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相手や社会の仕組みを理解しきるのって難しいと思ったし、自分の中の印象と相手が生きる現実は想像以上に乖離していることを思い出した。見えない壁が、制度にも人間同士の生活にも認識の中にもいくつもが層になって社会で生きるときに存在するんだろうと感じた。サクマが自身の衝動性について考えるようになるのが良かった。
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2024.02.25
読んだのは『文藝春秋』の芥川賞受賞のもの。今どきな世界観。話がどう転ぶのか、読んでいて全然想像がつかなかった。
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サクマの衝動的な言動の数々が、単調な日常から生じる将来への不安や、社会不信からくるものなのか、それとも先天的な性質なのか、、
とにかく、彼の極度に自制心を欠いた行動には驚かされた。
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Audibleにて。
前半は、「ケーキの切れない非行少年たち」を連想させる内容であった。「推し、燃ゆ」の少女もそうだが、生まれ持った何らかの苦手さがありそうだ。
しかしその特性に気づき、何らかの工夫を凝らせばこの特性を苦手さにしないことは可能なのだ。各種認知特性に対するユニバーサルデザイン、色覚に難を持つ人に対して作られた最近のゲーム(例えばぷよぷよ)のような合理的配慮が求められる。(倫理資本主義の観点から言っても、これは素晴らしい試みだと感じる)
必要なのは、コグトレなのか環境整備の方なのか。おそらく両方だが、個人的にはコスパ&タイパ的に、後者重視で良いんじゃないか?と思う。
明日はどうなるか分からない。この強烈な不安感から逃れるために、人は「黙過」を必要とする。
黙過は、どうしたらよいか分からない時に許された一人で生き抜くための防衛機制だ。「人間」ではなく、「人」である時の生きる手段、それが黙過ではないか。
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他人の人生はブラックボックスで、どんなに憧れていてもそうなるまでの過程がどうなっているのかわからない、というのはたしかにそうだなあと思いました。
サクマが自分の能力の中で人の役に立てること(本の中だと工具いじり)を感じ、希望を少し見出したところで本作は終わりですが、報われて欲しい思いました。
ゴールがあらかじめ用意されている環境は安心で楽だけど、どれをとっても全く同じ日がないように、毎日何かが変わっていくことの方で生きている実感を味わえるというメッセージを感じました。
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純文学というやつの面白さが未だにまったくわからない。文章の上手さはわかるけど。いつかは面白さもわかるといいな。
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そういう気持ちで生きている人がいるのか?と不思議だったけど、賞をとったのだから共感を得ていると思う。自分には考えられない視点を学べて良かった。感動という感じはまったくない。
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主人公の「このままでいいのか」と焦りや不安がひしひしと伝わる作品でした。コロナがピークだった時は、給料が安定しない会社で働くことに不安を感じる人も多かったと思います。
前半後半で大きく場面が変わり、後半に入ったときは『なぜ、刑務所にいるのか』と困惑したけど、徐々にその経緯がわかっていきました。
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ずっと前に買って積読してたもの。
前半はメッセンジャーについて詳細に書かれていて、ずっとその話なのかな?と思っていると、突然場面が変わりました。
うーん…サクマはけっこうメッセンジャーに向いている感じなのだけど、それで満足しているでもなく…
でも、キレて暴力に訴えるともうその時点で、やっぱりそれは駄目でしょう、と。
世の中は不公平で、お金持ち、成功者といっても運によるもの…もちろん個々の努力もあるでしょうが、それすら生まれ持った才能があったからこそで…
人は人!偉いも偉くないもないんだよ、と。好きなように生きれば良いんだよ、とサクマに誰か教えてあげればね、良かったよね、と思いました。
そういうこと言いたいんじゃない!って作者に怒られそうですけど…
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序盤で、一つひとつの場面からサクマの不安とか焦りをすごく感じた。ものごとが完全にクリアに見えなくて不安で、将来が見通せなくて、でも変わらなきゃいけない。でも心の中でちゃんとしなくちゃと思っていても自分ではどうにもできない。そういう悩みが一部自分にも通ずるものがあって、その苦しみとかがひしひしと伝わってきてちょっと辛かった。それだけ文章が良かった。
それでもラストでサクマがその分からなさや不確かさっていうのはそれだけじゃなくって、明日への可能性でもあるから大丈夫だよ(若干ニュアンスが違うかもしれない)という答えを見つけてくれて、なんだか安心した。
沢山の人に読んでほしい一冊。
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人が行動を起こす時、その内側では何が起きているのか?私達はみな一瞬ともいえないような時間で、言葉にも変換されないイメージのようなものが生じて、それから行動に移る。その一瞬(ブラックボックス)をよくここまで文字にしたなあ。
その時その時、滴のように優しい人の気持ちが滴ることがあってもサクマには気付くことも、活かすこともできない。サクマはイメージを持てない。サクマは見通しを持てない。サクマのような人はいて、サクマのような人はブラックボックスのなかを、このようには語れない。けれどもし、それを表現してくれるなら、私はそれをききたい。
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芥川賞私小説読むシリーズ。なかなか好き。生きづらい人間が沈んでいくなかに何かを見出す話は古今東西ハズレがない。
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制度があったりルール強くある方が楽に生きる事ができそうだ。今風の会社で勤めることのトレンドとして自分の意思が会社の意思よりも反映されやすく、パワーバランスが昔と逆転している気がする。
(フレキシブルな働き方、週休3日、転職のハードルが低くなったり)
自由を求め、何にも縛られない生活が良いのかなぁと信じているのはムショに入る前のサクヤ。冒頭の
「信号なんかに足止めをくらいたくなかった。」
が分かりやすい。
自由であり、自分の意思で物事を決める事ができるようになった今の時代には、生活には溢れるように娯楽が転がっている(ネトフリ、YouTube、スマホゲーム等)。そのせいで、「このままじゃダメだ。」と思っていても、そんな思念を上書きするかのようにあらゆる娯楽が時間潰してくれる。そして、現実生活と向き合う事をおろそかにしてしまう。向き合わなくてもある程度満足出来てしまい、現実に起きた些細な事に対して無視できてしまう。だから、昨日と今日は全く違うのに今日を吸収しようとしなくなる。