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投稿者:sas - この投稿者のレビュー一覧を見る
安部元首相は「日銀は政府の子会社」という考えから、国債を日銀に買わせ続け、日本の財政とその規律を壊しました。
黒田前総裁は、安部元首相の意を受けたのでしょうか、国債を買い続け、市場機能を壊してまで金利を抑え込むことで、日銀のバランスシートを維持するのに懸命だったのでしょう。
この本を読んで、本当に我が国が危機であることが分かりました。
それとともに、こういった方が長年にわたって国のかじ取りをされたことを残念に思わざるを得ません。。
政権と日銀の責任
2023/05/13 16:33
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この10年間にデフレ克服と日本経済の回復を目標として鳴り物入りで行われた異次元の金融緩和。しかし、それを押し進めた責任者二人は既に舞台を降り、残された結果は崖っぷちに立たされている国家財政。日銀が10年の長きにわたり政権と手を携えて行ってきた政策の結果を解りやすく解説しながら日本国の危機を訴えている。メディアの政治面でも軽く流される国債残高。年々増えているが問題点を強く訴える論は少ない。国民も安心感を従順に信じ、無関心になる。政権の延命だけを真の目的にバラまかれている目先の金に惑わされて将来を考えない無責任さ。一般家庭で借金を返せなかったり借り入れを繰り返していたらどうなるか。財源論をおざなりにして走る政策。このままでいいのかを強く考えさせられた。
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黒田さんの「黒田バズーカ」はアベノミクスと相まって、その当初は日本の経済を復興させ押し上げるものとの期待が高かったが、結局は10年経っても成果を出さず、かえってあまりにも自己の政策に固執したがために日本を未曾有の危機に晒し、その実験は壮大な失敗に終ろうとしているように思える。
本書はその金融政策と財政が絡み合ったリスクを、分かりやすくときほどき説明してくれている。
本書を読んでいると能天気な政治家とマスコミに何をやっているのかと喝を入れたくなる。不勉強な我々もいけないのだが。
平たく言えば、借りたものは返さなきゃいけないんですよね。もう後世の世代にツケを残すのはいい加減にやめねば。
筆者が第八章でまとめているが、今この危機にしっかり向き合い、出来る事をやらねば大変なことになる。もっとも私には手遅れのようにも思えるが・・
個人の防衛策としては、少ない資産ではあるが一部でもいいので、金に変えとけばいいのだろうが、市場最高値となっている今では遅きに失する気がする。
ドルに変えとくしかないのかな・・?
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2020年2月から3年間以上に渡って続いてきたいわゆる「コロナ騒動」が今年のGW 明けに終止符を打つことになると思います。すでにマスク着用の自主判断等がニュースでも伝えられて、コロナ感染者に関する報道も下火になってきている感じがします。
このコロナの間で働き方や外食の仕方が変わってきたのは事実ですが、私たちの生活を支えるためのと称して、大きな反対もなく導入されてきたのがここ数年の政府予算の大型化に伴う、日本国債の発行の増大があると思います。今まで、日本国債の発行が増えても問題ないという本を読んできて安心してきた私ですが、近年になって初めてそれに対して警鐘を鳴らす本に出会いました。
この本の著者の河村女史は、日本銀行勤務も経験されて、日本が抱える問題点及びこのままの状態が続くことで予想される近未来の日本の姿を外国との相違を踏まえて示しています。ここ数年でゴールドの価格が2割以上上がりました、これは日本通貨「円」の価値が下がったことを意味します、つい数ヶ月前には30年以上ぶりの円安にもなりました、そして今まで量的緩和を断行し続けてきた黒田総裁が先週辞任しました、これから日本の金利は上がっていくことになるのでしょうか、いわゆるデフレ状態に30年間慣れてきた私たちの生活はどうなるのでしょうか、これらのことが頭をよぎりながらこの本を読ませてもらいました。
以下は気になったポイントです。
・10年近くの長きに渡り「低インフレ・超低金利状態」の恩恵に預かってきて、2020年春には諸外国と同様に我が国もコロナ危機に見舞われ、政府は大規模な財政出動を余儀なくされたが、私たちはそれから3年が経った今に至るまで、このろコロナ危機対応のための目立った負担増を求められていない。これらも全て、この「低インフレ:超低金利状態」のおかげであった(p15)
・コロナ危機後の2021年夏前後から、世界の主要国の経済は高インフレ局面へと急転換した、米FEDをはじめとする主要中央銀行は2021年末頃から22年春頃にかけて短期の政策金利を引き上げる金融引き締めに軒並み転換し、大幅な追加利上げを重ねつつ、コロナききで一段と膨張した銀行自身のバランスシートの縮小を急いでいる、つまり、これまで買い入れてきた国債を各銘柄の満期が到来するのを待って手放している(p28)
・日銀がいまだに姿勢を続けている本当の理由は、これほどまでの大規模な異次元緩和を長期間続けてきてしまった結果、一度利上げ局面に入れば中央銀行としての財務運営はたちどころに悪化し、赤字に転落するのが確実な状態にすでに入っている、債務超過状態が10年という単位では済まず、数十年単位で長期化する可能性がある、これはその国の通貨が信認を失う、その国自体が他の国から経済取引を行う相手として信用されなくなることを意味する(p30)しかし利上げに踏み切らなければ、インフレ進行が放置されるリスクは高まるが、日銀は赤字にも債務超過にもならない、これが本当の理由である(p48)
・単純計算すると、歳出の全て(保障費、防衛費、義務教育の国庫負担金、地方交付税など)は、一律4割カットしなけれ���収まらな口なる(p68)
・金利がゼロ金利制約にあるもとでは、中央銀行が民間銀行向けにいくらマネタリーベースを増やしても、金利がプラス時代のように民間企業から市中の企業や家庭向けの貸出が伸びることはない、ということは日銀が世界で初めて、ゼロ金利制約下で量的緩和政策を試して分かったことであった(p85)
・異次元緩和を助長する道具となったのは、利払費を極小化させられるようになったから。世界最悪の国債残高の規模からすれば異様なまでに小さな利払いで済ませることができる状況が異次元緩和によって作り出され、長期間にわたって維持され続けてきた(p166)2012年度末と2020年9月を比較すると、240兆円も国債残高が増えたが、利払い費は、8.0兆円から7.3兆円に減少した、これが異次元緩和を漫然と継続することができた最大の理由である(p174)
・コロナ危機に見舞われることを想定していない、2016年時点において、10年国債金利が1-2%とした場合、2022年で17.6兆円、2025年には21.9兆円になると見通されていた(p178)
・戦後早々、空前絶後の大規模課税として、動産、不動産、預貯金などを対象に高率の「財産税」が課税された(取るものは取る)、そしてそれを原資に内国債の可能な限りの償還が行われ、内国債の債務不履行そのものの事態は回避された(返すものは返す)、他方、戦時中に国民に対して政府が支払うと約束した戦時補償債務を切り捨てるため、国民に対して政府の負っている債務と同額での「戦時補償特別税」の課税を断行して、丸ごと踏み倒した。これらの課税に先立ち、順番としては一番先(1946.2)に預金封鎖及び新円切替を行なった(p201)
・財産税は貧富の差なく納税義務を負うことになった、累進方式の試算課税だが税上げ総額の観点から見ると、いわば中間層からの税上げ総額が最も多い(p204)
・新円と旧円との交換比率は、1:1であり、デノミネーションが目的ではなかった、しかし国民の手元にある旧円は一切使えなくなった。使えるのは預金口座から引き出すことを許された少額の新円のみ(p206)国民向けに「インフレ抑制」という説明で通した、「敗戦による事実上の財政破綻の穴埋め」とはとても言えなかった(p208)
・多額の内国債を保有している民間銀行を経営破綻に追いやらないために内国債の債務不履行は回避し、かつ、主要銀行については民間銀行に債権放棄をさせ、その原資には本来は、民間銀行が預金者が窓口に払い戻しに来たら全額を払い戻さなければいけないはずの預金を切り捨てることで賄う、預金者である国民の支払いには応じないという方法であった(p211)
・国民に不人気な税制改革の問題は、年末近い短期間に与党の税制調査会で短期間議論して事実上決められてしまう。メンバーは年配の男性議員が中心で、若者・女性・一人親世帯などの多様な国民の意見が反映されることはない、高齢の富裕層本意の視点で税制が決められ続けている(p252)
・60年償還ルールはあくまでも建設国債のみであったが、1975年度から赤字国債が発行され、85年度からは合理的理由もないままに60年償還ルールが適用されて今に至っている(p257)
2023年4月15日読了
2023年4月15日作成
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MMT理論やリフレ派と呼ばれる政策を真っ向から否定した内容であり、金融に対する知識がなければ読破までの難易度は高い。著者は日銀出身の女性であるが、最新のデータや国際情勢もしっかりと触れられており説得力がある。マイナス金利政策や YCCの功罪についての理論立ても素晴らしい。このままでは日銀も日本財政もいつか破綻すると言う危機意識を感じた。
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前半、良く分析されていると思った。中盤、戦後の日本が出てきたあたりでうーんとなった。後半は仰る通りなるも、極端か。経済は面白い。もっと勉強は必要と気付かせてくれた1冊。
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日本の財政赤字問題は都度問題になるが常に真剣な議論がない。本文中に「全ての国民の無理解、無責任」とあるがまさにその通り。誰かがある日突然万能の解決策を示す事はない。痛みを伴っても日本国民が解決して行かねばならない。大変だ、苦しい、辛い事はいやだ、という甘い考えでは将来世代が救われない。せめて子や孫の世代を救うため、財政再建を始めようではないか、と考えさせられる内容であった。
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別の本でも読んだが黒田総裁になってから異常に株式と国債を買い上げてバランスシートが拡大している状況からいかに脱却するか
崩壊は時間の問題
利上げをしないと円安の進行がさらに進むはず
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ある方に勧められたこともあり、読んでみました。
日本の財政の状態について、日本銀行のあり方を中心に、これまでの日本の状態の推移や外国の状態との比較を通じて、丁寧に説明した本だと思います。
とくに、日本の債務残高がここまで膨らむことが可能だった(膨らむことを可能にした)理由については、とても納得できましたし、日本の財政が危機的な状態にあることが理解できたと思います。
また、前の日銀総裁の黒田さんのやり方でよくなかった点も、ある程度理解できたと思います。
それにしても、日本の学校教育では、政治や財政について学んだり考えたりする機会が少ないですよね。
政治や財政については、いろいろと経験を積まないと理解しづらい部分も多いとは思いますが、もう少し広くかつ深く学校で学べるようにした方がよいと思います。
日本(日本国民)のレベルを上げるためにも、また、日銀や政治家、官僚の暴走を防ぐためにも。
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この本で明示的に批判されているのは黒田東彦・前日銀総裁と安部政権だが、本書を突きつけて黒田日銀を責めても暖簾に腕押しだろう。なぜなら彼らは市場参加者の期待、すなわち将来の物価予測を人為的にプラスに形成せんがために「無責任な中央銀行」をわざと演じてきたからだ(中央銀行は将来の物価上昇局面で金利を上げるだろうと市場参加者が予測してしまうと、現在の利下げの効果が薄くなってしまうので)。つまり彼らはいわば確信犯なので、説明不足で無責任だとの批判には冷笑で答えるのみだろう。その日銀の姿勢を奇貨として最も利益を享受したのは安部政権だが、彼らに対する批判も当を失したものとなるに違いない。何せ特に安部元首相本人は、おそらく金融政策というものを殆ど理解していなかったように思えるからだ。およそ理解しようとする意思すら無い者との議論ほど不毛極まり無いものはない。
著者が真に糾弾の対象としたいのは、我々国民の不勉強と「いずれ国が何とかしてくれる」という乞食根性だろう。何せこの放漫財政と野放図な金融政策を(消極的にせよ)選択したのは我々自身だ。「財政政策・金融政策とは何か、通貨とは何か、国家に対する信任とは何か」を考えることを放棄して、耳に心地よいだけの近視眼的な弥縫策に票を投じ続けた結果、日本はここまで来てしまった。
確かに金融政策は理解するのが難しい。しかし本書で述べられているように、他国の国民には「フリーランチなどあり得ない」「人間は近視眼的な生き物なので制度面で制御する必要がある」という知恵があり、これを政策に反映させている。ポピュリズムの嵐吹き荒れる米国ですら、デットシーリングや「債券自警団」の機能を停止しようという議論は生まれていないのだ。西欧の「ノブレス・オブリージュ」の精神が我が国に根付いていれば、政治家や官僚の主導のもと、制度内に属人的ではないオートマティックな制御装置が備えられたはずなのだが、残念ながらそうはならなかった。ファイナンスの知識を教育に取り入れるべき、という議論が盛り上がるのもさもありなん、という気がする。
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前半部分の日本の財政状況の説明と黒田異次元緩和の説明が、とても分かりやすくて具体的。
FRBやECB等との違いの比較もあって、いかに日本の財政が異次元の危機的状況にあるのかが具体的示されていて本当に恐ろしい。
勉強になるけどやっぱり難しい...
第6章に、戦後の中央銀行の巨額債務とハイパーインフレの事例が書かれているが、単なる昔話とは思えず、これまた怖い。
資産税の徴収、政府による債務放棄、新札発行からの預金封鎖...
これを断行した時の大蔵大臣である渋沢敬三大臣は、新札の顔である渋沢栄一の子っていうのは、現政府からのアラートメッセージなのか?などと下衆な勘ぐりをしたくなってしまった。
最近の円安進行と度重なる為替介入による火消しの感じを見ていると、いよいよ来るところまで来たか?とも思えて怖くなった。
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金利とか国の借金とか耳にしても理解できなかったのでこの本を読みました。
日銀やその周辺に関してわかりやすく私のような金融の理解が薄い者には助けになりました。