音楽の基礎
著者 芥川也寸志著
人それぞれに音楽を聞き演奏して楽しむ.しかしさらに深く音楽の世界へわけ入るには,音楽の基礎的な規則を知る必要がある.本書は,作曲家としての豊かな体験にもとづいて音楽の基礎...
音楽の基礎
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商品説明
人それぞれに音楽を聞き演奏して楽しむ.しかしさらに深く音楽の世界へわけ入るには,音楽の基礎的な規則を知る必要がある.本書は,作曲家としての豊かな体験にもとづいて音楽の基礎を一般向けに解説したユニークな音楽入門.静寂と音との関係から,調性・和声・対位法までを現代音楽や民族音楽を視野に入れつつ詳述する.
目次
- 目 次
- I 音楽の素材
- 1 静 寂
- 2 音
- II 音楽の原則
- 1 記 譜 法
- 2 音 名
- 3 音 階
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楽典を読みたい人に
2002/05/28 08:50
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:パルテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
音楽理論の基礎本として「楽典」が有名だけれど、分厚くて内容も扱いにくい。その上、受験生向けなので、必要以上の事も書かれていてとっつきにくい。という人は多いと思います。この本は新書という手軽さに加えて、音楽愛好者に必要な内容だけを楽典から抜粋したような感じで、とても読みやすいです。また活字だけでなく、譜例も多く掲載されているので、非常に分かりやすくできています。「楽典」のような本を読みたいと思っている人には最良の一冊だと感じました。
名文で味わう音楽の基礎
2004/08/10 05:36
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ころり - この投稿者のレビュー一覧を見る
文豪芥川龍之介の子息の名に恥じぬ、素晴らしい名文です。簡潔で明瞭な文体は、全ての新書において、お手本となるでしょう。音楽については、全く知識を持ち合わせていない小拙ですが、この薄い本を一読したおかげで、今まで判っていたようでも判っていなかった音楽用語などが、ずいぶんとすっきり理解できたように思います。種々のエピソードも興味深く著者の広い学識には感銘しました。アドリブは、ラテン語のad libitumからきている、という豆知識は、どこかで使いたいな、と思いました。一般教養としての音楽知識をつける為、音楽鑑賞を豊かにする為、などに、本書は非常にお薦めできると思います。
音楽の基礎とは
2020/03/30 12:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Tahokonyatoki - この投稿者のレビュー一覧を見る
初心者には理解しにくいところもありますが、内容は、本書の最後の一文に、すべて集約されます。
極めて上質なアンサンブル
2009/09/17 17:32
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:analog純 - この投稿者のレビュー一覧を見る
僕がこんな本を読むとは、僕自身、数年前は想像もつかなかったですね。
バッハやベートーヴェンとかの作家論や作品論ならまぁ、判らないでもないですが、これは五線譜とオタマジャクシのある本です。
しかしこの本の作者は、極めて丁寧に書いてくれています。ただし、僕の理解が及ぶ前半については。いやこの書き方はおそらく間違っていますね。きっと後半も丁寧に書いてくれていらっしゃるんでしょうが、いかんせん、もはや私の理解が及ばないわけです。
例えば冒頭にこんなことが書かれてあります。
「音楽が存在するためには、まずある程度の静かな環境を必要とする。たとえば、鐘もしくはそれに類似する音が鳴り響いているなかで、鐘の音を素材とした音楽を演奏しても、その音は環境に同化してしまうので、音楽としては聞こえない。ちょうど、赤い紙に赤色のクレヨンで絵を描こうとするのと同じである。
しかし、程度を越えた静けさは、連続性の轟音を聴くのに似て、人間にとっては異常な精神的苦痛を伴うものである。」
これは、お父上譲りの異色の文才の発露でしょうかね。
前半部の取り上げた事例のオリジナルな諧謔みに加えて、あらずもがなの後半部。このアンサンブルは極めて上質なユーモアを創り出していますね。
さらに続けて、こんなことが書かれます。
「作曲家は自分の書いたある旋律が気に入らないとき、ただちにそれを消し去ってしまうだろう。書いた音を消し去るということは、とりもなおさずふたたび静寂に戻ることであり、その行為は、もとの静寂のほうがより美しいことを、自ら認めた結果にほかならない。
音楽は静寂の美に対立し、それへの対決から生まれるのであって、音楽の創造とは、静寂の美に対して、音を素材とする新たな美を目指すことの中にある。」
上質で明快で見事な説明ですね。
こんな書き出しの本は、この後の内容に対して大いに期待できますよね。
ただし、しっかりと五線譜の読める人にとってなら。
しかしどうして、僕には五線譜が読めないんでしょうか。
これは例えば、もはや僕に三角関数が理解できそうもないのと同じなんでしょうかね。
実際、人生には、何気ない分岐点が星の数ほどありますね。
きっと僕は、何を認識・予想することなく、そんな曲がり角の一つをすっと曲がったんだと思います。そして僕は、いつの間にか五線譜を理解できる街から、大きく隔たった人生の街角にひとり佇んでいます。
もしも人生をリセットし直すことができるならば、そんな大きなことでなくても、この五線譜の読める街へ続く小道を改めて見つけ出すというのも、なんだかとてもステキそうな気がしますね。
芥川也寸志による音楽の哲学書
2015/09/28 01:05
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みい - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は単なる音楽理論の本ではない。タイトルこそ「音楽の基礎」ではあるが、「基礎」は筆者の「根本的世界観」とでもいうべき内容である。いわば哲学書なのだ。
ヘーゲルが存在論を質と量から始めたように、あるいはマルクスが資本論を商品と貨幣から始めたように、この本も、もっとも単純な概念から始まる。
最初の章が「音楽の素材」で「静寂」と「音」が取り上げられている。しかも静寂の前提として、無音にまで言及しているのだ。その結果、音楽は、静寂を美しいと認めるところから出発する、とまで述べている。「静寂は音楽の基礎」なのだ。
このようなことは、音楽を聴くうえでも、演奏するうえでも必要なことではないかもしれない。しかし、この本を読み終えたときには、音楽に対する意識は今までとは違ったものになっているかもしれない。
簡潔さが心地よい
2001/12/12 12:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:白井道也 - この投稿者のレビュー一覧を見る
はしがきもあとがきもない。いきなり本題に入る。その潔さが、まずもって心地よい。
述べられるのは、「リズム」「和音」「旋律」「記譜法」など、基礎中の基礎。歴史的な記述はほとんどないのだけれど、ドビュッシーやストラビンスキーの音楽はいかに革命的だったのかが簡潔に語られていて興味深かった。