相手に目を凝らし、耳を澄まし、気持ちを理解すること
2011/11/08 14:09
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ソネアキラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず、ここから。
「宝島社の女性誌がなぜ一人勝ちしたかといえば、ライバルを同じ雑誌ではなく、嗜好品、つまりコンビニコスメやカフェラテだと考えたからだ。魅力的な付録はその仕掛けのひとつである。結果的にこれまで雑誌を手に取らなかった女の子たちの関心を集めることに成功した」
従来は同業他社製品の同一マーケットを考えていればよかったが、現在は、消費者の好きなもの全体を見ないといけなくなった。異種格闘技みたいなものだろう。たとえば柔道の選手が、組んでかかろうとすると、いきなりハイキックされるようでは、困るぞと。
最も如実な例がアプリだろう。
ゲームも音楽も電子書籍などさまざまなソフトがいっしょくたにアプリで括られる。電子書籍は、既存の本好き層じゃなくて本を読まない層をターゲットにしたはずなのに、冒頭引用した宝島社の女性誌のように成功はまだしていないようだ。
そうか、食玩のパターンか。中身じゃなくておまけで釣ると。
「広告がラブレターに代表されるアプローチ技術なら、マーケティングリサーチは相手に目を凝らし(観察)、耳を澄まし(傾聴)、気持ちを理解する(洞察)ための技術ということになる」
経験知が高くなればなるほど、自分のリサーチスタイルで捌こうとしがちだが、そうじゃなくてリセットしてからかかる。できるようで、なかなかできない。それは、どういうことか。
「集団の特性を数字で定量的に理解するだけではなく、ひとりの人間のリアリティを想像し、大切にする」
単純に定性的ってこととも、ちと違うようだ。数値、データじゃなくて、もっとパーソナルにってことか。
「消費者はあなたの役に立ちたいと思っている」
でなければクックパッドなどに自分のレシピを、価格コムに製品レビューを、そしてビーケーワンに書評を投稿したりはしないだろう。
「消費者とコミュニケーションするには、企業も遠くから消費者にメッセージを投げかけるというよりは、自分から消費者に近づき素性をさらけだして距離を縮める方がいい」
デプスインタビューとかいわれると、なにか新しいことのように思えるが、これって消費者をインタビュイー、企業をインタビュアーの置き換えるとなんのこたあない、ライターや記者なら取材と同じ方法論だよなあ。
緊張している相手をなごませるには、まず自分のことを話してから。というのは、よく使う手だし。でもそこから先の煮詰め方が異なるか。
どうもマーケティングの類というと、はじめに結論ありき。それを理論武装するためのデータやインタビュー。悪くいえば、捏造ともいえなくもなかったが、それは通用しないらしい。正直ってことか。
「消費者と」の「コミュニケーション」。そこにはヒントや答えなどが埋もれている、まさに金の鉱脈なのだ。マーケター限定じゃなくて、クリエイターにも、会社員にも、記載されているリサーチの心構えとノウハウは、ためになる。
投稿元:
レビューを見る
マクロミルの萩原さんの書籍。
本来、もっと早く読むべきだったのだが
いろいろと必要に迫られて読了した。
これだけの内容の書籍だが、一言でまとめると、まさに目から鱗。
正直、この内容にインスパイアされたことは多い。
発売当初に萩原さんの話を聞いたけど、そのときにもおっしゃっていられた「これからのソーシャル時代のリサーチは変革していく」ということ。
まさに今、それが業界におこっているようだ。リサーチ業界の人間ではないが、関わっている人間としては、とても感慨深いし、個人的には従来手法との組み合わせでのソーシャルリサーチ手法が早く実現してほしいと願っている。
事例なども多く、時代も追いついていることから、賞味期限はそれほど長くはないのかもしれない。
しかし、まさに変革の今、本書を読んでいるかどうか、それは明確な差となってしまうことは間違いないだろう。
このように様々なレビューを書かれている本書の著者が、このレビュー群をもとに、今後どのように活動していくかにも興味がある。
以下目次
Introduction 消費者が変わればリサーチも変わる
1 なぜ新しい消費者理解の技術が必要なのか
2 パートナーとしての消費者
3 消費者の言葉に耳をすます
4 新しいデバイスとテクノロジーの活用
5 マーケティングリサーチの伝統と革新
投稿元:
レビューを見る
これまでのマーケティングリサーチの流れを踏まえつつ、これからのトレンド(主に消費者参加型)について述べられている。
「顧客のインサイトをいかに把握して、商品開発に活かしていくか?」が全体のテーマとなっており、メーカーの担当者やリサーチャーにとっては一度読んでおくべき本だと思う。
ただし、急いで仕上げたのか、全体的に荒っぽさが残っている。
例えば、比較すべきグラフが同じものだったり、誤植が多かったりetc
また、コラムで日本のSNSについて語っているが、facebookが良くて日本のSNSは本来のSNSとして機能していないから、早く変わるべきという主張が根拠に乏しく、荒っぽさを感じさせる。
投稿元:
レビューを見る
単純に調査手法の紹介が多いのかと思えば、現在消費者を取り巻くソーシャルな環境において最適な「傾聴」手法についてまとめられている良書。数値化、データ表現という点で後ろ盾があるのだから、定性的といわれようと、最適な消費者インサイトを提案することで調査会社はまだまだ新たな付加価値を提案することができると思う。
投稿元:
レビューを見る
代表性のある調査が困難になり、
ソーシャルメディアが拡がる中で、
「asking」から「listening」へ
シフトしながら消費者インサイトにたどりつこう、
とそんな感じだろうか。
MROCやWE Researchなどなど、
新しい調査の手法が紹介されている。
いまどきはここまできてるのかあ、と思ってしまう、
自分の情報感度の鈍さにちょっとがっかりしつつ、勉強になった。
最後に次世代を担うリサーチャーへということで、
著者からのメッセージが書かれている。
自分は次世代を担う世代に入るんだろうか?と思いながらも、
これからのリサーチ業界に不安とワクワクを感じた。
投稿元:
レビューを見る
事例紹介>実用性
ソーシャルメディア活況の昨今、この新分野の実用的な調査手法や効果計測や分析手法の指南を想像して購入した人には期待はずれの内容。
どちらかというと、古典的なリサーチ手法からスタートし、最近の新たなアプローチの事例紹介集という立ち位置の内容。
残念ながら事例紹介から先、読者がどのようにその事例を落とし込んでいけば良いか、その点からの示唆は弱い。
つまり最近のリサーチの概念的な流れがわかるためにはよい一冊だが、ソーシャルメディアにおけるリサーチ本だと思って買うと残念な結果に終わる。
Klout, tweetmanager, hootsuite, twittpollこういった単語は出てこないし、こういった分野には一切入り込んでいかないので注意が必要。
タイトル負けしている感は否めない。
投稿元:
レビューを見る
ありそうでなかった一冊。最新事例を示しつつ、これからのリサーチの方向を示す。リサーチャーはもちろん、リサーチをもとに実際のマーケティング活動に関わる全てのヒトにおすすめ。知らなかったじゃ、済まされない。
投稿元:
レビューを見る
はじめに
Introduction 消費者が変わればリサーチも変わる
マーケティングリサーチとは何か。
今なぜ「次世代」について語らなければならないのか?
マーケティングリサーチをめぐる論点を整理する
Chapter1 なぜ新しい消費者理解の技術が必要なのか
戦争から恋愛へ。
消費者の心の中のシェアを争うとはどういうことなのか。
従来の調査ではつかめない、新しいデータ利用の発想を学ぶ。
Chapter2 パートナーとしての消費者
消費者はリサーチの「回答者」か、それとも「参加者」か。
消費者の中に飛び込み、消費者と会話するためのさまざまなノウハウを知る。
Chapter3 消費者の言葉に耳をすます
「消費者の声を聞くこと」は「市場調査」にとってどんなメリットがあるのか。
検索やクチコミ、そしてTwitterを使った「傾聴」の方法を考える
Chapter4 新しいデバイスとテクノロジーの活用
日々進化するテクノロジーがリサーチを変える。
センサリング技術や映像技術がもたらすインテリジェンスとはどのようなものか。
最先端の事例を探る。
Chapter5 マーケティングリサーチの伝統と革新
マーケティングリサーチのビジネスモデルが転換期を迎えつつあるい今、
伝統的手法と新しい手法をどう使い分けるべきか、次世代のりサーチャーへの提言。
おわりに
Appendix
■マーケティングリサーチャーのネットワーキング
■参考文献・ウェブサイト
投稿元:
レビューを見る
Web上に大量の情報が集まるようになった昨今、マーケティングもこれを活用する次世代型に移っていくと主張し、現時点における動向を綴った本。
全体的な趨勢と具体的事例が簡素にまとめられており、今後のメガトレンドをさっと把握する上で有用。
以下概要:
顧客が求める価値の多様化が進む中で重要になるのは、各々の顧客集団に対するインサイト、すなわち①データでは見えてこない真実や、②心の奥底に存在する感情ニーズのうち、③ビジネスを成長させる可能性を秘めているもの、である。
インサイトを知るには、顧客の生活や購買活動を、ありのままに観察し、アブダクションから着想を得る必要がある(顧客自身、自分が欲しいものは分かっていない)。また、購買後の活動もフォローし、製品改善に役立てなければならない。
Web情報はこれに大きく寄与し、マーケティングデータの特性は、集める⇒集まる、全体統計⇒個別、スポット⇒時系列、個別⇒統合へと変わっていく。その手法として、オンラインコミュニティリサーチ、MROC、クラウドソーシング、エスノグラフィ、バズリサーチ、データビジュアリゼーション、ニューロマーケティングなどが挙げられている。
従来のマーケティング・サーベイ(訊く型マーケティング)は、回収率の低さ、真実性の曖昧さ、コストの高さ、データの荒さ、時系列観測の難しさ、データ化の困難さから、競争劣位に立たされ、漸近的に消滅していく。代わって、Web上にうまく情報が自動で集まる仕組みを作り、これを統合し、解釈するマーケティング(傾聴型マーケティング)が主流になっていくだろう。
投稿元:
レビューを見る
これまでのリサーチ手法と最近話題になったリサーチ事例をまとめたもの。
整理がうまく成されておらず、読むのに骨が折れる。
投稿元:
レビューを見る
マーケティングの本。
紹介されているGoogleインサイトサーチの機能は、万人が利用できるので、様々な分析や評価に使えそう。
■消費者インサイトの定義
・データでは見えてこない真実
・心の奥深くに存在する感情やニーズ
・ビジネスを成長させる可能性を秘めているもの
■データの入手
誕生日を入手するのにそのまま聞いても答えてくれない。誕生日占いから入力してもらうほうが良い。
また、収入や資産は、アンケートでは回答しないが、家計診断を行う時には本当のデータを入力するものだ。
■AIDMA、AISASとは全く発想が異なる消費者行動モデル SIPS
S Sympathize 共感する
I Identify 確認する
P Participate 参加する
S Share & Spread 共有 拡散する
投稿元:
レビューを見る
現在のマーケティングに対する示唆に富む本です。
従来の調査というものは基本的に調査対象と販売対象をセパレートし、あくまでも市場を箱庭のように再現することが発想の根底にある。
その中で、さまざまな調査を行うわけだが、消費者のワードにならないことや、まったく気がついていないことは見出しにくいという課題があった。
また、従来のマスマーケティングが効かなくなってきた今日、各企業はそれぞれの商品・ブランドとエンゲージしてくれる顧客の塊を探しており、その顧客の声をいかにきいて、製品・サービスに反映するかということを模索している。
ゆえ、調査する対象は平均的な層ではなく、特定の層によっていくことがおきる。
すると、従来の箱庭的な考え方ではなく、とがった層に対してアプローチすることが求められる。
このような視点から捉えなおしてみると、箱庭である必要は必ずしも必要ではなく、さらには、無意識の行動から消費者の心の動き(インサイト)を導きだす為、IT技術を活用することが有効という発想になる。
結果、調査と顧客コミュニケーションが同質化するため、セパレートすることはかえって効率が悪く、はじめから顧客とエンゲージし、声を聞き(Listeing)し、その声を反映した製品・サービスを提供、さらに意見を聞くというプロセスをWeb技術で構築するのが良いと考えられる。
投稿元:
レビューを見る
リサーチャーが語る、ソーシャルメディア時代のマーケティングリサーチのこれからについて示唆的な一冊。
仕事柄、どんぴしゃな内容だったわけですが、とても勉強になりました。
うっすらと、ばらばらに感じたり疑問に思ってきたことを体系化・整理化してもらえて、頭がすっきりした印象。
ask から listen へ。
「集める」から「集まる」へ。
「アナリシス」から「シンセシス」へ。
「これまでの話」から「これからの話」へ。
ソーシャルメディアがいろいろな、今まで知りたくても知れなかったことを、
より自然に、より消費者側の能動的で偽りのない姿を、
救い上げられるように炙り出してくれたってわけです。
頭切り替えないと。
リサーチ機能すら内含したコミュニケーションデザインができたらいいな。
投稿元:
レビューを見る
AskingからListeningへ。一個一個もうちょっと踏み込んで欲しかった。現場はもっと進んでいる。
投稿元:
レビューを見る
ソーシャルメディアやテクノロジーの発展により、これからのリサーチがどうなっていくか、について書かれた本。読んでいてワクワクした。
マーケティングリサーチというタイトルだけに、消費者の心がどうだったのかについて深く入ってこうとする姿勢を感じた。そして、自分が興味を感じていたアクセス解析は、マーケティングリサーチの一つだったと気づかせてくれた。
これからは大量のデータ、テキストマイニングや解析、ユーザーからの投稿のクラスタリングなど定量的なものをいかに統計的に処理するか、それだけでなく定性的な、例えばユーザー自身も気づいていないインサイトをいかに分析するか、その両面が大事。
きっとこれからは様々なデータを複合させながら、ユーザーの言葉や無意識をいかに汲み取り、統計的にかつ直感的になれるかが大事なんだろうなあ。ものすごく複雑そうで膨大な手間がある一方で、とても楽しそう。