死体は知っている
著者 上野正彦
ゲーテの臨終の言葉を法医学的に検証し、死因追求のためとはいえ葬式を途中で止め、乾いた田んぼでの溺死事件に頭を悩ませ、バラバラ殺人やめった刺し殺人の加害者心理に迫る……。監...
死体は知っている
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商品説明
ゲーテの臨終の言葉を法医学的に検証し、死因追求のためとはいえ葬式を途中で止め、乾いた田んぼでの溺死事件に頭を悩ませ、バラバラ殺人やめった刺し殺人の加害者心理に迫る……。監察医経験三十年、検死した変死体が二万という著者が、声なき死者の声を聞き取り、その人の人権を護り続けた貴重な記録。
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雄弁な死体
2003/08/08 10:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kay - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本では3つのことに心惹かれる。一つ目は実際的な死体についての知識。溺死体では左右の心室で血液の濃度が違うなんて、言われなければなかなか気付かないことだ。大体普通の人間が死体に詳しいだなんていかにも怪しい。しかしそこにそういう知識があるなら知りたいと思うのが人間なのだ。「へーっ」と驚いたり「ふんふん」と納得しながら読み進める。
二つ目は、死人を取り巻く人間のドラマだ。この本はただ専門的な知識の羅列で終わるのではなく、著者が実際に扱った事件や、それに基づいた短編も収められている。死体の検死に始まって徐々に情報をたどり、行き着く先にあるのは思いもかけなかった事実。上質のミステリーのようで、これが実際にあったと思うと薄皮一枚剥がれたリアルさがある。
三つ目は、法医学者として長年仕事をしてきた筆者の社会観、人生観だ。死体の聞こえざる声を聞き、本当の死因を突き止める為に死体を解剖するなどという仕事、強い使命感がなければ出来るものではない。もし他殺死体を自殺死体と言ってしまえば、その人を殺した犯人は永遠に捜査され罪に問われることはない。あの世があるなら、その死んだ人はあの世でどんなにか悔しいだろう。死者の人権を守ることは、その死者の生きた生を尊ぶことなのだ。筆者の言葉には長く真実を追究してきた者の強さと真っ直ぐさがある。
余談だが、この本で得た知識を利用して巧いこと殺人を働こうとしても上手くいく可能性はかなり低い。まず、この本に書かれていることが法医学の全てではない。本文の中で死体にどれだけのおもりを付ければ沈んだままでいるのか「私は知っているが教えない」そうだ。また、この本は94年に書かれたものであり、それから法医学は長足の進歩を遂げている。死体の口を塞いでおくのは、もはやとても難しいことなのだ。
とっても面白い
2001/08/13 01:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:奈々 - この投稿者のレビュー一覧を見る
看護婦してると何人もの人の死にあたる。死体というものが、日常茶飯事になっていて、死体を考える余裕がなかった。この本は、死体も一つの人と考えて大事に世話? しています。
そして、暗い真面目な本ではなく、とても面白くスラスラ読めた本です。こういう人が先生だと、授業も楽しかっただろうなぁと思いました。