正直言って、直也と恋愛していたころの瑠璃子がアレだけの経験をしたからといって、「女性だから男性を弄んではいけないのですか?」などと言うようにはならないと思う。
2005/04/22 22:18
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投稿者:Yumikoit - この投稿者のレビュー一覧を見る
だちから漫画を借りて読んだら面白かったので、原作も読むことにした。美人で気高い性格の主人公。
彼女を想い、その一方で高い理想に心を砕く青年。
2人の仲を引き裂くあくどい成金のオトコ(笑)
こういうベッタベタのストーリィって結構好きなんだよなぁ。
ドラマにもなってるみたいだけどそっちは見たことない。
舞台となっている時間が行ったり来たりしている原作のストーリィ構成。
美奈子と瑠璃子の心のひだの、詳細な描写などがなかなかに読ませる。
でも、正直 妖女としての瑠璃子の行動の背景にある部分は、むしろコミックスの方がなんとなく好き。
─ いや、現実問題としてはそういうニンゲン関係のやりとりが快くなっちゃうタイプのヒトっているのかもしれないけど。
直也と恋愛していたころの瑠璃子が、こういう風に豹変するってのが無理やりの気がしてさ。
これ(原作の方)を読んでいたら、夫が
「まーたぁ。そーゆーベタベタのメロドラマ好きなんだからなぁ」
と言って表紙を覗き込んで
「あ。菊池寛じゃないか」
とビックリしていた。
ええい。あんたもコミックの方はかなり集中して読んでいたじゃないか。知ってるぞ。
ラストは、原作の方がよし。やっぱり王道は原作だよね。きっと。
一生懸命に生きてるあなたへ
2004/01/10 00:28
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投稿者:遊子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ああ、昼ドラで話題になった小説ね」
そんな気持ちで手にとった。しかし、なんと言うことだろう! 読み出したら止まらない。明日はレポートの提出日だというのにハンカチを握りしめて読みきった。友人にこのことを話すと
「真珠夫人で泣いたの!?」
とあきれた顔をした。けれども、この小説を貸した数日後、目を真っ赤にして返してくれた。ちょっとうつむきがちだった。
この小説は大正時代という女の人がまだまだ自分を抑えなければいけない時代で、精一杯女であることに胸を張って生きた女性の物語だ。けれども、まわりは誰も理解してくれなくて、その分また不器用に肩をいからせる。そんな彼女を見ているととても切なくなって涙が出てくる。
おいおいそりゃあちょっと出来すぎでないか?というようなエピソードもご愛嬌。だって、大正時代だもの。今とは価値観が違います。けれども、今でも自分をわかってもらえなくて歯がゆい思いをしている女性も多いはず。そんな現代の女性たちにも通じるものがあると思う。仕事疲れのお姉さん、恋愛に一息つきたいお姉さん、一生懸命に生きてる女性に読んでもらいたい小説。
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投稿者:のんたん - この投稿者のレビュー一覧を見る
昼ドラで有名になった作品だが、原作はドラマとは大分違う。ただ貞節を守った女の愛の物語ではない。
もちろん原作も大衆小説らしく、大げさなほどにロマンチックである。昼ドラでは時代がかった設定と無理やりなストーリーが人気を博したようだが、当時の人にとってもさすがにやりすぎだったのではないかと思えるくらいだ。このストーリーだって菊池寛の魅力の一つといえる。
しかし本当の魅力はそれ以外にある。菊池寛は、人の心の動きを明確に捉え、そのエッセンスだけをストレートに描くことのできる作家だ。この作品のテーマは真珠夫人瑠璃子の愛ではなく、自由を求める瑠璃子の苦しみなのである。私達は瑠璃子の告白の後ろに、リベラリスト菊池寛の叫びを聞くのである。
ストーリーはミステリー仕立てで、私達を最後の種明かしまで飽きさせることがない。菊池寛の魅力を堪能できる長編だ。
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投稿者:ないものねだり - この投稿者のレビュー一覧を見る
「自分は芥川のような天才ではない。」と語った人の、こういうのを書くから脇役になるんだ、という作品。自ら脇に回るのだと思う。
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ワタクシこれで卒論書いております。
瑠璃子の人物像、多少不完全なところもあるけれども、大正時代からすればすっごい新しかったんだろうな、と思います。自分を恨んで死んだ男が書いた恨み節をよんでも、「自惚れが強いのね☆」と一蹴してしまうところなんかはかなりカッコヨイ。
ただし、フェミニストとしてのやり方は褒められたものではなく、それによって悲劇的な結末へと導かれていくのではないかと思われます。たわしコロッケはないけどね(笑)
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数年前に昼ドラで一斉を風靡した『真珠夫人』の原作。ドラマは見てなかったけど、原作にはドロドロした部分はありません。
菊池寛の作品は初めて読んだけど、女の貞操とか処女性とか、今では死語になりつつあるよなぁ。だいたいそんなのにこだわるのは男のエゴでしょ。大正時代のお話なので、あまり共感できず。菊池寛の大げさな表現もあまり好きじゃない。
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金色夜叉と同じで通俗低俗扱いされる傾向あり。新聞連載に起因してなのか、随所に小ネタ、サブキャラが登場して一貫性はない。ストーリーの唯一の一貫性は瑠璃子の貞操だけ。
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昼ドラになった、あの!「真珠夫人」を読みました〜。
ドラマは凄かったけど、原作はどんなかしらね?と兼ねてから興味はあったものの、流行りものは敢えて避けると言う天邪鬼な性格なんで、ずっと読まずにきたのだけれど。。。
ストーリーの大筋はドラマと大体同じなんだけれど、ドラマの後半の娼館は、テレビの完全なる創作。
主人公、瑠璃子は周囲に男を群がらせているけれど、その場所は嫁ぎ先の自分の家であり、女郎屋の女将に仕立て上げられたなんて作者が知ったら激怒するんじゃないかしらねぇ。。。。
まぁ、ドラマはかなり脚色してて、原作とは別物と思った方がいいわね。
あの局のあの時間帯のドラマは、どの作品も原作をかなり歪曲・脚色しちゃっているのは、いつもの事だしね。
それは置いておくとして、小説の方だけれど、登場人物達の価値観には驚く事が多い。時代のせいなのかしら?
一番驚いたのは、貴族院議員をしている瑠璃子の父親。
元々金持ちだったわけでもないのに、政治活動にお金を惜しまない。
自分の事だけならまだしも、他人に借金を申し込まれて簡単に貸す。
連帯保証人にも簡単になる。
手元にお金が無くなると、人から簡単に借りる。でも出る方が多いので返さない。高利貸に借りる事になり、その期限も毎回延ばしてもらってなんとか凌いでる。
正直、開いた口が塞がらない。
それで、その借用証書を全て荘田に買い取られ、期日を迫られて。
その場凌ぎ(娘の為ではあるけれど)に、人から預かった骨董品を質に入れて金を作るその事を訴えられて窃盗罪を問われる羽目に。
他人の物を、本人に断り無く勝手に質に入れたんだから、当然でしょうって私は思うんだけど、このお父さんに娘の瑠璃子は「法律が悪人に味方してる」
とか、「そんな事、世間ではよくあることなのに・・・」なんて言ってるんだよ〜。
これを読んで、当時の読者は「そうだ、そうだ」と同調したの?それが普通の感覚なの?
これは立派な犯罪よ、って思うのは現代の感覚?それたも私だから?なので、全然、彼らに同情できない。。。。。。
こういう事は、これ以降も多々あって、結局、瑠璃子とはシンクロできなかった。
だって、どう読んだって自業自得としか思えないんだもの。
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大正時代の小説ながら、新仮名遣いのためもあり、するすると読めた。いつの時代も男は根本的に純情だね。3つの視点が交錯し、収斂する。最後は少々とっちらかり気味。妖婦と思わせつつ、ほろりとさせた直後に急転直下。アドバイスが裏目に出た・・・というか、よけいなお世話な気がするぞ。エンディングでもその件に関し、何のフォローも無い。ストーリーの宙ぶらりさをあえて狙ったか。
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当時の女性観からいえば、かなり新しかったろうと思う。今、読んでもおもしろいし、確かにと思わせるのは、未だ男女平等ではない部分があるからだろうか。特に、恋愛面から言えば、平等になることなんて永遠ないような気がしないでもないけれど。
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菊池寛二冊目。貞操問答よりも、こっちの方が気に入った。ミステリアスな出だしと、主人公の心理描写が絶品で、(当時としては非常にセンセーショナルであったであろう)社会風刺も効いている。なるほど、これは面白い。
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「処女は何事にもかえがたい宝なのです!」
みたいな力強い記述が随所に見受けられ、
汚れた現代人にはゴリゴリの違和感です。
おおげさかつクソ真面目な文体が
笑いを誘いますね。
一昔前のノエビアのCMみたいな表紙の絵がこわいや。
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恥ずかしながら菊池寛初体験。
菊池寛といえば「文芸春秋」創設者で、芥川賞・直木賞を設立した人。
また「父帰る」や「藤十郎の恋」等の純文学を生み出してもいる。
大正九年に「真珠夫人」を新聞小説として発表して爆発的ヒットを生んで以来、いわゆる通俗小説を手がけるようにもなった。
「真珠夫人」ってなんだか淫靡な響きじゃありませんか。
林真理子の「白蓮れんれん」を読まなければここにたどり着かなかったと思う。
年下の恋人と駆け落ちした大正の美しき歌人、柳原白蓮を描いた小説だけど、その中に彼女をモデルにして菊池寛が「真珠夫人」を書いたというくだりが出てくるのだ。・・・・でも柳原白蓮と荘田瑠璃子では設定がまるっきり違う・・・当時はそれとわからないように書いたのかしらね。
新聞小説だからかしら、テンポが速くて読みやすい・・・っていうか長い小説なのに次が気になってしょうがない。
きっとこむずかしい純文学に飽きた人やついていけない人たちにはとっても新鮮だったんでしょうね。
小娘のような妻を相手に手出しができない夫も変だし、処女のまま初恋の人を思い続けて死んでいくのもありえない設定だけど、
大正という時代を考えれば相当進んだ小説だったのでは、と思われる。
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2002年の昼ドラの時に、興味は持ったもののドラマを観ていなかったので、せめてと買った小説が積読でした。
北村薫の『円紫さんシリーズ』で、芥川をめぐる文壇の謎解きから、この作品に言及され、引っ張り出して読みました。
凄いですね、メロドラマの元祖?
何が凄いって、男性の筆によるメロドラマだから。
女性の怖さ、男の愚かさが余すことなく書かれているから。
そして、文庫版の解説が川端康成だから(!)
川端先生の解説の結びでは、通俗小説ながら家庭の読み物としての健康を保ったのは、瑠璃子の悲劇と処女性に同情があったからのように、瑠璃子が美化されているけれど、この時代ではそうだったのでしょうか?
この悲劇の一番の戦犯は、瑠璃子のお父様ですよね~
時代が変わったのを御存じない。
家計の「収」「支」というものをご存じない。
高い志のためなら、借りた金を返さなくてもいいと思っている。
それを取り締まる法律を、「悪い奴に味方している」と、父娘そろって罵倒するという勘違いぶり。
そして、鑑定のために預かった書画を勝手に…
結局、この時代錯誤没落華族は、金で娘を売ったのだ。
そして、瑠璃子様ですが…
この時代では、操を守り通したところが美点だったらしいですが、むしろ、世の中そんなに甘くないよと思ってしまう。
群がり寄る浮ついた男たちはともかく、知的障害のある義理の息子をして、その障害ゆえの一途な思い込みをあおり、利用し、ついには成り行きとはいえ父殺しまでさせた罪は重いと思う。
どんなに美化されようと、この結末しかあり得ない。
しかし、そんな所が王道メロドラマとして非常に面白かったです。
成金の娘でも美奈子さんは天使。
そして、A級戦犯、瑠璃子父は、金で娘を売って、自分はまだ貴族院議員として生きながらえているのでした。