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投稿者:ふとっちょパパ - この投稿者のレビュー一覧を見る
現場主義というと論理がないものが多い気がするが、きわめて論理的。
勉強になる。
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「現場主義の競争戦略」藤本隆宏
産業論。特になし。
現場に入りながらの生産技術をしている身としては、現場の論理と本社の論理、どちらも首肯する点があって折り合いをつけるのが難しい。
現場視点で生き残りを考えるにはどうしたらいいのか?という思いで読みました。
(4)
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以下メモ
p5.”そもそも一つの産業は同種の「現場」の集まりである。”
産業・現場は、経済学だけで数理的に語れるわけでなく、社会科学的な分析のアプローチが必要。
↓
産業の表裏の数字:
表…売上高、成長率、価格など
裏…生産性、原単位、不良率など
§1
危機に陥ったときにこそ現場力の向上を。
p25.日本が得意な製品…細かい設計調整をやらないと良い性能が出ない「擦り合わせ型」設計の製品
↓
ひとつの画期的なアイデアより、”作り込み”の側面
p37.「ものづくり組織能力」と「アーキテクチャ」の相性が重要
↓
設計⇆生産
きりがない要求に対するソリューションが、擦り合わせ型、作り込み型のものづくり
(「こんな制約条件の中で設計しろと言われても無理だよ」)
設計の複雑性 なら勝てる
p45.
”では、どんな現場が残すべき「良い現場」なのか”
低コスト/高生産性/短いリードタイム/高品質・高技術/進化し続けている/etc…
”長期的に国内にどんな現場が残れるかは最後は市場や社会が決めることですが、市場による淘汰は結構、長い時間を要します。”
p47.本社は現場の生きたデータを知る。現場は本社に生きたデータを伝える努力をする。
p52.ケースバイケースで、「設計過剰」な高コストとなることもある=新興国市場
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作り込み とは別にシンプルな設計も要望
p55.付加価値は設計情報に宿る
「ものづくりの時代からサービスの時代だ」という議論自体の発想そのものが古い。
p57.良い設計の良い流れ とは
いわゆる 生産工程の効率化
↓
貿易財に見習う‼︎
p63.現場改善は、「正しいけど、そこまで言われたくない」という人も少なからずいる。
生産性⇔賃金⇔資本 の循環から需要が生まれる
§2
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長い間、積読状態であったがようやく読了。日本の企業は「擦り合わせ型」が得意であるので、その長所を生かしていこうという著者の一貫した「ものづくり」に関する主張がコンパクトに述べられている。ただし、講演録をもとにしているため、行きつ戻りつするところもあるが、そのことでかえってわかりやすさも増している。
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東大の経営学者の藤本隆宏さんの本。
正直、突っ込みどころはたくさんあるが、日本の経営学者には珍しく企業に入り込んでいる感があっていいな。
日本の経営学の本は哲学みたいな本が多く、企業をバカにするような本が多いが、この本は違う。企業、特に製造現場、特に設計プロセスが好きなんだなと伝わってくるな。
突っ込みどころとしたら、帯には実証経営学者とあったが、結局どんなモデル仮説を実証したいのかがよくわからなかったことかな。
でも、結局どんなモデル仮説を導いたのかわからない哲学みたいな経営学の100倍はましだな。
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競争戦略とタイトルにあるが、競合などの企業環境にたいしてのレスポンス的な話は出てこない。
競争戦略というよりもオペレーション論として読むべきか。
内容は主に設計プロセス、それを設計情報の転写という形で説明している。
先のとおり、オペレーション論と思えば内容には納得する部分は多い。
ただ、帯に実証経営学とあったのにデータが一切ないのはちょっとね。
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日本は、多能工型のサッカーチームのような仕事が得意で、ポディションによって役割が決まっている野球型ではないと。現場を数多く見てきて研究している著者だから言えるのかも。本部の勝手な意思ではなく、現場がこの40年行ってきた改善を見ろと。中国などの新興国の賃金があがってくると、多能工型の日本の仕事の仕方は、競争力がでてくると説く。おもしろかった。
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現場主義というのはよく伝わってきた。具体的だった。だけど、これを競争戦略って言っていいのかね。単に自動車企業の設計プロセスのカイゼンにしか思えない。
あと実証経営学とも書かれているのに、定量分析がないのはちょっと。
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東大ものづくり経営研究センター長による日本産業活性化の処方箋。経営からの目線と現場からの目線双方の補完に力点を置く現実的な産業論には説得力がある。
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日本が生産性の向上に活路を見出したのは、高度成長期に移民を受け入れることがなかったから、という説が面白かった。
新興国の賃金が上がっているいま、日本の現場の持つ高い生産性は武器になる、という指摘。「良い」現場は自律して生産性を向上してゆく。
しかし、著者は戦える現場と戦えない現場があるとも指摘するので、戦略は必要。なるほど。ある意味で王道の論。でも視点(上空5mくらい、という立ち位置)が面白いと思った。
あと、サッカーのたとえが判りやすくて良かった。
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2015/4/23読了。結局は一度も参加できなかったものの、かつて丸の内で「ものづくり寄席」という企画が定期的にありました。それを主催(東大のMMRC)していたのが著者。本書も財界人への講演がベースとなっております。製造業に限らず日本の産業の強みは現場の能力構築にあり、モジュール型ではなく擦り合わせ型でそれが優位的に発揮される、など他書で語られている事と比べても目新しさはありませんが、理路整然というより思いついた事を脱線しながらも総花的に語っているので、著者の主張への理解を補完する為に軽く読み流すのにはいいかもしれません。
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本社よ、覚醒せよ。
長らく日本の製造業に携わってきた著者が語る、日本の競争戦略、経営戦略論。
公演を基にしているので、論拠としての詳細なデータには乏しいが、現場を熟知した著者が語る主張には説得力がある。
日本には、日本に合った競争戦略、成長戦略がある。
欧米の真似事でしかない、金融を機軸とした成長戦略は、日本では限界がある。
「ものづくりに拘泥していてはダメになる」「先進国としてものづくりを捨てて米英に追随しサービス産業特化せよ」といった過剰な悲観論や、「日本人には擦り合わせ型DNAがある」「日本人は生来ものづくりが得意だ」といった過剰な楽観論を排し、「沈黙の臓器」である「現場」を生かした競争戦略が日本では必要となる。
「経済」は「産業」の集まりであり、「企業」の集まりでもある。産業も企業も、結局は「現場」の集まりである。経済学の論理から導かれる産業論も勿論必要となるが、現場から見上げる産業論や企業論も欠かすことができないものである。
「擦り合わせ型(インテグラル型)」と「組み合わせ型(モジュラー型)」の分類だけではなく、各国の歴史文化による組織能力や比較優位製品についての言説や、VWとトヨタの「モジュール化」の違いや、災害時に「設計情報」を避難することで別の場所で復旧するサプライチェーンの「バーチャル・デュアル化」など、単なる理論や事例紹介に止まらず、とても興味深い内容となっている。
最近、アップル社やソニーを引き合いに出して、製造業のサービス業化を進めようとする動きが盛り上がってきているが、逆に、サービス業の製造業化も進んでいくだろう。(例えばグーグルのように)
その時に、サービス業が成功するカギは、やはり現場の生産性にかかっている。そして、現場力を生かすための本社力にもかかっている。
日本のことを過剰に持ち上げることは不要だが、卑下する必要もない。
「現場主義の競争戦略」は、製造業に限った戦略の話ではない。
トヨタ生産方式の生みの親である大野耐一氏は、豊田紡織からトヨタ自動車に移ったときに、「自動車の生産現場は遅れている。繊維産業の進んだ生産方式を導入すれば、すぐに三倍、五倍の生産性になるぞ」と思ったという。
進んだ生産方式とは即ち、上流で品質を作り込み、作業を標準化して、多台持ちで生産性を上げる方法である。
繊維産業から自動車産業へ伝えられた方法は、トヨタ生産方式として昇華され、今や電機や化学といった他の製造業だけではなく、IT業界やサービス業、病院、官公庁にも取り入れられている。
海外では、「リーン生産方式」としても注目されている。
今後、トヨタ生産方式というか、ものづくりの根底に流れる考え方は、他の産業の現場にも取り入れられていくだろう。
本書の根底にある主張は、過去の藤本氏の著作と通じるものがあるが、本書は新書で読みやすいので、藤本氏の主張を知るために、入門者にもおすすめな一冊。
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上司から推薦された 藤本隆宏さんを初めて読んだ。現場力を発揮する組織能力の構築が重要であることがわかり、自分自信の考え方でもあり同感した。そのためには、地域連携そして本社の覚醒が重要であり、現場力が向上される良い流れを戦略的に進めることがポイントと読めた。
・気になるセンテンス
35 きりがない 厳しい機能要求
37 組織能力
42 比較的優位の部分と劣位の部分があると考え、現場現物できちんと潜在能力を見極めること
43 何をやりたいか だけでなく 何なら勝てるかという戦略的なものの見方が必要
47 能力構築競争
49 複雑化対応能力 単純化
83 経営者の役割
99 三つの労働時間区分
219 場発の産業競争論
良い現場見極め 彼らの実力潜在力を信じ 彼らを活性化させるような施策と戦略を連動させることである。
220 良い現場は人としての成長の場であり人生の意味を見つける場である。現場は団結し 本社は覚醒し 地域は連携していくこと
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現場の設計こそ経営
日本の現場、オペレーションの良さを学ぶことに特化すれば良書。
全体的にはおじさんの日本の現場を崇める感想文であり(筆者も前書きで本書は学術書ではないと陳述)、イノベーションのジレンマまっしぐらに思える思想のまとめだった。
■概要
設計と改善のループ、現場の能力開発が肝
■所感
・設計が肝という考え方
戦略=オペレーションのコーディネーションと説く本がある中で、この設計(モノだけでなく現場を設計する)という考え方も近いと思った。
・オペレーションに閉じれば良書
一方で、良いもの=良い設計であれば売れるという思想に思えてならない論調であり、いかに顧客ニーズを捉えるか、売れる仕組みを作るのか、という視点が欠けているように感じた。もっと言えば、事業を通して世の中をどうしたいのか、企業はどうあるべきかといったような経営者の視点もない。あくまでオペレーションをどうしたいのか?という問いに閉じた内容であれば本書から得られるものは大きい。
・ソフトウェア視点の欠如
すり合わせ型もモジュラー型もあらゆる産業の中で混在するから、すり合わせを日本企業は頑張ろうという思想は痛い。すり合わせのボトルネックが機械工学や電子制御からソフトウェア、通信に移ると日本の現場のカイゼン力だけではかなり厳しくなるのでは?センシングの分野ではキーエンスなどがまだまだ強いだろうけど…
・総合的に
OMO進捗度(オンライン/オフラインにかかわらず)を問わずオペレーションは経営の重要な要素である。アウトソースすることも可能だが、その判断を見極め際にもオペレーションへの理解は不可欠。そういった意味では、本書によって現場を設計することを理解することは大切だと感じた。
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ものづくり現場を知り尽くした藤本教授が、サービス業や金融業も含む経済産業界の重鎮や先達が多数おられた経済倶楽部という場で話された内容に加筆を加えたもの。
産業現象は経済現象でもあるから、経済学抜きには産業を語れないが、かと言って経済学だけで産業が語れるわけでもないと筆者は考えている。
経済・産業の土台にある「現場」は、経済学・経営学・法学・工学・社会学などの論理が錯綜する一つの小宇宙なのであるとしている。
第1講「現場」は死なず―金融危機と優良現場
第2講 本社よ覚醒せよ―自滅の道を回避できるのか
第3講 ぶれない枠組みを持つ―製造業悲観論を超えて
製造業、非製造業という枠組みではなく、「良い流れの設計」を持つ「現場」を大切に育てて行く。
設計情報の転写を組織内できちっと自分の持ち場で転写できる組織こそが、エンドユーザーが求める製品・サービスを創造し続けるのです。
先生の理論も現場の発想でますます進化していると感じた一冊でありました(笑)。
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良い設計の良い流れを作る
自社の現場の技術で、
モジュラー型からインテグレーション型へと変革できるような製品・工程アーキテクチャを選択して、それを実現できるようなモノづくりの組織能力改善を進めていく。