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読むのが止まらなかった。満足感がえぐい。
小説の後半は本当に色々考えさせられる場面や面白い場面が盛りだくさん。登場人物が聖人ではないからこそ、分かる現実感。共感する人がとても多いだろうと思う小説でした。
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いじめ、引きこもり、家族崩壊。
引きこもった息子と対峙する覚悟があるのかないのかわからない父親。もがきながらも少しずつ前に進む姿は、もしかしたらリアリティのある姿なのかもしれない。
子供の声を聞かずに自分の価値観を押し付けることは、いじめと変わらないように感じた。
8050というタイトルに期待して読むと少し物足りなく感じるかもしれないが、とあるどこにでもある引きこもり家族の再生の話としては、とても面白かった。
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中学2年の夏休み以降、学校に行かなくなった息子の翔太。それから7年引きこもりになってしまった息子にこのままでは「8050問題」になってしまうと危惧した父親の歯科医の大澤正樹と妻の節子。弟のせいで結婚できないと不満を言う長女の由依。
こうなったのはお前のせいだと妻をなじる正樹。離婚も考える節子。20歳を越えても引きこもっている子供の家庭の物語です。重いテーマの内容だと思っていましたが、読みはじめると、父親のエゴや葛藤や怒り、妻の鬱屈した感情の爆発、熱意ある弁護士との出会いにより、どうなっていくのか。
彼らの行く末はどうなるのか熱中して読むことができた。暗くなりがちないじめの問題を法廷劇を通して描かれており読んで良かったと思う。
2024年10月12日読了
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物語の主人公、父 正樹は『正欲』の寺井啓喜に似たものを感じた。職業柄、自分の正義や主観を世間一般の常識や通俗として正論という形で発出する。正しそうなことを言っているように言うのが上手い。いや、時代の価値観の違いや読み手である自分の穿った見方もあるのかもしれない。少なくとも、未婚である自分は、父という立場からこの小説を受け取ることは出来ない。三浦友和ではないから。結婚して子供も生まれてからなら、内容の捉え方も変わってくるのだろう。強権的な父、断定的な父の面影を追いかけ、感情移入とは違った意味合いで刺さった。何故こんなに自分が正しいと信じて疑わないのか。身内になら何をしても何を言ってもいいのか。妻なら怒鳴ってもいいし怒りをぶつけてもいいのか。一体息子の為にやってんのか体裁のためか父としての尊厳を保つためなのか。どこか終盤、この父に対しての「意趣返し」を期待している自分がいた。
いじめの被害者に対しての浄化装置としての小説ともいえるのかもしれない。自分にはそう思えなかった。確かに、いじめられていたという事象を「いじられているだけ」と認識してプライドを保つ。わかる。だが果たして自分自身は「いじられ」の範疇で認識していた「いじめ」に気づけていたのか?
ところで、「8050」って小学校で馴染み深かった「8020運動」のことかと最初思ってたけど、正樹の職業が歯医者なのはそれと掛けてる?
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誰かの父になったら,必ず読もう!
そして,誰かの息子なら,いずれ読もう!
今まで,何故か理由もなく避けてきた作家さんである.何となく,面倒な気がして…すみません
そして,「何が小説家風情が日大の理事長だよ⁉︎選んだ大学も大学なら,受けた小説家も小説家だ!」などと…そこは今も正直変わらないんだけども…
大変,失礼致しました!
何だーこれは‼︎何で読まなかったんだ今まで!
たまたま本屋に並んでで,「一度くらいは読んでおくか」といつかは読もうくらいの気持ちで手に取った直後に,読み終わった辻村深月の「鍵のない夢を見る」の巻末の対談で「あーこれは今読めってことね!」と偶然に導かれて読み始めたのだけど…
エグいことこの上なし.辻村深月なんか目じゃないほど,読者も作中の人物もこれでもかと,抜け出せないアリ地獄に引き摺り込んでいく…目が離せない,ページを捲る手が止まらない!
辻村深月が母と子がテーマなのが多い気がするけど,本作は「父と息子」.そしてあくまでも風景をエッセンスに感情を詳らかに描く女性的な辻村深月とは対照的に,とてもリアルできちんと取材,研究して書き上げているんだろうな,と思える男性的な筆致が,益々,「我が事として」世界に引き込んでいく…
息子が丁度今,中学2年生.作中の息子が引きこもり始めた年齢だ.幸い,狭き門を突破して,おおらかすぎるほど大らかな学生生活を満喫している姿に安堵しつつ,彼もまた,保育園の時には,事もあろうに保護者が先導した陰湿極まりないイジメの被害者になり,長いことPTSDに苦しんだ経験もある.僕に取ってはその経験とリンクしてのめり込まざるを得ない作品だった.
ただ,クライマックスへの展開.
父親は,こう言う時にこう言う激昂はしないんだよなぁ…ここだけ話を展開させるための小道具のように妙にリアリティが欠けて,僅かに残念.
家族がカタチを取り戻しつつも,やはり「離婚」に至るリセットのありようは,最後は家族の絆を切らない辻村作品と比べてもリアリティがあると思う.心の傷や蟠りは,そんなに丸く治るものばかりじゃない…赦し合うには,手放すこと,離れることも必要なこともある.
しかし,最後の最後,父として涙腺崩壊は免れない!
みんな!読んで!
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やめられなくなって一気読み。本の帯にある三浦友和さんの言葉どおり、自分を重ねて、のめり込んでました。ほんとに子供の為、家族の為なら何でもできる?