猫にはなれないご職業
著者 竹林七草 (著) , 藤ちょこ(イラスト)
吾輩は猫又である。化け猫と一緒にするな!凄腕陰陽師として名を馳せた春子が寿命で亡くなり、唯一の肉親を失った孫・桜子。悲しみにうちひしがれる彼女を見守る者がいた。飼い猫・タ...
猫にはなれないご職業
猫にはなれないご職業(イラスト簡略版)
商品説明
吾輩は猫又である。化け猫と一緒にするな!
凄腕陰陽師として名を馳せた春子が寿命で亡くなり、唯一の肉親を失った孫・桜子。悲しみにうちひしがれる彼女を見守る者がいた。飼い猫・タマ。タマは妖怪・猫又であると同時に陰陽師として春子の相棒だった。人語を解するタマは「まだ家族はいるぞ」と伝えたい。だがそれは出来ない。生前から春子は「桜子には陰陽師について何も知らないまま生きて欲しい」と願っていたからだ。しばらくして桜子の親友である命が声なき声に操られ、春子によって施されていた封印を解いてしまう。それはかつて桜子を喰らわんと襲ってきた妖怪。伝説の妖狐九尾にせまる八尾だった。
だが自分の死で封印が弱まる事を考えていた春子はタマと共に備えていた。桜子を守るため、タマは八尾の封印を破ってしまった命に協力を要請する。春子亡き今、代わりに人手がいる。
初めはタマが話すことに驚く命であったが、徐々にタマの想いを理解する。
『桜子を助けたい』
それが1人と1匹に共通する願いであった。そして八尾襲来。タマが八尾の圧倒的強さで絶対絶命になるが、なんとか囮になり目的地へ誘導。タイミングを合わせ命が、春子とタマの全てを込めた、陰陽道の真髄「蒼龍」を解き放つ。
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
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猫又ならばなれるのか?
2015/09/17 11:19
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
祖母の藤里春子を亡くし、その遺産を狙う親族を追い払い、仏壇の前に座る藤里桜子は、未だ祖母の死を心から受け入れることは出来ていなかった。そんな彼女を心配そうに見つめるのは、祖母の代から彼女の家にすむタマ、猫又だ。
藤里桜子が未だ学校に登校出来ていないのを心配してやって来たのは、春子が存命中からよく遊びに来ていた神波命だ。そんな神波命が帰った藤里家の天井裏で、猫又のタマと狢のヤクモが語り会うのは、これから桜子を襲う予定の災難についてだった。
代々、陰陽師の家系であった藤里家は、祖母の春子も当代随一の陰陽師であり、数々の怨霊を祓い、あるいは封印して来た。そのうちでも最悪のひとつ、八尾の天狐が霊力の粋である桜子を喰らうべく、今にも封印を破りそうになっている。
かつては春子と共に、「犬神」清十郎を使って八尾を撃退した猫又陰陽師のタマではあるが、いまやただ一匹の力でそれを討つことは難しい。加えて、桜子自身は、藤里家が陰陽師の家系であることも、祖母が陰陽師であったことも知らない。全ては春子の方針だ。そこで、春子のもう一人の孫とも言うべき神波命に協力を求めるべく、神波御琴名義で製作したBL全集をネタに脅しをかけるのだが…。
前半はツッコミどころ満載で、春子の死後に命を狙われると分かっていた桜子にどうして自衛手段を教えておかなかったのかとか、春子の生前、災厄の源を断てば良かったのではないかとか、数々の疑問が浮かび上がり、読むのがかなり嫌になったのだが、その疑問に対する答えは後半できっちりとほどかれる。その重要な要素が犬神の清十郎というわけだ。
しかし、“お姫様”とも言うべき桜子自身が、最後の最後まで物語の中心に来ることがなく、結局、命がヒロインの様なポジションに収まっているところにアンバランス感がある。桜子の危うさをその理由にしたいのならば、もっと危うさを強調する演出をしても良かっただろう。
第6回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作品。