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  • みんなの評価 5つ星のうち 3.2 4件

名探偵・浅見光彦

著者 内田康夫

箱根にある大物俳優の別荘に、十二人の有名芸能人とルポライター浅見光彦が招かれていた。不審な死亡事故が二年続いて起こった因縁のパーティ。予定通りに始まった直後、男優永井が何者かに毒殺された。それは連続殺人の序曲だった…。監視を依頼され、同席していた光彦がその不可解な動機、トリックの解明に敢然と挑む!

汚れちまった道

税込 1,012 9pt

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還らざる道

2011/07/24 22:19

長寿シリーズの秘訣

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 このところ間隔が空いている浅見光彦シリーズである。さすがの内田康夫も歳を取ったせいか以前のように回転しない。長寿シリーズであるが、振り返ってみると、様々な工夫があって、読者を飽きさせない仕掛けがいくつもあることに気付かされる。

 小説の導入部はとくに重要な部分であろう。いきなり浅見が登場するものもあるが、今回はヒロインの周辺で生じる事件を最初に出して、読者を惹きつけている。このパターンは、数えたわけではないが、比較的多いのではなかろうか。そこで取材旅行に出ていた浅見が偶然この事件に遭遇し、ヒロインとの接点となる。

 この辺りの導入部は、ヒロインが毎回異なることもあって飽きることはない。その裏をかいて同じヒロインを再度登場させるという手もあると思う。映画『男はつらいよ』シリーズでもその手は使われているではないか。

 今回は一部上場企業の会長が謎の死を遂げるという事件から始まる。今や名士となった人々の過去の犯罪をあばくというよくあるパターンを土台に浅見の活躍が始まるわけである。浅見のこのシリーズを読んでいると、どうしても浅見のイメージが浮かんでくる。それは沢村か中村か、テレビの影響も侮れない。

 いつも思いのままに登場人物を活躍させ、終わりに近くなるとそれらの人物の説明を場当たり的に付けるという方法で内田のストーリーは展開していく。よくそれで辻褄があうなと感心させられる。しかし、他の推理小説と呼ばれるものに比較すると、そのストーリー展開は論理的であり、一貫性がある。

 主人公浅見のさわやかな行動と台詞、ホームドラマ的な登場人物の役柄や性格なども長寿シリーズの源ではあろうが、それだけではなかろう。推理小説として本来欠くことのできない論理性が受けていると思う。しかし、推理小説の楽しみ方は千差万別であり、十人十色であろう。

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汚れちまった道

2015/09/27 01:27

荻殺人事件と対になっている。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Shinano - この投稿者のレビュー一覧を見る

私は浅見光彦が好きなので、光彦が主人公になっているこちらの1冊だけで十分楽しめました。でも、荻殺人事件も買ってしまいましたが。

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鯨の哭く海

2005/10/11 08:23

捕鯨をテーマとした殺人事件、いつもながら軽快なタッチだが、辻褄あわせに難。

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 浅見家の食卓で鯨が話題になる。年輩者は給食で出された噛み切れない大和煮を思い出すが、若者は鯨肉とはまったく縁がない。今食べてもそれほど美味しいとは思えないのだが、小学生時代の思い出としては日本人に共通したものであろう。
 いつもながらの浅見光彦の名探偵振りが描かれているのだが、本書での主題は捕鯨である。鯨は国際的な捕鯨委員会でその捕獲が禁止、制限されている。内田氏は自らの捕鯨に関わる思いを小説の端々に綴っている。イルカの仲間である鯨を獲るのはかわいそうであるとか、鯨が他の漁業資源を荒らしてしまうという事実など賛否両論を紹介しているが、鯨に同情的な書き方であった。
 ここまで来ると、鯨肉の需要がどれほどあるかは疑問であるが、鯨はそれ以外にも無駄なく利用されていることも、私は本書を読んで初めて知った。だが、食用、あるいは資源として全く利用もしていない国々が委員会のメンバーに加わること自体が余計なお世話なのであって、IWCなる委員会が得体の知れない国々の集合体であることは明白であろう。
 かわいそうというのなら、食用にしている他の動物はかわいそうではないのだろうか? 一体、何を根拠にしているのかが理解できない。愛護の対象になるものを決めるのは国際的な団体なのか? 国際的に価値観が倒錯しているのは分かるが、外国の歴史的な食文化を尊重すべきなのではないか。
 捕鯨の歴史的な町、和歌山県太地と秩父が舞台になっている。捕鯨国である外国の怪しげな団体、捕鯨側の官庁出身のリーダー、記者など多彩な登場人物がそれぞれ活躍するが、今回は偶然が重なり過ぎたり、如何にも調子よく目撃者がいたりの連続で、やや興が削がれてしまった。
 内田氏は始めから筋立てを考えないで書き進むようだが、結果的には今回のようにその皺寄せが偶然の重なりで解消されるという無理な筋立てになることもあるようだ。

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