時平の桜、菅公の梅
著者 奥山景布子 (著)
凡庸だが人心の機微を知る貴公子・藤原時平。破格の才力で他を圧倒する菅原道真。親の七光りで出世を重ねる時平は、自力で地位を築いた道真を敬慕し、その背中を追って国政に奮闘する...
時平の桜、菅公の梅
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商品説明
凡庸だが人心の機微を知る貴公子・藤原時平。
破格の才力で他を圧倒する菅原道真。親の七光りで出世を重ねる時平は、自力で地位を築いた道真を敬慕し、その背中を追って国政に奮闘する。しかし上皇は時平率いる藤氏を疎んじ、道真を偏愛したため朝廷は二つに分裂。時平はかつて志を分かち合った道真と、互いの政治生命をかけて対立することになる!
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平安時代の藤原氏と朝廷の確執
2018/05/22 18:16
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は歴史小説であるが、江戸時代や明治時代ではない。平安時代の実在の人物が描かれている。平安時代となると1,000年以上も前の話なので、実在は実在だが、登場人物の人となりは恐らく作家の想像であろう。
本書の主役は2人。一人は藤原時平、もう一人は菅原道真である。後者の方が現代人には名が通っている。本書では道真はきわめて堅物で、ときの天皇である宇多天皇の片腕である。日本史でも有名であるが、時平は藤原北家の系統を守る左大臣、一方道真は右大臣で、両社が激突するところが見せ場であろう。
本書では激突と言われるほどの乱は描かれていない。いつの間にか道真が太宰府に流刑同然の異動で都にはいなくなってしまったという書き方である。この辺りは史上明快なので、もう知られている話である。
この時平は、平安の世をわが世の春と謳歌した藤原道長より随分前のことである。それでも天皇家の外戚を目論んでいることに変わりはない。道真が宇多天皇に徴用され、その能力を発揮したのは、宇多天皇が藤原氏を排除し、親政を行いたかったからであるというのが本書の主旨であろう。
いずれにしても歴史上の出来事を探せば、小説の材料は出てきそうなので、平安の世を描いてほしいものである。いつまでも織豊や徳川では飽きが来てしまいそうである。