流血女神伝
カリエ、14歳。彼女は、ルトヴィア帝国の国境にほど近い小さな山村の漁師の家に育った。ある冬の日、カリエは、いつもは女の身で狩りに出ることを快く思っていない父親に、珍しく「狩りに行け」と命じられた。吹雪の森の中、獲物を求め歩いていたカリエの前に突然現れたエディアルドと名乗る貴族風の男。「おまえを迎えに来た」――気を失わされたカリエが攫われていった場所というのは…!?
流血女神伝 喪の女王8
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女神の花嫁 前編
2010/06/25 13:02
意外な父の姿
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
クナム(長老)の子は必ず男子であり、千人目のクナムは世界の王となるべく生まれてくるということがザカリア女神とザカールとの契約。それなのに、王の親となる998番目のクナムの子は、なぜか女子だった。
歴代のクナムと比較しても隔絶した力を幼少から示しながら、父であるクナムには認められず、女であることに苦悩するその子の名は、ラクリゼ。本編でカリエを助け導く傾城の美女の幼き日の姿だった。
同年代の男子など相手にならない実力を持つのに、女であるがゆえに父に認められないことに苛立ち、荒んでいくラクリゼは、ボロボロになってザカールの村にたどり着いた一人の少年を周りの偏見から守るように父に言いつけられる。それがラクリゼとサルベーンのはじめての出会いだった。
それから数年がたち、彼らに転機の時が訪れる。
娘の扱いに戸惑い悩むラクリゼの父に人間らしさを感じたのが意外だった。本編で描かれるクナムの姿とは余りにもかけ離れているように感じたので。
ザカール至上主義的な考え方を持っていたラクリゼが、外の世界に興味を持ち、波乱の人生に旅立つ過程が面白い。
帝国の娘 後編
2009/09/06 14:06
望むもの、望まれるもの
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
皇位継承者が暮さなければならないカデーレ宮殿に入るカリエ。そこに待っていたのは、あからさまに敵意を向けてくる、一つ年下で西公の後見を得るミューカレウス、そして年長の二人の兄ドミトリアスとイレシオンだった。
ミューカレウスとは良きライバルとして切磋琢磨しながら、ドミトリアス達を仰ぎ見て暮らす、充実した生活。しかし、後継を争う鞘当ては、本人たちの思惑の外でもうごめき始め、意外な破滅をもたらすことになる。
本格的に始まる物語の、序章といった位置づけの作品の様だ。
帝国の娘 前編
2009/09/06 13:56
ぜったいに見返してやる!
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
雪深い山村に住むカリエは、女の身ながら狩りにも出かける活発な子供だった。普段ならばカリエが狩りに出かけるのを嫌がる養父母。それなのに、その日に限って養父母は、カリエが狩りに出かけるように仕向けた。そんなカリエの前に現れたのは、貴族の格好をした男エディアルド。気絶させられた彼女が次に目を覚ましたのは、荒波が押し寄せる砦の一室だった。
そんな彼女が命じられた役目は、病に伏せるルトヴィア帝国第三皇子アルゼウスの身代わりを務めること。養父母に売られた悲しみを乗り越え、エディアルドの苛烈な指導を乗り切った彼女は、アルゼウスとして帝都に入る。そこにあったのは、四大公間の醜い権力争いと、隣国ユリ・スカナの王女にして男装の麗人グラーシカ、彼女に随伴する美しき剣の達人サルベーンとの出会いだった。
一言で表すなら、貴種流離譚の変形バージョン。突然の人生の転換点から、いかにしてカリエがはい上がり、自分らしさを取り戻していくのか、というお話。