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投稿者:出川通 - この投稿者のレビュー一覧を見る
すばらしい技術があっても、必ずしも実用化できるとは限らないとよくいわれる。もちろん、ニーズやタイミングもありそのとおりだと思う。しかし、逆説的にいえばどんなささやかな技術でも、執念を燃やすメンバーが何人かいれば、実用になっていくというのも正しいと思う。これが、技術者が技術の基軸をはずさずに、世の中に役立てるということでMOT(技術経営)の本質かもしれない。
本書では、技術の成果を商品化していく過程を「研究」「開発」「事業化」「産業化」の四つのステージに分類しました。そして、それぞれのステージにおいて、関連する因子や、そこで対処すべきことについて、筆者が技術者として実際に現場に携わったなかで気づいた点を述べています。
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本書冒頭で紹介される基本フレームワークを後半で筆者の経験と照らし合わせて論じていく。基本フレームワークとはシーズを基にした研究、マーケットニーズを意識した開発、セールスに重点を移した(製品開発から商品開発へ)事業化、継続的な商品投入が可能になり、拡大し一分野をなす産業化である。各段階の間に存在する魔の川、死の谷、ダーウィンの海を如何に乗り越えるかを考えることが本書の肝。
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技術経営=「経営学」の一部。技術は主役であって最も脇役。成功の延長上にある失敗。用途、ターゲットを絞りきれない技術の失敗。技術的に素晴らしくても、利益を生まなければ商品としては失格。商品は、従来技術:独自技術=9:1でよい。技術バカには理解不能な話だと思う。技術経営の成功は、リーダー&マネジメントが鍵だと感じた。(2008-06-23読了)
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企業内起業顛末記が2本、「失敗例に学ぶ」でケーススタディ2本。これが面白いです。
研究が事業に至るまでの間の失敗を段階別に「魔の川」「死の谷」「ダーウィンの海」って言うらしいのですが、それぞれの段階での事例が載っています。なかなかこの手の事例を書ける方はいないのではないでしょうか。
要するにせっかくいい技術ベンチャーであっても、大企業の中でやると、変な人が来てうまくいかないということがとても印象に残ります。
この変な人の描き方がとてもわかりやすいです。
まず管理職ですね。
「新たに数名の(工場)管理職を受け入れることになってしまいました」(p.160)という書き方に歓迎してない感が横溢していますよね。これじゃ来た人も浮かばれなかったことでしょう。このあたりが大企業の宿命なんでしょうか。「このような管理強化のなかで、技術陣は次々と進捗報告を求められました」(p.160)メイワク感が溢れています。結果として「安全性のたかいものへどんどん集約していった」「技術的差別化はどこかへ忘れ去られ」(p.161)となっていったそうです。
本書ではこういう失敗経験から「今だったらどうしていたか?」(p.165)を著者がまとめてくれています。「別組織での運営」(p.166)そうきましたね。要するに「社内の変な人、来ないでください」という悲鳴ですよね。
「自称専門家」(p.86)というのもこまりものです。「聞かれても知らないとは言わず、教科書を読んで答える人たち」(p.86)と定義されています。
耳の痛い教訓もありました。
「技術シーズは汎用的な可能性を持つが、商品にするには絞り込む必要がある」(p.163)
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来年から学ぶことになるMOTの概観を知るために読んだ一冊。技術畑で生きてきた著者による、技術経営にまつわる数々のケーススタディのような一冊。理論的な話ではなく、経験に基づく話が中心になっている。面白いのは面白いが、どうも低い視点からMOTや技術投資について書かれているような気がする。さして参考にはならなかった。
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入社2〜3年目くらいに読むといいと思う。
MOTをよくわかってないので、ここに書かれていることをMOTと呼ぶのか知らないが、具体的な実例が書いてあって読みやすい。
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本書では,MOT(Management of Technology)の概念をわかりやすくするために,技術の成果を商品化していく過程を研究・開発・事業化・産業化の4ステージに分類し,ステージ間の障壁である「魔の川」,「死の谷」,「ダーウィンの海」の越え方のマネジメントを行うことがMOTと位置付けている。堅いMOTの教科書というよりは,筆者の実体験を基にしたケーススタディの記述がメイン。読み本であるため,技術経営についてさらっと知りたいというときに読むといい。
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新しいアイデア・技術を産業化するまでに経験するステップを「研究」「開発」「事業化」「産業化」の4段階に分け、それぞれの間に横たわる乗り越えなければならない困難を「魔の川」「死の谷」「ダーウィンの海」と名づけて、どのように解決すべきかを説いた一冊。著者の実体験であるフラットパネルディスプレイ製作のためのイオン注入装置開発に関する具体的な説明が分かりやすい。社内ベンチャーと社外ベンチャーなどの分岐点についてなど端的に解説されており、MOTのイメージ作りには参考になる。
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技術が製品になるまでのプロセス毎に必要な戦略を企業形態(J/V、MBO、子会社etc)、市場選択と差別化、人材の確保など多角的に考えるためのケーススタディが多数。失敗例もあり、どれも具体的なものばかり。
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開発ベンチャーや技術経営について実体験を交えて分かりやすく書かれている点では良書なのだが、企業内ベンチャーということもあり、資金がカツカツだけれどもリーン・スタートアップしたいベンチャーを想像すると少々目的とずれてしまう読書となるかもしれない。それでも、やはり良書である。
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ちょっと古い本だけどすごいためになる。
掲載されているケースは所詮一例であり、
一般論にするには限界があるけど、
想像のし易い内容でよかった。
今自分が取り組んでいる仕事に対して
MOT的ロジックをもって見つめ直すと新しい発見があるような気がした。
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読み物としてスラスラ読めちゃう気軽さが良い。
失敗例や成功例は説得力があるように見える。
今の自分の業務や部署運営に関連したことや、事業化の為の知恵が詰まった内容であったように思う。
死の谷を越えきるために頑張ろうと思った。
内容についての覚書を以下に記す。
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・段階
①研究:シーズ発掘と応用の拡大(発散)
→魔の川:シーズからニーズへ、ベクトルの転換。ターゲット明確化。
→②開発:ニーズ収集、仕様とターゲットの収束(収束)
→死の谷:製品を商品に、顧客対応体制の確立
→③事業化:開発品の商品化、水平展開、売上重視(発散)
→ダーウィンの海:生販開体制、大幅な投資
→④産業化:主力事業への展開、競合に勝つ経営
※段階が進むに連れてMOTの役割は減少し、企業経営的な内容に移っていく。
・ベンチャー
開発ベンチャー企業(ITベンチャーとは全く違う存在)
大企業のやることをやってはいけない。
委託元の企業が儲けることを第一として考える。
コーポレートベンチャー(企業内起業)
売上第一
・プロジェクト
メンバーは専任が基本。
メンバーの人選は他人に任せるな。自分で集めろ。(碌でもない人材を押し付けられるな)
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現場の事例を元にMOTの考え方が紹介されている。近しいことは実務で行っているが、検査装置という非常に高額であり、また、開発・製品化に時間の掛かる領域は、自分のいるIT領域とは異なる考え方やアプローチをしていることがケーススタディを通して目の当たりにでき、非常に興味深かった。良書。
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職場の同僚に勧められて(借りて)読む。
18年前の本だけど、然程古さを感じなかったのは、自分の勤めている会社が古いからか。。
新事業あるある、の数々を、「そうそう」と頷きながら読んだ。
伝統的な会社と開発ベンチャーの相性がよい、というか、良い補完関係を築きやすい、という点は、意外な指摘だった。
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技術経営の基本的な考え方がとても整理されていて良くわかる。
技術経営のプロセスを4つに分けて解説。
研究→開発→事業化→産業化
それぞれのプロセスの間(→)に、左から
魔の川(デビルリバー)
死の谷(デスバレー)
ダーウィンの海
があることを改めて知って納得した。
製品開発において、
プロセスイノベーションとプロダクトイノベーションとがあり、どちらかと言うと現在はプロセスイノベーションが重視されている。
また、製品サイクルとして、半導体のシリコンサイクル(3〜4年)と液晶パネルのクリスタルサイクル(1.5〜2年)と液晶は半導体よりも激しいことに興味を持った。