人造人間キカイダー
著者 石ノ森章太郎(著)
真っ赤なギターを背負ったその男は、機械だった…!? ロボット工学の権威・光明寺博士が、亡き息子を偲んで開発した人造人間「ジロー」。彼には特別な「良心回路(ジェミニィ)」が備わっていた! が、研究支援者でもあった大富豪ギル教授の企みにより研究所は爆発、博士は行方不明となる。回路が未完成なまま消えた「ジロー」を探せとの父のメッセージに、娘のミツコは…? 自らの存在意義に苦悩する石ノ森ヒーロー、登場!
人造人間キカイダー(5)
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2017/03/26 17:32
石森ヒーローとしては別格になるキカイダー/ジロー
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投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
『キカイダー』は、もう何度読んだかしれない。
『週刊少年サンデー』でリアルタイムで読んだ(というより、この『キカイダー』をきっかけにして、『サンデー』を定期購読するようになったくらいなのだ)し、サンデー・コミックスで単行本化された時にも買いそろえた。サン・コミックス版はどうしたっけ?でも、秋田文庫版もそろえたし、最近の完全版も涙しながら読んだ。
そんなわけで、石森ヒーローは何人もいるのだけれど、個人的にはキカイダーは別格だ。
そして、なぜそんなに好きなのか、何度か読んでいるうちに、その理由がわかってきたような気がする。
石森ヒーローは常に苦悩するのだけれど、このキカイダーあるいはジローはさらにはかなさが溢れているというか、繊細さが際立っているように思う。それが、他のヒーローが人間であり、ジローがロボットだから違うのか何なのか、そのあたりはよくわからないけれども。
作品冒頭に「ピノキオ」の話が出てくるし、途中にも例え話で出てくるように、明らかに「ピノキオ」をモチーフにしているのだけれど、ディズニーの「ピノキオ」ではないなあとも思う。では、石森章太郎が描こうとしたピノキオはどこにいたのだろうか。
また、最初の頃はモロに悩めるヒーローだったのだということに、今回改めて気づいた。とても後半の兄弟揃ってのドンパチとは違って、不完全さや人間との違いとかがストレートに描かれている。そこが「ピノキオ」なのだと言えば、そう言えるのかもしれない。
これで、石森章太郎がもっと自ら手がけていれば、もっときれいな作品になったように思う。どうみても、石森の手にならないカットがあるし、わざわざ作画協力と書かれているので、石森プロのスタッフの手が多く加わっているのが残念だ。