- 販売開始日: 2014/01/03
- 出版社: 新潮社
- ISBN:978-4-10-134924-4
あの歌がきこえる
著者 重松清 (著)
意地っ張りだけどマジメなシュウ、お調子者で優しいヤスオ、クールで苦労人のコウジは、中学からの友だち同士。コウジの母親が家出したときも、シュウがカノジョに振られたときも、互...
あの歌がきこえる
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商品説明
意地っ張りだけどマジメなシュウ、お調子者で優しいヤスオ、クールで苦労人のコウジは、中学からの友だち同士。コウジの母親が家出したときも、シュウがカノジョに振られたときも、互いの道を歩き始めた卒業の日にも、三人の胸にはいつも、同じメロディーが響いていた。サザン、RC、かぐや姫、ジョン・レノン……色あせない名曲たちに託し、カッコ悪くも懐かしい日々を描く青春小説。
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青い時代を思い出させてくれた一冊
2009/08/15 21:05
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サムシングブルー - この投稿者のレビュー一覧を見る
重松作品はまぶたの奥が熱くなって、もうすぐ涙で文字が見えなくなっちゃう、と思う瞬間が幾度かやってきます。
昭和50年、本州の西端に近い港町に住むシュンとコウジとヤスオは中学一年生。シュンとヤスオは小学校の頃からの友達です。口より手のほうが早いシュンはやんちゃで温かい子どもです。シュンとコウジは犬猿の仲。コウジの母ちゃんは家を出ていってしまい、遠足の日には紙パックの牛乳とジャムパン一つだけでした。シュンは母ちゃんに作ってもらった特製弁当をコウジに差し出しますが、決闘になってしまいます。そこに雷雨が。雨宿りをしながら二人は中村雅俊の『僕たちの勲章』の挿入歌『いつか街で会ったなら』を歌うのです。
最後のフレーズ 「それでもいつか/どこかの街で会ったなら/肩を叩いて微笑みあおう」 を何度も何度も繰り返し歌う場面に、その瞬間がやってきました。
そう、この作品はその時々の歌をタイトルにした小説です。第6話のタイトルは『旅人』。シュンたちは田舎町の名門校・セトコーに入学します。
「やがて深いしじまが 星をかざるだろう/君のあつい思い出/胸にうるむ夢を 埋めて/時はゆくとも/いのち果てるまで/君よ夢をこころに/若き旅人よ」
シュンたちが互いの道を歩き始める第12話のタイトルはRCサクセションの『トランジスタ・ラジオ』。
「こんな気持ち/うまく言えたことがない」
歌の歌詞を活字で読むと、胸が震えます。
シュンは重松清さんなのでしょうか。『あの歌がきこえる』は青い時代を思い出させてくれた一冊でした。
私だけの「あの歌」をききたくて
2009/07/28 08:05
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
誰にしも懐かしい歌がある。思い出に刻まれた歌がある。メロディーや歌詞を思い出せば、それとともに浮かびあがる風景や時の記憶があって、時にそれらは鼻の奥をつんとさせる。
そんな心情を描かせれば、重松清は当代一の作家だろう。
本州の西端に近い港町を舞台に、昭和50年(1975年)からの六年間を描いた連作集の、それぞれの作品のタイトルとなった歌は、「いつか街で会ったなら」「戦争を知らない子供たち」「オクラホマ・ミキサー」「案山子」「さよなら」など、全部で十二曲。
その時代であったら、あの歌も流行った、この唄も忘れがたい、人それぞれあるとしても、これは三人の少年が中学一年から高校三年までに出会った「あの歌」であるから仕方がない。
これは彼らの青春物語なのだ。
主人公のシュウとは相性のよくないコウジに妙な噂がたつ。コウジの母親が家出をしたという、嫌な噂。普段は仲のよくないコウジだが、元気がないのが気にかかるシュウ。小学校の頃からの友だちであるお調子者のヤスオをうまくつかって、コウジに接近しようとするのだが、それもうまくいかない。三人の登場人物のそれぞれの性格描写と、三人の友情の始まりを描いた「いつか街で会ったなら」。「戦争を知らない子供たち」を大声で歌いながらもまだ戦争がそんなに遠い記憶でなかった頃の苦い思い出を描いた「戦争を知らない子供たち」。人生初めての岐路となる高校受験でシュウが密かに思いを寄せる彼女が不合格となる「好きだった人」。
同じ高校に入学はしたものの、いくつかのエピソードをはさみながら、やがてそんな三人にも別々の道が訪れる。そして、高校の卒業の日、物語は三人の友情のはじまりとなったエピソードへ戻っていく。
「俺の生きている毎日は、悲しいぐらい、ガキの日々だった」(169頁)。
そんなシュウたちの思いに重なる歌の数々は、誰もがたどる、おとなへの道の前奏曲だ。
これは重松清が紡いだ、あの頃だ。
同じような心の痛みやどうしようもない苛立ちは似ていても、これは重松清の物語だ。私の物語ではない。あなたの物語でもない。
それなのに、どうしてこんなにも切ないのだろう。それは、心に寄り添って励ましてくれた、あの頃の歌たちとどこか似ている。
気がつけば、私だけの「あの歌がきこえる」。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でご覧いただけます。
良い本です
2024/07/29 11:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
中学から高校卒業の六年間を音楽と共に紡ぐ切ない物語です。自分の六年間と照らし合わせながら、また当時の気持ちと今だからわかる親の持ちとを同時にシンクロさせながら、あっという間の時間でした。
青春時代と音楽と。
2009/10/13 14:16
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
青春時代、というと何歳くらいの事を言うのだろうか。死ぬまで青春!なんていう元気なお年寄りが多い昨今ではあるけれど、青く拙いのが青春時代であるならば、中学高校時代というのがまさに青春と呼ぶのにしっくり来る気がする。そして青春時代に、歌は付き物。誰でも、聴けばあの頃が瞬時に蘇るという名曲を、いくつかは持っているもの。本作品は、三人の少年達が中学高校を通じて謳歌する青春を、12の短編に纏めた連作短編集です。「戦争を知らない子供たち」や「案山子」「トランジスタラジオ」といった名曲のタイトルが付けられた各短編は、その曲をテーマにした、三人がそれぞれ成長していくエピソードが綴られています。勉強や進路の事に悩み、そして芽生える異性への思い。そんな誰にでもあった青春時代の青い記憶が、とてもリアルに描かれていました。とかく私のように昭和を生きた人間には、まさに自分の青春の姿そのもの。作品中に使われている曲も、どれも思い出深い物ばかり。彼らの青春を辿りながら自分の青春もリアルに思い出され、懐かしいような恥かしいような、何とも不思議な感覚を味わえました。まさかのそんな効果が胸を揺さぶり、思わず涙腺がゆるんでしまいます。
中1から高校卒業まで。バカで青くて、でも何だか何かに一生懸命だったあの頃。昭和50年代にそんな青春を送った我らの、必読の一冊。忘れていたあの日が、蘇るかもしれません。
懐かしい
2015/10/29 21:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今作は私の好きな学生が主人公のおはなしが何篇か収録されてました。
懐かしい気持ちがよみがえって、なんかいもなきそうになりました。