源平六花撰
著者 奥山景布子 (著)
平家滅亡の直前、女院らとともに西海に逃げた松虫と鈴虫の姉妹。松虫が屋島の戦いで、源氏方の那須与一に扇を射抜かれたことから姉妹は疎まれ、浜で暮らすようになるが、さらに公吏と...
源平六花撰
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商品説明
平家滅亡の直前、女院らとともに西海に逃げた松虫と鈴虫の姉妹。松虫が屋島の戦いで、源氏方の那須与一に扇を射抜かれたことから姉妹は疎まれ、浜で暮らすようになるが、さらに公吏としてやってきた那須兄弟の宴席に侍ることになる(「平家蟹異聞」)。落日の平家をめぐる女人たちを華麗な文体で描いた短編集。オール讀物新人賞受賞のデビュー作。NHKラジオドラマ化原作(出演:西田敏行、竹下景子)。
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時代の香りがする時代短編小説6編
2018/08/18 22:25
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
源平時代の短編6話をまとめたもので、短編の中にはオール讀物新人賞の受賞作である『平家蟹異聞』が含まれている。短編6話のタイトルは、常葉樹、啼く声に、平家蟹異聞、二人静、冥らきより、後れ子である。
源平という看板が出ているが、武家ではなく公卿や朝廷での話である。常葉は頼朝、義経の母である常盤御前が主人公である。啼く声には、鹿ケ谷の陰謀で有名な俊寛を中心として描く。平家蟹異聞は那須与一の扇の的を持った平家方の女人姉妹が源氏の世となり、零落するミステリー。二人静は、義経の愛妾静御前が頼朝、政子の前で舞った後日譚。冥きよりは、熊谷次郎直実が敦盛の首を獲ったことによる災禍を描く。後れ子は、平家の中宮徳子のお付きから見た生き方を描く。
いずれのストーリーも短編で味わいのあるものであった。ただし手軽に読むというわけにはいかなかった。登場人物の名前が幾種類も使われるので、時折同一人物であったことを忘れてしまい、物語の筋が分からなくなる。また、文体が古風なので流れるように読めるものでもない。しかし、この方が時代が反映されて、如何にも源平時代の雰囲気が感じられる。
俊寛の物語は史上の詳細が分からないので、能や小説も数々あるが、より奇想天外な筋でもよかったと思う。熊谷直実は若き敦盛の首を撥ねたことを後悔する直実がよく描かれていた。直実のその後を描き、余韻も十分であった。
この種の歴史小説は書き手がいないのか、読者が求めていないのか、ほとんど作品が出ていない。きわめて残念である。奥山には是非続けて欲しいものだ。