夏にぴったりの1冊
2019/08/02 07:44
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投稿者:タラ子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1度入ったら2度と出られない奥行きのない森、あの世での結婚式、廃墟にあった雛人形など、どの物語もとても恐ろしく、ぞっとする寒さが味わえる。
こんな場所やものがこの世に存在しているかもと思うだけで十分怖いが、ページをめくる手はとまらず、一気に読んでしまった。
夏に怖い話はやっぱり良いなと思った。
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投稿者:Zero - この投稿者のレビュー一覧を見る
おそらくは創作だと思うが、知人から聞いたという形式で展開されるので、三津田得意のメタ的な怖さも味わえた。基本的に長編作家なのだろうが、短編もいいかも。
祖父江のでしゃばり
2019/09/08 16:35
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投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ついてくる、ように見えて実は追われる物騒な怪談集。
夢にだけ顕れる女、逃れられない人形、人外をシェアハウスにを招いた住人、ペラペラの女、奥行きのない森、ぶさいくな女の子。
逃げられずどこまでも追いかけてくる、あれが、それが、私めがけて…ぺたぺた、ひたひた。曖昧模糊とした終幕後にも思いを巡らさずにいられない。
短編の制約から、愚にもつかない導入が最小限に詰められている点は評価できる。
読み飛ばすか、ページごと切り取ってしまって問題ない内容だ。
作によっても異なるが、隙あらば本編となんの関連もない作家・作品・自分語りをネジ込むのがが作者の悪い癖である。
追われている最中の緊迫感はすさまじく、没入感がすさまじいだけにもったいない。
女性の視点で書かれた編がオカマっぽく、記憶の混濁が反復するので若干平板でもある。
ただ、人でない存在も生者もタチの悪いモノは悪質極まりない、そんな当たり前の怖さも思い出させてくれる。
なおムカサリ絵馬と似たところで、藤子不二雄(藤子・F・不二雄)の傑作短編『山寺グラフィティ』を思い出したので記しておく。
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投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
短編集ですが、どの作品も怖くて期待通り!お雛様にまつわる『ついてくるもの』は人形だけに怖かったです。ほかにも絵にまつわる『祝儀絵』。古い森にまつわる『八幡藪知らず』と、どの作品もレベルが高かったど思います。
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実話怪談の姿をした七つの怪異譚が、あなたを戦慄の世界へ連れていく。薄気味の悪い男が語る夜毎の恐怖(「夢の家」)、廃屋から人形を持ち帰ってしまった私の身の上に次々と……(「ついてくるもの」)、同居人の部屋から聞こえる無気味な物音の正体は……(「ルームシェアの怪」)。“取り憑かれる”ホラー短編集。
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ノベルズ版を持っているので再読。但し、文庫版とは収録作に異同がある。
表題作の『ついてくるもの』が一番好きだ。
人形というのはこれまでに様々な作品が書かれてきた、怪奇小説では定番のモチーフ。タイトルが平仮名で『ついてくる』になっているのもいい。
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読む前は、稲川淳二さんが話すようなやつなのかなと勝手に思ってたのですが、一つ一つがとても面白かったです。
個人的には「八幡藪知らず」が一番ドキドキした。
この作家さんのは初めて読んだので、他のも読んでみようと思います。
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短編集。収録された7作品のうち好みは表題作「ついてくるもの」と「ルームシェアの怪」。やはり得体の知れないモノに『憑かれる』物語は判っちゃいるけどゾッとします。
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「残穢」ほどの恐怖ではなかった。
どちらかといえば気味の悪い話。
なかでも、原因や理由がなにひとつ解明しない、理不尽な事故のようにも思える「裏の家の子供」が不気味。
著者らしき人物がまず登場し、蒐集した怪談を披露するというスタイルが続くので、途中から少し飽きてしまう。
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三津田ワールド全開。短編集なので物足りなさは仕方ないけどいつもと同じようにゾクゾクしながらあっと言う間に読んでしまった。
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ノベルズ版を既に読んでいるが、文庫版で再読。
言耶シリーズの短編がなくなって別の短編に差し替えられている。再構成によってホラーでまとめられて読みやすくなったと思う。再読だったが面白さは変わりない。
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いわゆる「憑き物」の短編7つを収録。それぞれ次のとおり。
『夢の家』は、思い込みの激しそうな女性とのつきあいを断ったら、妙な夢を見るようになった会社員の話。表題作の『ついてくるもの』は、夜逃げしたと噂される家の裏庭に打ち捨てられていた雛人形のお姫様を拾った少女の話。『ルームシェアの怪』は、若者4人がルームシェアする一軒家に住むことになり、2階の住人を気にするOLの話。『祝儀絵』は、年の近い叔母から不気味な絵をもらって以来、周囲に異変が起きる男性の話。『八幡の藪知らず』は、絶対に入ってはいけないとされる森を訪れた少年たちの話。『裏の家の子供』は、引っ越し先で裏の家の騒音に悩まされる翻訳家の話。『百物語憑け』は、文庫化に当たって新たに収録された話の模様。
どの話の主人公にも恨まれるような非はなく、たまたまそこに居合わせてしまったせいで憑かれたというのがゾワ~ッ。
いずれもホラー作家の「僕」が執筆依頼を受けて原稿を書くに当たり、昔から集めてきた怪異譚のメモ等を見て思い起こすという構成。その過程でM・R・ジェイムズなどホラー作家の著作が挙げられるのも楽しい。そちらも読んでみたくなるものばかり。
三津田信三の書く怪異譚には強く惹かれます。どれも著者本人が実際に聞き取ってきたかのように進められる構成は、恐怖を煽るための仕掛けで、話自体はフィクションにちがいないと思う気持ちと、もしかしたらどこかで本当にあった話かもと思ってしまう気持ちと。グロいシーンは一切なく、昭和の風景が目の前に広がるようでもあり、ちょっとした郷愁を感じます。ただヒタヒタと怖いけれど、怖くて眠れないほどではない。ホラーがものすごく苦手な私にとっては、これが読むに堪えるギリギリの線だと思われます。
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そろそろ怪談の季節になってまいりました!ということで、ずっと積読だった三津田信三先生の怪談短編集を読みました。意外にも実はこの著者の作品を読むのはこれが初めて。実話系?と思いきや、実話にしては少し大味なホラー感たっぷりで、一晩で一気読みさせられました。とにかく演出が怖い。「八幡藪知らず」は自分の幼き頃の想い出なんかも重ねて読んでたら、現実にはあり得ない、いや、あっちゃいかんだろう〜な凄まじい結末に!全体的に土着的な要素も多く、この作家さんは個人的にかなり好きかもです。
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やっぱホラーは長編の方が面白いのかなー。著者の緻密な描写や丁寧に丁寧に恐怖を煽る筆運びは短編集の本作でも際立つのだけど、いかんせん短編だと怖いシーンが各話に一つしかなくて、そこにたどり着くまでが退屈しがち。長編だと物語の縦の線を追いかけることにもなるから楽しく読めるんだけど。
とはいえ、なんともいえない不気味な持ち味は健在。平山夢明みたいな都市伝説系ではなく、伝統的な階段に近い。作中における人間関係のあり方なんかは現代的なのに、携帯電話のような現代風のガジェットに頼ることなく古き良き怪談を紡ぎ出すのは、本当に素晴らしい仕事だと思う。
雛人形の話と森の話が怖くて、結婚式の絵の話が着想が不気味で好き。
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記憶のすり替えは何の作用か不明な怖さもあるけど、続くとまたか~と気持ちが萎えてしまう。
人形や禁足地探検は怪談ではおなじみだから新鮮味は薄いが、人形を見つけた時のシチュエーションや探検後のラストを飾る一言にはトリハダ。
「裏の家の子供」がなかなかのパンチ力だったな。心臓を鷲づかみにされてるような恐怖の連続。
次点は「祝儀絵」。意図的なのか無意識なのか謎だし、怪奇現象の怖さと実際の人間の怖さを同時に味わえる。