生きる哲学
著者 若松英輔
人間についての普遍的な原理を難しい言葉で記述するばかりが「哲学」ではない。書物に書かれている高尚な哲学ばかりが「哲学」ではない。ときに肉声のなかに、手紙のなかに、あるいは...
生きる哲学
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商品説明
人間についての普遍的な原理を難しい言葉で記述するばかりが「哲学」ではない。書物に書かれている高尚な哲学ばかりが「哲学」ではない。ときに肉声のなかに、手紙のなかに、あるいは人知れぬ行為のなかに、真の哲学は宿っている――。
祖国を離れ、ひとり異国の地でひたすらに歩いた作家・須賀敦子。強制収容所で絶望を目の当たりにしながら、人生の意味を深く問うた精神科医・フランクル。食に命をこめる料理研究家・辰巳芳子。震災や戦争に際して遺族に祈りを捧げた美智子皇后。
歩く、祈る、見る、聴く、喪う。「悲しみ」ともいうべき人生の場面で言葉を紡ぎ、ある哲学を体現した者たちの「生きる哲学」を、その行為のなかに読む。
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読了後に沈思黙考する一書
2021/06/07 21:22
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は序章と終章を含めると15の章から成り立っています。どの章も静かな或いは熱い意気を沸々と感じました。特に第6章から第12章は顕著に心を揺さぶられました。またそれらの章以外で琴線に触れた内容は以下のセンテンスです。
『人間には誰しも担わなくてはならない人生の問いがあり、それは他人に背負ってもらうことはできない。自己を生きるという使命においては、優劣な意味の大小は存在しえない。』(第一章)
→徳川家康の『人生は重荷を背負うて行くが如し』に似ている気がします。
『古典の言葉は過ぎ行かない。過ぎ行くのは時代であって、言葉ではない。』(第四章)
→出口治明氏を始め、多くの人達が口を揃えて古典の大切さを説いています。
安易に「哲学」という言葉を使うなかれ
2023/05/23 10:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:パトリシアちゃま - この投稿者のレビュー一覧を見る
社会が複雑化し、生きることすら辛いと感じることが多くなってきた昨今、多分「哲学」という言葉に惹かれてこの本を手にする読者も多いと思うが大学一年から演習で哲学を学び、その後の人生でも偉大な哲学者(と言われてきた)の著作を読み込んでも彼らの哲学を理解することは容易ではない。本書序章に「真に「哲学」と呼ぶに値するものがあるとすれば、それは私たちが瞬間を生きるなかでまざまざと感じることにほかならないからだ。」とあるが「哲学」は「感じること」とは一線を画すはずだ。「ソフィア」を愛し追及していくことは「感じること」ではない。体力、知力ともに使い果たすつらい作業だ。安易に「哲学」とか「哲学者」などと使うなかれ!