満洲暴走 隠された構造 大豆・満鉄・総力戦
著者 著者:安冨 歩
混迷の中で建国され13年で崩壊した満洲国。一極集中の特異な社会、急拡大した満鉄、石原莞爾ら陸軍エリートの苦悩――成立と暴走の要因を「東大話法」で話題の著者が解明する。現代...
満洲暴走 隠された構造 大豆・満鉄・総力戦
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商品説明
混迷の中で建国され13年で崩壊した満洲国。一極集中の特異な社会、急拡大した満鉄、石原莞爾ら陸軍エリートの苦悩――成立と暴走の要因を「東大話法」で話題の著者が解明する。現代にも通ずる欺瞞の系譜が見える。
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私たちは今
2020/01/26 17:01
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひさ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「私たちは今、「満洲国」に住んでいるのです。」
この本はこの強烈な一文で終わる。なぜ、著者は、戦後70年以上経ても、私たちは満洲国に住んでいるというのだろうか。
著者の安冨氏は、よく「立場主義」という概念を用い、この国のさまざまな問題を論じている。この本もまた例外ではない。
本著においては、満洲国の成立過程と暴走の構造を丹念に追い、立場主義がなぜいつから始まったのか歴史的事実から説明し、私たちに警告する。多くの読者は、この事実を前に驚愕するかもしれないが、著者は、最後にちゃんと、では、私たちはこれからどうすればよいのか、どう生きればよいのかを明示する。
歴史を学ぶのは、歴史に学ぶためである。つまり、この本は歴史書であるとともに、生き方指南書である。
満洲とは何だったのかを、経済の視点から鮮やかに描き出す
2021/04/16 10:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:y0a - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは名著。
満洲とは何だったのかを、経済の視点から鮮やかに描き出す。分かりやすく、しかも本質を捉えていて、うなってしまった。
今後、満洲の歴史を語る上での基本図書になるだろう。この新書の元になった専門書の方も、値段が高く大著だが、読んでみたくなった。
そして、現在の日本が、特に国としての在り方が、満州とそっくりだという指摘!目ウロコ体験である。
多くの人にお勧めしたい。
開拓団はなぜ送られたか
2016/06/27 19:07
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マハラオ - この投稿者のレビュー一覧を見る
満蒙開拓団は「満洲事変以降、45年の敗戦までに満洲および内モンゴル地区に、国策として送り込まれた入植者約27万人のことを指」す。そもそも「満蒙開拓団」がなぜ生まれたか。満洲事変の翌(32)年の試験移民492人は「在郷軍人会所属の独身男性からなる武装農業移民団」だった。ところが現実の開拓団は「すでにそこにいた中国人」を追い出し「無理やり連れて来た日本人を突っ込む」ものにたちまち変質した。「中国残留孤児」は「満洲国」に親が「満蒙開拓団」として移住して生まれた子(あるいは伴った子)で孤児となった者である。残留孤児はなぜ満洲(現中国東北)に「残留」したのか。敗戦時に親と一緒に帰国できなかったからである。満洲事変の背景にある満洲大豆の問題を解き明かす第二章が明快。読み応えのあるのは第三章の満洲重工業開発。満洲の工業化が共産党政権下で「鞍山鋼鉄公司」なった経緯も興味深い。
読み物としての特色は「立場主義」の糾弾。「その立場に立てばだれでもそうするだろう」と考えるのであれば「学ぶ・教える必要もない」のだから。
満州暴走 隠された構図
2020/07/31 23:44
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:denndennmakimaki - この投稿者のレビュー一覧を見る
帝国日本の夢と希望の楽園、満州。
その夢と希望はやがて日本を泥沼の戦争へと引きずり込んでいく。
なにを間違ったのか。なにがいけなかったのか。
近代化の光と陰を、経済学からの実証的検分から読み解き、
日本社会がいまだに抱える宿痾を鮮やかに抉り出す。