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佐藤青南さんの作品は何作か読んでいますが、本作は私の中では最高傑作だと思います。コロンが
梨沙を助ける活躍は拍手喝采ものです。『一億円の犬』の深い意味を読んで理解して下さい。ラストは清々しい気持ちになる終わり方をしています。あなたもぜひ読んで感動して下さい。絶対おすすめの作品です。
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六本木のセレブ妻が保護犬を飼うと言う設定のSNSの投稿でインフルエンサーになった小筆梨沙。そんな梨沙に書籍化のオファーが出版社から掛かる。何としても本を出版したい梨沙はどんどん過激な方法に出て…
本を出したいからと嘘で固めようとする梨沙も浅はかですが、死体は出てくるし襲われそうになるし、とんでもない展開でハラハラしっぱなしでした。主人公である梨沙も全く共感出来ず、若干引いてしまいましたが、それでもタイトル回収は秀逸でした。
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いやー面白かった!と大きな声で言いたい。青南さんの小説の集大成ともいえるような内容。サイレント・ヴォイスで絵麻が対峙してきた様々な「嘘つき」たちの姿が呼び起こされる…。
SNSで幸せな港区女子を演じる主人公が、自らの嘘をつき通そうとしてドツボにハマっていく話。早々に物語の筋は分かるんだけど、そこからの転調がおもしろく、この人一体どーすんの?どーなんの?と最後まで飽きさせない展開で一気読みでした。伏線回収も何気にすごかったし、ラストは泣いちゃった。まさかこんな結末を迎えようとは!っていうか、この小説に泣かされようとは!
くだらなくて薄っぺらで惨めで、そんなことはわかってんだけど、それでも主人公・梨沙が、登場人物たちが、そしてひょっとしたらわたしも、しがみつきたかった/あるいは守りたかった何か。”何者か”でなければ認められない(ような気がしてくる)SNSの世界で、自分のままでいることの難しさと、演じることの虚しさ…ほら吹き男爵ならぬ、ほら吹き女男爵である梨沙の人物描写が真に迫っていて、こんな大ウソツキははよ地獄をみろと思いつつも、なぜか同情してしまうし、いつの間にか「がんばれ」って拳握りしめてる自分がいる。こういう人、『ねほりん●ほりん』でみたよ!
あと、相変わらず青南流「愛犬家」の描き方が絶妙にシニカルでお見事でした。
もうわたしは、明日から何を信じればいいのか…!
犬を信じればいいですね、ありがとうございました。
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犬は癒し。ペットではなくて家族として大切にするべき存在。お金を稼ぐための道具として利用しようとしていたリカがコロンと触れ合って、大切な存在になる様子が微笑ましかった。平気で嘘ばかりついて、卑屈性格は好きになれなかったが、頑張って生きているんだなと最後は許せた。
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高級なイッヌを誘拐したりする話かな
って思ってたけど
ぜんぜん違った
承認欲求とお犬様のすばらしさを交えた
とんでもミステリーだった
主人公のうそつきっぷりが
最初はものすごくイヤなんだけど
そこまでやる?!って突き抜けっぷりに
だんだん愉快になってきて
お犬様セラピーで改心していくさまは
ダメな子の成長を見るようで
がんばれよ!って気にな…るかな?
多少なる、はず、たぶん…
さくさく読めたので
星は4つでもいいなーの3つ
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嘘は嫌い。ストレスになるから。
嘘も方便ということわざは知っているし、
一理あるとは思うけど、嘘つかずにすむなら、
その方がずっといい。
愛すべき嘘つきもいるけど、この子はダメだ。
読むのが嫌になるくらいだった。
近藤史恵さんの「三つの名前を持つ犬」に設定が似てると思ったけど、あの子は不注意で死なせてしまった犬の身代わりを探していただけで、犬に対する愛情は嘘じゃないと思えたから許容出来た。
ハッピーエンド。なんだろうけど
好きになれない。この子。
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嘘をついた経験のない大人などいない。
秘密のない大人などいない。
だがしかし、リサに関しては
よくもまあ、こんなにもスラスラとウソがつけるものだと、感心した。
当初、リサの前向きで明るいようでいて実は、かなり感じ悪いSNSでの投稿文章にモヤモヤしながら読む。
架空の世界のリサはいい人で意識高い系を演じているものの、リアルなリサは周囲の人への接し方に棘があり、どこまでひねくれてしまっているのだろうと思う。
そんなリサが、自分の欲のため、法をおかしてまでコロンを手にいれる。
自分を大きく見せようと嘘の経歴を並べたて、突っ込まれると相手の揚げ足を取り、感じの悪い屁理屈をこね自分を正当化するリサ。だがしかし、コロンの前だけはまっすぐな正直なリサだったように感じる。犬にはそんな力があるのだろうか。
コロンと過ごしたわずかな時間に、犬の持つ素直さに触れ、あの性格の何%かは修正されたらいいなと思った。また、騙し合いをしていた寺本に対しては、はじめて正直に話せた相手との描写があったが、それはそれでリサにとって良かったのかもしれない。コロンが元々の飼い主に再会できたことは、最高の結末だったと思う。
自分もコロンのような雑種のメスで中型犬、かつ穏やかでとても賢い犬と暮らした経験がある。著者様に突っ込むつもりではないが、そこまで人間ができた犬(?)は、何かのタイミングで簡単に迷子になったりするだろうか?そこが疑問点でした。
本当に一攫千金できるのか?という気持ちで読んでいたが、そんな上手い話ではなかった。ただとても面白かったし、犬と暮らした経験のある人が読んでも整合性があり、満足感のある読了感であった。
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ブクログの皆さま、新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
令和6年能登半島地震で被災、避難された方には心よりお見舞い申し上げます。
この寒空の中どんなにか大変かと思います。
私の住んでいる県にも避難勧告がでましたが、私の所は内陸部なのでおかげさまで無事です。今のところ被害はありません。
でも、余震と停電が怖いです。
新年一作目は、何か新刊の小説がいいと思いこれにしました。
選ぶ基準は、姪たちに送ってあげられるかどうか。ちょっと一番下の小学生の姪にはどうかと思う表現もありましたが、大丈夫かな。
小筆梨沙32歳は本当は独身でケータイショップで働いているのですが、自分を偽り、六本木のセレブ妻という設定で、SNSにマンガ「保護犬さくら、港区女子になる」を投稿していました。
ところがある日、コミュット出版社の編集者寺本直樹から「動画サイトで人気になれば年収一億も夢ではない」と書籍化の誘いを受けます。
梨沙は犬を飼っていないし、住んでいるのは埼玉の川越です。なんとか寺本を騙して年収一億を目指そうと、犬のさくらとなるべき犬を捜しますが、その途中で殺人事件に巻き込まれます。
そして犬のコロンをなんとか手に入れますが、今度は寺本に連絡がつかなくなってしまって…。
この本の著者、佐藤青南さんはきっと犬がお好きなんだろうなと思いました。以前にも『犬を盗む』を読みました。
コミカルでそんなに残酷なシーンはなく、犬と人間との信頼関係が描かれていて、ラストはちょっと寂しいけど、コロンちゃん、本当によかったねと心の底から思いました。
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※
承認欲求が肥大した主人公は、SNSの中で
理想の自分を演じ、他者からのいいねと
称賛を支えにして、ままならない現実社会を
生きている。
現実と虚構を認識しつつも、嘘の上に嘘を
積み上げた偽りの世界に自分の居場所を見つけ
どんどん歪んだ世界に傾倒していく主人公。
そして、降って湧いた作家デビューの誘い。
嘘で飾り立てた主人公は、話に有頂天になり
嘘を現実にして成功者になろうと画策する。
SNS内の虚像の主人公は保護犬を飼って
溺愛している犬バカ設定だったので、
嘘を真にするために保護犬を迎えようと
さらに嘘を重ね、人を騙し、しまいには
犯罪にまで手を染める始末。
無茶狂いっぷりや極端さには眩暈がする
ぐらい驚きしかない。
とんでも無く身勝手で無茶苦茶な主人公に
嫌悪感を覚えるけど、SNS内で激しく否定され
炎上したあと、自分の悪癖と少しずつ向き合い
変わりはじめる。
その支えになったのが、利用するだけの
はずだったコロンの物言わぬ優しさと、
寄り添う温かさ。
それに気づけた主人公が心根まで歪みった
人でなくてホッとした。
ラストの結末で、話も気持ちもちゃんと
回収してくれた物語で読後感が良かった。
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SNSに投稿していた架空の港区女子のセレブ生活。そこに載せていたこれまた架空の愛犬の漫画を書籍化したいという話が来たことから物語は動き出す。港区に住んでなければ犬も飼ってない。その嘘を誤魔化すために危ない橋を渡る主人公のサスペンス(スリラー)がもう抜群に面白い。これだけ聞くと「ただペットショップで犬を買えばいいのでは?」となりそうだが、過去のSNS投稿との整合性が制約として効いてくる。ミニマムなシチュエーションでもサスペンスは生み出せるという好例。そこに二の矢三の矢で殺人事件や詐欺事件が入ってきて事態はカオスにwどう考えても自業自得な事案をしっかり感動的なイイ話に着地させたのも凄い。しかし承認欲求とは恐ろしいものである。
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「犬を盗む」がとても面白かったので、同じく犬の物語を。
とても読みやすく数時間で読み終えた。
しかしまあ、とにかく主人公が嫌な女で、
、、
SNSでの嘘で固めた人物像になりきる、承認欲求の強すぎる女、、そう言えば実際に、こんな嘘だらけの女性が複数の男性からお金を貢がせてた事件があったなぁ、、など思い出した。
作中のセリフじゃないけど、犬は人間のアクセサリーじやありません!一度生活を共にすると決めたなら最後まで責任と覚悟を持った人しか飼育してはいけません!
主人公にとてもイライラ、腹立たしかった。
それもこれも私自身、飼ってたワンコを亡くした経験あり、とても感情移入してしまったのかもしれない。
だが、それだけはでなく、ミステリーとしても充分面白くラストはスッキリ。(ちょっとご都合主義、出来過ぎ感はあるが)
まあ、犬好きなら多分許せるでしょう。
「犬を盗む」と同じく、犬好きに呼んで欲しい作品ですね。
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超がつくほど承認欲求の強い女性。
SNSでついた嘘を本当にするために、保護犬を手に入れようとするが、その過程で死体を発見し・・・
どうなる?これはミステリ?破滅へ向かう物語?
というほど、主人公の自我が強めです。
結果、その犬、プライスレスっていうエンディングを迎え、ほっと落ち着きました。
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面白かった~。良かった〜。
はじめ、タイトルから内容があまり結びつかなかったけど
読んでみて分かった。
自分を偽ることで保っていた自尊心や虚栄心、読んでて
しんどいだろうなぁ〜って思った。
同じく嘘つき寺本と今後、いい人間関係が作れそうな予感。
連ドラで観たら面白いかも❢
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以前に読んだ「犬を盗む」と同じようなわんこが表紙だったので、続編かと最初は思ったけど、
全く違っていた。
SNSの世界で実生活とかけ離れた自分を装っている主人公が、ペット犬の本を出版するというチャンスをものにするため、悪戦苦闘するお話。
嘘に嘘を重ねてその日その日をなんとかやり過ごそうとする彼女に、ハラハラはしても
同情する気持ちはあまり持てなかったけど、
時折見せる優しさや弱さには共感できた。
登場する保護犬ができた子で、
人間性から言ったら(犬だけど)この作品の中で一番。
だからいろいろダメダメな人間たちの行く末より
この犬のしあわせだけが気になって最後まで読み終えた、という感じ。
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表紙絵の印象と中身のイメージが違った。
それでも、読ませる作品だった!
まぁ驚くのが、主人公の梨沙がサイアク。
港区女子でセレブ生活をSNSにあげているのだが、盛ってる……、というか全部ウソ!
犬を愛し、保護犬さくらと暮らす、というが犬もいない。
アメリカの大学出たとか海外でボランティアしたとか、祖父が元総理だか大臣だかまで言ってたな、、。
ウソしかない。
なのに、出版の話がもちあがり、慌てて犬を調達しようと四苦八苦。
じぶんに都合のよいところは疑わない、というのも頭たりてないな〜と思いつつ自業自得だなと同情する気持ちにもならない。
このウソ武装した梨沙がさらにウソを重ねるのに呆れてしまう。
「息をするようにウソをつく」人というのはまさにこれなんだろうな。
見つけてしまった死体のあたりは、いかにもご都合宜しくてそんなうまくいくかい!とツッコミながらも続きが気になってしまう。
こんなに重大事件なのに、それほど動揺を感じられず時間が経つのにもウソ〜と思いながら。
読んでいくとやはり…という流れになるもラストは想像しなかった展開でびっくり。
梨沙から見てクセのある人物も、実は良い人だったり最低な人間も見捨てずに関係を築いてくれようとしていて優しい気持ちにもなった。
動物はウソをつかないから、人間も本音で向き合うしかない。歪んでしまった人間には心を入れ替えるきっかけにもなりそう。梨沙の変化も自然と受け入れられた。
犬好きな人にはおすすめ。
サラッと読めて楽しめた。