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グロテスクだったね〜。終始、陰湿な雰囲気が続く。
わたしの理解が足りていないのは大いにあると思うが、最後までわからないことが多い。あらすじに「果たして彼女の目的は、」と書かれているが、最後まで読んでも英利子の目的はわからなかった。
というか、別に目的なんかないんじゃないのとも思った。世の中には娯楽として嘘をついたり、人を蔑める人もいる。狂人ではなく正気の狂人。あとお父さん。
最後に出てくる切子の「やらないで後悔よりやって後悔って言うけど、迷ったらやらない」の言葉は凄く好き。
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息をするように嘘をつく女。その人に影響をうける人達の辛く切ない物語にじわじわ恐怖を感じた。
たった1人の怪物にここまで人生を振り回される人がいるのかと救いようのない展開に気持ちが重たくなってた。
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一番好きなのは奈落の踊り場。読みやすい文章で物語に入り込めて時間があっという間に感じた。
読むだけで浮かび上がる情景と足りない空白を埋めようと想像させるそのバランスが私の好みだった。
「愛想笑いに疲弊する頬は、真崎の部屋にいたときとは筋肉の使い方が違った」
表現の仕方や一つのアクションに対して自然なアプローチで情報を説明するのがスマートに感じる。
次に好きなのは馬鹿馬鹿しい安寧
最初の主人公より愚かさを感じるのに何故かイライラせず読める。
この二つの作品は不倫特有のヒリヒリ感とハラハラ感、理性的に考えて決断すればリスクを冒さなくて済むのにそうしない人間の非合理的なところが垣間見れて楽しい。この人の作品もっと読みたいと興奮しながら読んだけどそのほかの作品はどんどん私の中では減速していった。
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全く嘘を感じさせない女が 時間と場所と相手を変えながら 悪意ある嘘を連ねていく。
信頼させられた人に裏切られていく連作短編。
「奈落の踊り場」
実家実母に不満を抱えて 築いた家庭は望む形にならない。そんな人妻の隙間に近づく優しく若い男。その男の後ろには あの女。
「馬鹿馬鹿しい安寧」
不安な異国、夫の赴任先。信頼し切っていた友人に根底から騙される人妻。手挽かれたように異国の男と堕ちていく。友人はあの女。
“嘘の幸せ” “真実の不幸” 全くよ。
「戯れ」
母親の失踪に連れられた港町。中学生男子は 母親を支えて生きているつもりでいた。父親を恨みながら。あの女は自分の子さえ嘘で導く。
「カゲトモ」
学生時代 計算され尽くした嘘で弱みを握るあの女。嘘は厳密。カゲトモという名の友情の嘘。
「きみには親はいない」
がんばれ息子。
濃密な嘘と悪意の一人の女の生涯。
息をするように嘘をつく女に息が詰まる。
図書館にある一木さん、これで終わり。
何作か読んで感じるのは、連なる作品の中で登場人物が 多少設定を変えて現れてくる感じ。同じ環境の人物のパラレルのような。厳しいと家庭環境で育つ厳しさとそこからの逞しさ。
次作が楽しみです。
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こんな母親に育てられたら…こんな友達がいたら…こんなご近所さんがいたら…想像するだけでゾッとする。
不穏な空気がじわじわと広がり、恐怖で鳥肌が立つ。嘘にまみれた人生、嘘で自分を偽り、嘘で他人を陥れる。嘘、嘘、また嘘…
次の行動が予測不可能な人格破綻者。
嘘で固められた自分、本当の自分が見えなくなるほど。でもきっと、彼女はそんなことを考えることさえないほど、嘘がその身に染み付いているのだろう…そう、幼少時代から…
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なんの理由もなくすらすらと嘘を重ねて生きる女と、その嘘に巻き込まれてもがき苦しむ周囲の人々。
ここまでではないけど、わたしの周りにもいた。無垢に、時に悪意を持って真実のように嘘を口にする人が。恐ろしいのは本人はきっとそれを嘘と思っていないこと。下手をすると自分が被害者だという顔すらする。
なんなんだろうね、こういうひとたちは。
でも本当にかわいそうなのは、そうやってしか生きられないその人なのかもしれない。
周りにいつも親しくする人はいる。でも真実を語り合える人は誰もいない。寂しいね。
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話の展開がうまく頭にイメージできなくて混乱気味のまま何とか読み切った
誰が何のためにどんな行動をとったのかを整理して考えるのが難しいのは、英利子の嘘に特に意味がないから?
合理的でなくても嘘をつくことに何かしらの意図とか目的がある、という論拠がぐらついた