地方創生・・・?
2023/01/23 09:58
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投稿者:ヤマキヨ - この投稿者のレビュー一覧を見る
限界集落どころか定住者がすべて去って無人となってしまった集落。それでも新たに人を招いて再生するべきなのだろうか。もともとの定住者が去ったのには、去らざるをえなかった理由がある。いざという時に消防車や救急車が到着するまでに1時間近くかかるような、市街地から遠く隔絶した山あいの村。買い物に時間がかかるという以上に、非常時には生き死ににかかる場所。
地方創生とか地方再生と国はいうけれど、人口減がすすむ中でその政策はコストに見あう成果は得られるのか。Iターンの夢から覚めてまた去って行く登場人物の、それぞれのエピソードはとてもリアル。住人達が去って行く原因の謎解きをサスペンスとして楽しみながら、コンパクトシティー構想とか、あえて東京一極集中を進めるのも、限られた財政の中では意味があるのだろうかとも考えさせられました。
地方自治ミステリー
2022/10/09 09:32
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投稿者:ぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
国内某所の南はかま市。住民全員離村し消滅した集落・簑石に市外から新住民を招き入れ再興を目指す企画。だが事件が相次ぎ定着は難航、やがて…。著者らしい苦味が強いミステリーです。語り手の市役所蘇り課職員・万願寺のやる気のない上司同僚をしり目に孤軍奮闘する姿に、いつしか彼の視点にシンクロするが、彼の努力を水泡に帰す出来事が続き、違和感も蓄積していく。やがて集落が無住の地に復した際に語られる真相。客観的には合理的なんですが虚無感に覆われる。一気読みの面白さでした。なお集落消滅は珍しくなく限界自治体すらあるらしい。
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過疎の町でIターンプロジェクトを担当する市職員の万願寺さんがプロジェクトの成功のためにそこそこ奮闘するのだけど・・・,というお話.万願寺さん,ちょっと鈍すぎ.課長が切れ者で観山さんもただものじゃないのは,すぐに分かりそうなものなのに.しかし郭源治とか大魔神とはずいぶん古いな(確かに,すごい抑えだったけど).
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米澤穂信の作品は磨き上げられた硬質な読み味がいつもある。ある地方都市の田舎街に人を呼び住まわせて甦らせる仕事に就いた万願寺、観山、そして西野課長が関わる人々との物語。ライトなミステリーでどんどん読み進められるし、登場人物たちの会話が面白い。
印象に残る会話シーンも所々あり、おすすめは兄弟の電話だ。相容れないふたりが言い合う様子は胸にくる。
本当に文章がきれいで、そして余韻を残す作品だ。
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なぜか集落に移住者が居付かない。奇妙な物語。
でも結論は、すごく現実的だった。
掴みどころが無い感じが、っぽくて好きでした。
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【極上のミステリ悲喜劇】無人になった山間の集落を再生させる。市長肝いりのプロジェクトは次々とトラブルに見舞われ、住民は一人また一人と去って行き……。
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行政の裏側を見せられているような作品でしたねぇ。
現在、横浜市で準備している花博とか思い出してしまった(-"-;A ...アセアセ
一旦、決まったことは撤回はしない。だから、裏から手を廻すってどこの反社集団なんだろうか? とか思ったわぁ。
結構、ブラック度が高い作品でした。
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確かに悲劇は悲劇だったが、見る方向を変えるとすべて喜劇だった。
一度死んだ集落に移住者を募り、集落を甦らせるために市役所に創設された甦り課には、その身に余る不運が立て続けに起こる。
しかし、大抵の不運には誰かの力が働いているものだ。
真面目な公務員、万願寺の仕事振りと上司の仕事しなさ振り、公務員っぽくない同僚、風変わりでまともな移住者たち……
この不運は誰が作り出したもので、誰にとって悲劇で、誰にとっては喜劇か。
考えれば考えるほど、真面目に公務員を全うする万願寺の肩に手を添えたくなる。
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最初のとっかかりが何これ?みたいな感じで入り込むのに時間がかかったけど、
米澤穂信流の「そして誰もいなくなった」ってこういうこと!?ってなってそっからは一気読み。課長が絶対ラスボスだと思ってたけど、やっぱな。
あと各話のタイトルの付け方に脱帽。ひえーんすき。
でも一生懸命ここに住もうとしてくれた人たちに尽力した万願寺さんがかわいそう。報われてくれ~。
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【あらすじ】
Iターンプロジェクトによる廃村へ移住者に定住してもらう計画。
特別に設置された市の「甦り課」に日々舞い込んでくる移住者達のトラブルと謎。
去っていく移住者達の悲喜劇。
【感想】
途中、陳腐な内容の話も出てくるけど、実はそれすらもこの物語全体で見ればなるほどと腑に落ちる内容。
第一章からあった違和感が終章で全て繋がっていく。
米澤先生の作品は「満願」や「王とサーカス」などどれも面白い。
氷菓シリーズも含めれば10作品近く読んでいるかもしれない。
この作品もとても面白かった。
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読み進めても、何がしたいんだろう、何が言いたいんだろうと、意図を読み取ることに腐心した。
最後にようやく納得できたが、ちょっとなあ。
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Iターンプロジェクトをサポートすることになった、1人の公務員が主人公。
単純な『そして誰もいなくなった』のオマージュではなく、その枠組みを使って、地方自治の難しさ•市民の生活を支えるべき公的団体であっても、常に予算と睨み合わなければならないことなどを、巧みに伝えた作品だった。
社会問題を伝える本格ミステリとはまた一味違ってとても興味深いし、ミステリーとしても完成度が高くてとても面白かった。
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限界集落、蓑石は最後の住人が亡くなり消滅する。
8年後、消滅集落を再生させる市長肝入りのプロジェクトが始動する。その集落で起きるちょっとした事件を連作短編のように描いていく。
限界集落や移住者の描写が非常にリアル。公務員の裏事情のようなコミカルな会話も楽しい。
同じ作者の『リカーシブル』を少し思い出した。
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この流れ前にもみたな。短編の集合体が、全体の大きな流れの伏線になってる系。
短編、短編の結末が結局同じになるので、すこし間延び感がある印象。
とはいえ、それぞれの伏線がキッチリ回収される流れは爽快な読み応え。
裏の意図というか背景の部分だったり、主人公の心理描写の印象が少し薄く感じたかなぁ。
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僕にとって、米澤穂信は、読んで後悔することがない。安心して手に取ることができる。地味だ、と感じる人もいるとは思うが、米澤が描いて見せる、滑らかな連続体を思わせる小説空間は、とても居心地が良い。