失われた30年と在日中国人社会
2024/10/24 16:39
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投稿者:森の爺さん - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者はこれまでにも在日中国人についての著書があり、在日中国人社会の時代による変遷を観察しているが、本書においては日本社会の中で点の存在だった在日中国人が線となり、いわば「日本の中の中国」という集団になりつつあるという印象を受けた。
集団であるが故に、日本語を話せなくても不自由せず、また従来の日本人向け中華料理とは異なる「ガチ中華」も生き残れるし、在日中国人間だけでのビジネスも成立する。 日本経済のためにとマナーの悪い中国人観光客に眉を顰めながら我慢しても、お金は中国人に落ちて日本人の財布は潤わない。
かつて貧しかった中国から経済大国日本に憧れて来日していた中国人なのだから、経済成長して日本人よりも所得の高い富裕層も多い現在、もう日本に来る必要もなかろうと思うのに何故か事実上「移民」を選択する中国人が増えているという。
経済成長しても共産党独裁国家という体制自体は変わらないし、あの強権的な「ゼロコロナ政策」に愛想が尽きたり、超競争社会に疲れ果てたり、またマイホーム取得も困難な土地バブル(崩壊している説が多い)と、理由は色々あるらしい。 つまり、自由を味わえ、かつ競争社会では無く、土地も中国より安く、しかも故郷から距離的に遠くなく、かつ漢字も使用している日本を選択する方々が存在するということである。
日本もバブル崩壊までは超競争社会であり、大都市圏でのマイホームは夢のまた夢(地方都市迄高くなった)、受験戦争解消のために文部省は「ゆとり教育」を推進していたが、バブル崩壊後の人件費を抑えて内部留保を溜め込む企業経営故に土地価格も下がったがその分給料は上がらず、少子化により大学は経営維持のため留学生確保にシフトしていて「受験戦争」も今は昔である。
本書を読んで、日本が「失われた30年」を過ごしているうちに、中国は著しい経済成長を遂げたことにより、最早日本はかつての「憧れの国」では無くなったという現実を今更ながら実感したが、「憧れの国」で無くなっても来る人は来るのも現実である。 本書の中にも在日中国人の団体への在日中国大使館の影響が書かれているが、中国大使館としても在日中国人社会を管理下に置くための出費は怠らない。
日本社会への配慮が無い在日中国人が増えれば、NHKラジオ放送で不規則発言をした中国人みたいな輩も増えるし、かつ中国資本や中国人による日本の土地や会社の買収も増え続けている現実を見れば、日本政府は在日中国人動向を放置せず把握する体制を構築し(日本社会に配慮し、かつ溶け込もうとする方々は排除すべきでは無い)、かつ土地や会社の買収についても用途・安全保障上のリスクによる制限も加えるべきである。
著しい発展を遂げた中国であるが、土地バブルの崩壊や「一人っ子政策」緩和の遅れによる急速な少子高齢化を勘案すれば、日本の「失われた30年」も明日は我が身なのでは無いかとも思えるが、一方で中国富裕層が日本に居住するのであれば、今後は「日中逆転」とか嘆くだけでは無く、富裕層ビジネスで金を稼ぐしたたかさも必要なのではないだろうか。
中国共産党がその政権の正統性を「抗日戦争の勝利」に置く限り、反日教育は無くならないし、急速な軍事増強は日本の安全保障にとっても脅威であることを思えば「日中友好」なんて所詮夢のまた夢なのではと思う。
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なぜか華僑、海外に暮らす中国人コミュニティーに対して強い興味がある。
先日初めて中国本土にも旅行したけれど、中国人の仲間意識、熱い助け合いを数日間でも感じ取れた…。とっても面白くて不思議。
日本でも、中国物産店や、中国語しか通じないようなガチ中華のお店に行った時、知らない世界がここにある!ここは中国だ!!と確かに思ったな。SNSともなればもっとすごい世界が繰り広げられてるんだろな。中国だけじゃなく、在日ブラジル人コミュニティー、フィリピン人コミュニティー… 彼らの結び付きや情報ネットワークはすごいものがありそう。確かに日本語が必要ない人はたくさんいて、でもそれじゃあ いったいいつ暮らしている国に愛着が持てるのだろう…暮らしている実感が湧くのだろう…と思ったりする。
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#読みたい本
日本に住み着いた中国人は、観光で来るのとは違う考えで来ているはず。彼らが何を考え、どのように暮らし、そして日本についてどう思っているのか、という興味が昔からある。そのことを教えてくれる内容、これは読みたい
#日本のなかの中国
#中島恵
24/9/10出版
https://amzn.to/3zcxt4Z
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プロローグ 日本にいるのに、日本語が下手になる私
第1章 日本人が知らない、中国人SNSの世界
第2章 中国人だけで回す経済ネットワーク
第3章 持ち込まれた中国的論理
第4章 日本に来たい中国人 中国に帰りたい中国人
第5章 多層化していく社会
エピローグ 日本で暮らし働いた黄さんのささやかな夢
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23年12月末時点で約82万2千人の在日中国人が入国しているそうだ。
最多は東京で全体の3分の1を占める。続いて埼玉、神奈川、大阪、千葉の順で東京近郊に約半分以上が集中している。
経済的な事情から来日することが多かった世代から母国での独裁国家の閉塞感から自由を求めて来日する最近の世代と来日が加速しているようだ。
それが一過性なのか一時的なものか家族帯同か、日本語を学び日本社会に溶け込んでいくか(かつては多かった層だが)考え方や個人の事情で様々だが、最近中国人だけで完結するSNSを駆使した生活レベルのネットワークが顕著になっているそうだ。
今後来日する中国人が増加するにつれ後者の社会が増大していくだろうが、経済的格差や学歴、母国との関係性(地域間の違いもある)等複雑化していくだろう。
それが経済、文化等多面的にどのような影響を生じるか注視していかなければならない。
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先月ブクログで「読んで世界が広がる本」が募られていたが、本書はまさにそれにあたると思う。
難しいことを言っているわけではない。ただ知らない世界が過ぎて、脳が追いつかなかった。
脳が追いつかなかったのは他にも、普段自分が抱いている中国への印象が関係している。
在日の方と関わることがないため、街中で見かける観光客や中国に関するニュースしか情報源がない。それもマナー問題や反日感情と、穏やかではない話が多くを占める。中国人経営の企業が日本で増えているという本書のくだりでも、「富士山が見えないから」と、中国資本のホテルが無断でヒノキを伐採したニュースを思い出した。
しかしセンシティブな話題にこそ、真に知るべき内容が秘められている。変わらず脳は足踏みを繰り返していたが、相互理解への第一歩だと思って読み進めることにした。
著者の知り合いやその伝手を伝って、在日中国人の暮らしぶりをインタビューしたルポ。今年まで取材されていたので、わりと最近の情報が伺える。
コロナ禍付近や90年代以前に来日した方とバラツキはあるものの、彼らに共通しているのはやはり行動力である。良いスタートを切れるように何をすべきかを徹底的に調べ、それをすぐに実行している。
また会話を見ていて思ったのは、言葉の一つ一つに覇気があり、「自分は〇〇ができる」「これくらいの期間で〇〇ができるようになった」と物凄く自信が伝わってくること。話も単刀直入な分、とても分かりやすい。基本的に勉強熱心でもある。
確かにこれらの強みを持ち合わせていれば、ビジネスシーンとかで有利に働きそう。
「かつての中国人は、日本に来たら、日本社会に溶け込むよう努力したものだったが、今はそうではない。日本に来たら、まず日本の『中国人社会』に溶け込むのだ」(P 141)
足踏みは第一章から始まった。
在日中国人同士で独自のSNSネットワークを形成し、近隣地域の住民間でゴミ出しルールや中国の食材を販売するお店について共有しているという。中国人の子供を持つ親同士が進学塾について情報交換する場としても、そうしたネットワークが活用されている。
このようなつながりは他にも見られ、もはや日本語を介する必要もない。(日本語を理解できない中国人をサポートするコミュニティのお話はジーンときた) というか、独自のSNSなんて彼らが教えてくれない限り知る由もない。
これが「世界が広がる」「でも脳が追いつかない」と思った所以である。
「日本に住んでいると、私たちの身の回りに中国文化が溢れていることにも、あまり気がつかない。それは特別なことではなく、私たちの日常だからだ」(P 88)
両国間には古くから交流があったことを回顧できたのも、本書で得られた点だ。
京劇や二胡(胡弓とは別の楽器だと初めて知った)の普及に努める方のお話を通して、やはり文化は最大にして最高の平和活動なんだと実感した。
日本は芸術面においてもステップアップの場だと捉えられがちが、真摯に活動していれば、それはきっと日本人の琴線にも触れる。心の交流も生まれてくるだろう��
気づいたら、当初の凝り固まった印象がだいぶほぐれていた。
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仕事で何人かの在日中国人の方と接する機会が出てきましたので、本書を手に取ってみました。
基本的にはエピソードを集めたものであり、何らかの分析・結論があるわけではないのですが、日本にいる中国人が、中国本土からどのように見えているのかは興味深いです。
また、話には聞いていましたし、有名中高の文化祭に見学に行った際も感じましたが、中国人の教育熱が高いことも理解できました。
もっとも、逆に中国本土の過酷の受験競争からある意味「降りる」ために日本に来るケースもあるようで、その辺りの視点は今までなかったので興味深かったです。
ちなみに、私が接している在日中国人の方を見ていると、中国本土の人(あるいは日本に来たばかりの中国人)に比べると穏やかに感じられ、日本人的な感覚にも理解はある一方で、ビジネスには貪欲で勤勉という印象があります。