神様なんか信じない僕らのエデン
著者 一ノ瀬ゆま
普通の世界。世界最小の衛星ロケットが打ち上げられ、天才中学生棋士が最年少で六段に昇格した、そんな世界――。
勉強が好きなこと以外は平凡な喬 織人はある日、密かに憧れていたクラスメイトの西央凛々斗から
異常なほどの良い匂いを感じる。
体育の授業終わり、火照った顔で呼吸も浅い西央を心配し保健室に連れて行こうとする喬だったが、
半ば強引に体育倉庫へと誘い込まれ――…?
人類初のαとΩを描く、オメガバース前夜譚・上巻!
神様なんか信じない僕らのエデン 3【電子限定かきおろし付】
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2021/09/04 13:39
控えめに言って傑作!
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にゃにゃ子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作(gift)があまりに凄かったので、
『あんな作品は一生に一度、まぐれでしか描けないだろう』と思って、
あの感動を損ないたくないので、今までエデンは読んでませんでした。
バカです、私は。
画もどんどん上手くなっておられるのですが、
この方の強みは、お話の作り方(構成力?設定?)だと思います。
理由はわかりませんが、圧倒的に深みがあって分厚いです。
引き込まれるし、理論武装もしてるし。
頭で納得しながら、感情も持っていかれます。
登場人物の、複雑で繊細な感情が胸を打ちます。
魅力的です。面白いです。
文学的でもあるし、映画的でもあります。
表現の仕方もすごいです。
褒め称えたいと思ったら、
上から目線みたいな文章になってしまって
『チガウチガウ、こうじゃない』です。
素晴らしさを言語化するのはホント難しいです。
続き、正座して待つしかないでしょう!
控えめに言って『傑作』です!
読んで後悔ない作品です!
すごいです!
神様なんか信じない僕らのエデン 下 (ビーボーイコミックスデラックス)
2021/03/19 00:37
新たな世界の、始まりの二人
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kaya - この投稿者のレビュー一覧を見る
αもΩも、まだ誰もその存在を知らない世界で
人類初のαとΩ、いわばアダムとイヴとして覚醒した少年たち。
オメガバース設定のある作品の最初の数ページで説明されてきた
人類の第二の性への進化の過程がまさにこれなんですね。
オメガバースの世界はこうして始まったんですねぇ…
ある日、突発的に始まった西央の発情とフェロモンに引き寄せられた喬。
その現象の意味もわからないまま、二人は
体育倉庫でこっそり身体を重ね続けていました。
3日が経過し、ようやく西央のヒートが落ち着き始めた頃、
身体の変調に遅れ、今度は喬の心に変化が起き始めます。
それはヒートが終われば、また以前の日常に戻り、
西央が自分から遠のいてしまうことへの焦りでした。
周囲への支配欲求や西央への独占欲が高まり、
自分の中で“α”が目覚めていく感覚に戸惑う喬。
そして、西央に彼女がいることを知ると、
嫉妬から西央を乱暴に抱いてしまいます。
守りたいのに、笑っていて欲しいのに…
雄の部分が表出し、己の過激さや傲慢さ、暴走するαの本能と
芽生え始めた恋心の狭間での葛藤が息苦しいです。
それでも、自分の気持ちを冷静に見つめ、これから西央と
どう向き合っていきたいか、ちゃんと結論を導き出せた喬は
ある意味では全然高校生らしくなく、大人びていて、
一人前に愛を知る男の表情をしていました。
ちょっと格好良かったな…
一方の西央は喬から向けられた激情を嬉しく感じていました。
頭で難しく考えがちな喬とは違い、こちらは心で感じるタイプ。
心に従って純粋に喬を求め、喬からの言葉にも行動にも歓びを感じ、
その全てを受け容れた上で彼の“メス”となることを望んでいました。
喬のいない空間で、寂しそうに残された喬の“気配”に寄り添う
愛おしいような、切ないような表情はまるで恋しているかのようでした。
最初は明るいイケメンくんだったのに、この7日間ですっかり
健気で可愛らしく、色気溢れる男の子に変貌を遂げておりました。
そして、未知の変化を経て、恋と本能に揺れ、迎えた7日目の朝。
二人だけのエデンを出た喬と西央が選んだ答えは―。
ラストが素晴らしすぎて、もうなんか胸がぶわぁっとなってしまった…
「世界でたった1人の俺の異性」てすっごい台詞。本当に高校生?
ともかく新感覚で、ロマンチックで、ものすごい読後感でした。
大体“進化”の一言で済まされがちなオメガバースの世界観を
遺伝子レベルの変異として捉え、人間の身体機能の向上や
オカルティックな能力の発現など、喬の科学的視点を通して
未知の部分が解き明かされていくのが目からウロコで面白かったです。
その“進化”に子孫を残すため以外にも環境への適応力や種の強化などの
意味付けがなされていて、オメガバースの世界がより一層深まりました。
神から“進化”という名の祝福を受けた反面、
そこには世界に二人だけという孤立感も背中合わせなわけで。
最後は世界の各地で彼らと同じように、進化の始まりが垣間見えます。
二人が“普通”に堂々と笑って生きていける世界が早くやってきますように。
2021/03/27 01:57
子供達の姿がいじらしい
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:匿名 - この投稿者のレビュー一覧を見る
αとかΩとか、それほど好きではなかっけれど、人類初のとかいうので読んでみました。
訳のわからない凄まじい「何か」が自分達に起こっているのに、二人だけで対処しようとする。それだけ強い結びつきということなんでしょう。自分ではどうにもならない身悶えする様な欲求に、獣の様にお互いを求め合い、抱き合う事しかできない二人がいじらしく、感動すら覚えました。さあこれから下巻です!