プログラミング言語C 第2版
※この電子書籍は固定レイアウト型で配信されております。固定レイアウト型は文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
本書は、アメリカの標準規格として1988年末に提出されたC言語のANSI規格にもとづいて第1版を全面的に書き直した新版である。ごく常識的に言えば、C言語はリッチー博士がベル研で1973年に開発して以来、多くのプログラマに使われているから、その仕様変更はちょっと不可能ということになるが、アメリカはあえて、そのCの仕様変更・機能拡張をやってのけた。これでCが近代的なプログラミング言語としてよみがえったのだからすばらしい。
本書の付録Cの要約でもわかる通り、ANSI規格による変更(機能拡張)はそう大幅なものではないが、重要な改良点を多く含んでいる。Cによるプログラミングは、これまで自由度がありすぎて危険だとよくいわれてきたが、ANSIによって改良された結果、Cによるプログラミングの安全性は大いに向上した。これでCの寿命は一段と長くなり、Cは今後ますます広く使われることになるであろう。
プログラミング言語C 第2版
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
プログラミング言語C 第2版(訳書訂正版)
2001/10/05 18:04
C言語のバイブル
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:神楽坂 - この投稿者のレビュー一覧を見る
長らく「K&R」という愛称で知られてきたC言語のバイブル的文法書。K&Rとは、著者のB.W.カーニハンとD.M.リッチーのことである。「UNIX流プログラム書法と作法」というサブタイトルが示すように、プログラムをどう書くべきかが解説されている。
プログラムは動けば良いというものではない。分かりやすさや処理効率を高める工夫が必要である。加えて、この本ではエレガントさにまで言及しているのだ。「nc=nc+1を、nc++または++ncと書いてもいい」というのに始まり、「i=i+2はi+=2と圧縮できる」や「x=n++とx=++nでは、xが異なる値になる」のようなテクニックを紹介し、それらをプログラム上でどう使うかが重要だと教えてくれる。決して、こういう場合はこう書けという押し付けはない。こういう自由度こそがC言語の本質であり、どの書き方を選ぶかがプログラマのセンスなのである。
入門書としてはやや難しいが、C言語を語るには欠かせない名著だ。C言語ブームの頃は、マニアの間でK&Rの第何版の何刷を持っているかが競われたほどだ。無論、版が古いほどステイタスとなる。
プログラミング言語C 第2版(訳書訂正版)
2004/10/22 14:47
原点
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:死せる詩人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者であり、C言語の開発者であるKernighanとRitchieのイニシャルからK&Rと呼ばれる事の多いこの本。所謂、C言語のバイブルです。まず、読んで分かるのは例題として書かれたプログラムのソースが、(ある種の癖を含むものの)洗練されている事でしょう。そして、順次提示されるソースは、それぞれが独立しているのではなく相互に絡みあって最終的に連結したプログラムになっているのも優れた点です。
悪い所もあります。例えばポインタの演算を多用し過ぎている点。この書籍が書かれた時点では、ポインタ演算は速度の点でアドバンテージがあったのかもしれません。現在ではその利点も然程大きくはなく、ソースコードの可読性を高めるという要件からポインタ演算の多用を嫌うシーンも多くなっています。
とは言え、C言語の原点という意味では、本書に勝るものは規格書そのもの以外には存在しないでしょう。Cプログラマならば、通読しておくべき1冊であると言っても過言ではありません。
プログラミング言語C 第2版(訳書訂正版)
2001/02/09 19:58
プログラミングに関わる人すべてに勧めたい
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:松原 仁 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いま最も当たり前のプログラミング言語がCである。たとえば、将棋の強いプログラム同士が競うコンピュータ将棋選手権に出場するほとんどのプログラムはCで書かれている。かつてはFortranという言語が当たり前であった。いまから思えばあれほど使いにくい言語もないのだが、他に使える言語がなかったのでみんな仕方なくFotranを使っていた。いや、当時はコンピュータを動かすことができるというだけでFortranに感謝していたのかもしれない。
そんな暗黒の二十数年前に、アメリカのベル研究所でUNIXというマイナーなOSとCというマイナーな言語が開発され、一部の優秀なプログラマが熱狂的に支持をした。Fortranの天下の中で少しずつであるが着実にC(そしてUNIX)のユーザーは増えていき、あるとき一気に人気が爆発してCが天下を取ってしまったのである。Fortranという非人道的な言語(いかに非人道的かは一度でも使ってみればすぐにわかる)をこの世の中からほぼ絶滅に追いやった功績はCにあり、本書にあるのだ。
本書はCがマイナーだった時代に、Cの普及を目論んで御本家のベル研究所の著者たちが執筆した解説書の第2版である。評者はFortranを最初に習った世代であるが、大学の3年に進学したら当時まったくマイナーだったCが動くマイナーなUNIXマシンが部屋の片隅にあった。本書の原書第1版をむさぼり読みながらこのCを自習した思い出がある。Cの本は日本語ではまったく存在せず、英語でも本書の原書ぐらいしかなかった時代である。いまCの本は(後継のC++も含めて)ちまたにあふれているが、言語そのものを学ぶにも、言語の背景にある思想を学ぶにも、本書を超えるものは存在しない。共立出版の最大のベストセラーであるのも納得できる。
本書は"hello,world"と出力するプログラムの説明から始まる。プログラミングを学ぶ人が世界中でやったように、あなたも"hello,world"と出力するプログラムを書いてみよう。Cを学びたい人はもちろん、Cを知っている人を含めたプログラミングに関わる人すべてに勧めたい本である。
(公立はこだて未来大学 松原 仁)