投稿元:
レビューを見る
著者の「宇宙が始まる前には何があったのか?」が難しくも面白かったので、宇宙物理学の新著だと思って手に取りました。
内容は、表紙にもあるように宇宙物理学にとどまらず命そのものや人間に意識(他の生き物には意識があるのだろうかということも含め)、宗教と科学についてとざっくりと幅広く大変な読み応え。
自分の素養不足をビシビシ感じつつ、よくわからないながらもわかるところを拾い、かみ砕きながらやっと読了。高校程度の科学、物理を理解してなくては本書は読みこなせないというようなことを訳者の方が後書きされてますが、もうちょっとウエ(化学や物理、数学などの高校よりはもうちょっと専門的な知識)の理解力がないと内容を理解することは難しいんじゃないかなぁと感じました。
いえ、自分に物理や高校数学の素養がないだけかもですが。
全般に既知の未知と未知の未知とは何かということが書かれてます。(原書のタイトルは既知の未知だそうでそのままだ)
時間・空間・物質・生命・意識というテーマについて何がわかっていて何がわからないのかという話をしていって「それで結局それはわからない。これからわかるだろうか」というところに全て行きつくのですが、どの「既知の未知」も日常を生きるうえでは知らなかったり疑問に思っても追求しようとはほとんどの人は思わないだろう疑問です。
でも「わからない」を「わからないんだ」と認識することは時々大事なんじゃないかなぁと思います。全てを解決できないということ、全てを知ることはできないということ、この世の中のほとんど多くのことを自分は知らないままで生きていって一生を終えるだろうということに時々気がつくのは案外困難な人生を生きる中では支えになったりするように自分は思います。(それだけ年取ったということでもありましょうが)
5つの章の中では意識についての章が身近でした。物質の章は、宇宙物理学が何を発見し、それによって新たな宇宙物理学の道(方法)がどのように開けてきたのかという歴史を知ることができたように思います。
時々は「難しくてほとんど何言ってるかわからない」読書をしてみるのもいいと思います。わからないなりに読了したということも力になりますから。(あんまり理解できなかった言い訳かも…)