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「かたばみ」って読むまで何かわからなかったけど、雑草の一種で花言葉が「母の優しさ」「輝く心」だそう。この物語にぴったり。戦中から戦後を描いた物語で、生きてきた中で戦争のことは学ぶけど、戦中の人の心の深いところを学べる物語だった。本当にこんな世の中があったんだなぁと今の生活ぶりでは想像のできない事ばかり。長編だったけどあっという間に読了。
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新聞連載で感動した話。
ごく最初の部分を読んでなかったので、単行本化されたのを再読し、感動再び。
戦争、家族、働く女性…
どれも重要なテーマであり、考えさせられることも多いですが、重過ぎずユーモアもあります。
何度も読み返したい本です。
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それぞれの人生哲学が所々に語られて、生きていく意味が散りばめられている。血がつながらない親子でも親子の情があれば親子なのだ。戦争の時代の中で悩みながら成長していく悌子の生き様に惹きつけられてあっという間に読んでしまった。
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昔、家族で観ていたホームドラマを思い出す。
老若男女全ての人が楽しめる、笑いあり涙ありのドラマ。
戦中、戦後を生き抜いた家族のお話。
家族といっても今のような核家族ではなく、三世代、さらには叔父叔母いとこまでもが、狭い家に団子のように引っ付きあって暮らしている。
もちろん、戦争の悲惨な場面も出てくるのですが、一冊まるまる、清々しくて力強い。
作中、おばあちゃんが『時間もお金も少ないくらいがちょうどいい。余っていると余計なことを考えてしまうから』という意味のことを言っています。
まさしくそういうことなんだな、とストンと腑に落ちる。登場人物全ての言動が単純明快で気持ち良いほど。裏というものが全くないのです。口は悪いけど、言った後に何のしこりも残さない。
でも、悩みがないかと言えばそんなことはなくて、家族だからこそのすれ違いは、やはり起こるのです。そんなところは今も昔も変わらないなと思うけれど、解決の仕方は、大家族ならでは!
自分一人で抱え込まないのが大切なのかも。
図書館で見た時、あまりの分厚さに引いてしまったけれど、何ならまだまだ読んでいたいよ。終わらないでほしかったよ。
爽やかな読後感!いいお話でした。
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どの登場人物にも感情移入でき、読後感もとてもよい作品だった。セリフに同感できるものが多く、それを数行で表現していてなるほど〜と感心する点が多々あった。権蔵は話の中でダメ人間という評価だったが、言うことが的を得ていてどれもとても心に響いた。
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なぜ『かたばみ』が本屋大賞にノミネートされなかったんだろうと、不思議に思っていたら、四国の名物書店員さんの個人的文学賞の山中賞に選ばれていた。
戦中戦後の混沌とした世の中で、オリンピック選手になることを夢見ていた山岡悌子の半生。
幼馴染への淡い恋心、戦中戦後の貧しさ、軍事教育への疑問、ひょんなことから始まる結婚生活、親子愛。まるで朝ドラを半年間見続けたような感覚だった。
560ページもの分厚さに読むのにどれくらいかかるかと心配していたが、あっという間に終わってしまった。
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昭和18年、山岡悌子は日本女子体育専門学校で
指導研修生として槍投げを教える。
自身は肩の故障で現役を続けるのは無理だった。
いずれ許嫁と結婚し家庭を持つ。
それまでは国民学校の代用教員として過ごす。
悌子が思い描くこの先のこと。
それを戦争が奪った。それぞれの人生を変えてしまった。
下宿先の家族はちょっと癖のある人ばかり。
苦しくても歯を食いしばり、雑草のように強く生きる。
ここに登場するすべての人が人生を嘆くことなく
「一所懸命」「正直に」生きている。
読み終えたあと、ぽっかりと穴が空いたように寂しくて。
こういう読書体験ができるのは稀なこと。
『かたばみ』は長く心に残る作品になった。
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私の中では、“信頼の秀作メーカー”である木内昇さん。
本書も、“これぞ、木内クオリティ!”と唸りたくなる出来栄えでございました。
元槍投げ選手だった悌子は、引退をきっかけに国民学校の代用教員となります。
同郷の幼馴染・清一と、いずれ結婚するつもりでいた悌子ですが、ある日、清一に呼び出されて、思わぬことを告げられてしまい・・。
他の方のレビューでも書かれているように、まさに朝ドラを全話見終わったような、爽快感と満足感を味わえる作品でした。
戦中から戦後にかけてが舞台とあって、物資不足や思想統制などで抑制された厳しい時代を、力強く生き抜いていく人々の姿が活き活きと描かれていて、私も彼らと一緒に悩んだり笑ったりしながら、年月を共に過ごしたような気持ちで読ませて頂きましたし、何といっても登場人物達一人一人が皆いい味出していたのが良かったですね。
物語は、なりゆきで所帯を持った悌子と権蔵が、とある事情で悌子が想いを寄せていた清一の忘れ形見・清太を引き取ることになったことから、悌子・権蔵・清太という「家族」三人を中心に展開するのですが、いわゆる“生さぬ仲”とはいえ悌子と権蔵が本当に清太を大切に想っている様が伝わってきて、出生に関する真実を打ち明けるか悩むくだりで、(清太の実父・清一への想いがあっただけに)神経質になってしまう悌子に対して、権蔵が、“自分が清太のことを大好きだからこそ、実の親なのにその存在を清太に知られないで逝ってしまった「神代神」(清一)がかわいそうになっちゃって・・”という感じの台詞を語る場面には、思わずジーンときちゃいました。
権蔵さんって、飄々としているけど正直だしエエヤツですよね~。
この権蔵さんと何事も一所懸命(「生」ではなく「所」なのがポイント)だけど、ちょっと不器用な主人公・悌子との相性が結構よくて、この夫婦の距離感が好きでした。
あと、清太が本当に良い子でね~・・・この家族には、ずっと仲良しでいてほしい!と思っていただけに、幸せなラストに胸がいっぱいになりました。
そしてタイトルでもある「かたばみ」の三つのハート形の葉っぱが、まさに悌子・権蔵・清太の「家族」を象徴しているようで、まだ幼児だった清太が、この葉っぱを指して言った台詞に目頭が熱くなった私です~。
↓
「おかちゃんとおとちゃんとせいた」
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昭和18年から始まる“家族”の物語だ。
元槍投げ選手で国民学校の代用教員となった悌子と、彼女の下宿先である惣菜店を営む朝子一家との関わりから始まり、それが次第に広がっていく。太平洋戦争と終戦、そして戦後復興と時代を進みながら家族の成長が描かれる。
だが、中心となる悌子の周りに血の繋がった人は誰もいない。本当の家族となるのに、それは重要なことではないのだ。
戦中戦後という不幸な時代を舞台にした小説なのに、なぜこんなにも読後感がよいのだろう?
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すごく厚かったけど読んでるあいだずっと物語にしっかり向き合って読めました。読み応えありました。悌子の心持ちの素直さがとても好ましかったです。清太はいい子だし、権蔵さんの泣き言も人を癒すし、富枝さんの気遣いもこうありたいなと思わされました。周りの人達も一癖あるけどみんな暖かい。六助さんの「儚げな女は蔓植物みたいに旦那に巻きついて締め上げる」は言い得て妙でした。雪子にはほらわたが煮えくり返ったが。太平洋戦争の時代の話で悲しい出来事がたくさんあるんだけど、人生にちゃんと向き合っていて読後感も良かったです。いつもはイラッとする子供の言動が今日は愛おしさを感じました。
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本の雑誌・年末ランキングからのチョイス。著者初体験かと思ったけど、”光炎の人”の人でした。同作は、主人公のキャラが受け入れられず、サイコーとまでは思えなかったんだけど、本作は主人公(の家族)が素敵で、もう言うことなし。やっぱ好きだな~、家族小説。って言いつつ、実は似たような結構の作品が多いし、ある程度以上の感慨が味わえるものを繰り返し読んで、その度留飲を下げているだけ、って思う冷静な自分もいるんだけど、それでいいんです。北上さんの好物ジャンルだし、これからも本の雑誌では高評価を集めるんだろうけど、きっと自分も読み続けるんだろうな。
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戦時中、戦後の日本で、強い意志を持ち暮らしている人たち。
いろんな子供への接し方があるものだ。
連続テレビ小説を観ているような感じ。
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戦中から戦後にかけての家族の話でした。
読みやすく良い内容だとおもいます、朝の連続テレビドラマのような印象。
星1つです。
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戦中、戦後を生き抜く2つの家族を中心にしたお話。
他の方の感想にもあったが朝ドラを読んでいるような感じ。
すごく面白いといった感じではなく、じんわり来る感じでした。
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長い良質の朝ドラを、最後まで夢中で観たような感動をもらいました。老若男女問わず、どの世代にも読んでほしい、そんなとてもいい話でした。戦中戦後の苦難の時代を生きた家族の物語です。
主人公は山岡悌子25歳、昭和18年の戦争が色濃くなっていく頃の描写から始まります。悌子の波乱万丈の人生の詳細は伏せますが、戦争に翻弄され、抱いた夢や希望を何度も打ち砕かれます。それでも、先の見えない暮しの中で、真っ直ぐに懸命に毎日を生きる悌子たちの姿に胸を打たれます。
戦争が背景にあり、非日常や不条理さが描かれて辛くはあるのですが、不思議と重い感覚がありません。悌子の前向きな性格、周囲の人の温かさを上手く描く著者の筆力の為せる技だろうと思います。
「かたばみ」は、クローバーに似て非なる道端などに自生する植物で、ハート形の3葉が寄り添い、黄色い花をつける繁茂力の強い野草だそう。物語を読み進めるほど、妻・夫・子の絆、複数の家族が寄り添う絆が眩しく映り、この象徴としての本書タイトルが胸に沁みます。
ウクライナやガザ地区の戦争には終息の兆しも見えず、元日の能登半島地震や13年前の3.11の傷も癒えません。そして79年前 (終戦の年)の3.10は、10万人が犠牲になった東京大空襲の日でした。
戦争を知らずに今を生きる、多くの人たちに読んでほしい物語でした。小さなことを皆で共有する幸せ、温かさをシンプルに伝えてくれる傑作長編でした。