読んだあとに、最終頁の講談社現代新書の言葉を読むと感慨深い。
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論文技法ジャンルの新定番になりうる。これまで同分野の書籍と比較して、論理明快、非常に具体的で役に立つ上に、とてもリーダビリティだった。読むだけで頭が良くなる本で大学生から社会人まで幅広くおすすめしたい。
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テクニック的なものかと思って、軽く手にしてみたが、良い意味で裏切られた。帯にも記載されているとおり、学問それも特定の領域や分野に偏らない本当の意味で普遍的な学問の型、それへの取り組み方を明確に示してくれている。長く今の仕事をやっているうちに我流の方法が身についてしまって、それでもどうにかやれてきているが、考えを改めさせられた。今から全面的に方法転換するのは難しいが、まだしばらくこういったことには取り組ませてもらえるだろうから、少しでも変えていきたい。これからも動的に変化はしていくと思うが、現時点に限定すると「研究の入門書」としてはベストな一冊であると言えるのではないだろうか。もっと早く出会ったいれば、私のキャリアも今とは違っていたかも知れない、ちょっと大袈裟だが。
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学問とは、論文とは、が何となくわかった。
学問は共通の前提や公理を元にして論理的に積み上げたもの。現代では現実をより説明できる学問が重要視される。論文は人を説得するもの。説得力を増すために今の書き方に落ち着いている。再実験や反証は大歓迎。
自然科学と比べて人文、社会科学はコントロールできない変数が多すぎて書き上げた論文は反証の余地がありすぎると思ってしまう。そのような論文に意味はあるのだろうか。
学生が卒論のテーマ決めたり研究室を選ぶ前に読むといいと思う。
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「論文とは何か」から解き起こし、どの学問分野にも汎用性がある「論文の書き方」の基礎を解説。
450頁を超える大部だが、受講生との対話形式も交えた明快な内容で、すいすいと読み進めることができた。
学生時分などに既に触れたことのあるような情報も少なくなかったが、学問、研究とはどういうものかという根本的なことも含め、論文の書き方、いわゆるアカデミック・ライティングについて、自分の中で知識を整理することができた。
本書を読んで、やっぱり研究っていいなと感じ、また何か論文を書いてみたくなった。
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卒論は徒手空拳で望んだ様なものだったが、その頃にこの本を読んでいたら(20年も前の話なので不可能だが)、もう少ししっかりした卒論になっていたと思う。
本書の内容は仕事にも充分生かせると思う。提案書や稟議書、報告書に反映させる事が可能。
本文には「論文を書くことは人間の不完全さに気づくこと」とある。一生涯を論文(研究)に捧げた研究者は、人間(自分)の不完全さに真正面に向き合い続けた人なのかな、と感じた。
著者の著作は注が膨大な事が1つの特徴だが、本文中の「注記と要約」を読むとそれも納得出来る。
今後の著者の本を読む上でのガイドブックともなる一冊。
ジュンク堂書店近鉄あべのハルカス店にて購入。
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卒論や修論を書く前に読んでほしい一冊。
論文の歴史や論文の考え方を掘り下げるので,その点では難しい,遠回りと感じることが多いかも知れないが,それらを理解しようと頭を働かせることも論文執筆トレーニングの一環。
具体的な文章構成については,パラグラフライティングを推奨しているが,パラグラフライティングのトレーニングは他の本でする方が良い。それよりも,全体として論文はどういうもので,どう書くかが腑に落ちて書くための本。