異界の気配が色濃くなっていく
2024/12/11 16:17
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投稿者:ブラウン - この投稿者のレビュー一覧を見る
これまで読んできた守り人シリーズは、現世と異界が関わり合いながら、どこか人知では越えられない壁が常にそびえている感覚があった。超自然への畏怖と言うべきか、人の意のままに利用しようなどとは考えることすら畏れ多く、そもそも人の価値観で測れるような法則ではない。そんな超越的存在と人の間に一線を引いたような雰囲気があったのだが、この巻でその壁が大幅に低くなったな、という漠然とした感想を抱いている。
これまで現世、人の営みに対して間接的な影響しか与えてこなかった異界の存在が、ここにきていきなり明確な殺意を抱いて人を害している。一体なんだ、これは。色味の変わった物語に戸惑う一方、表面上の展開から離れて暗躍する勢力を匂わせてきて、しっかり心は掴まれていた。
下巻で、私が感じていたこれまで通りの世界観に戻るかどうか、見ものだ。
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(――お兄ちゃんは,どうしているだろう)
胸の底がぎゅっと痛んで,鼻の奥が熱くなった。……いますぐ会いたい。
カミサマにお願いすれば助けられるはずなのに,チキサを助けにいかない自分を,アスラは,心の中で責めつづけていた。
でも,チキサの傷を見てしまった瞬間から,アスラはカミサマがこわくなっていた。たとえ自分たちが生きるためでも,カミサマにすがって人を殺すのは……いやだった。
それに,人を殺すことを願ってしまったら,カミサマを信じる清らかな思いが,穢れてしまうような気がした。
けれど,カミサマを招く力を使わなければ,アスラは,ただの十二歳の少女にすぎない。なにもできずに,運命が自分たちを転がしていくのをみているしかない,ちっぽけな子どもだ。
(人を殺さずに,誰も傷つけずに,生きていける道はないのかしら。)
(本文p247-248)
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子供向けといってもあなどれない内容、文のうまさ。
本好き人達のお勧め度も高いので、守人シリーズ、制覇してみようかと思っています。
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新潮文庫が出てないから手を出してしまった…
これで新潮文庫で出たらそれも買っちゃうのかな。
どうかなー。なんにしてもいい客だよまったく。
だってだって面白いんだ…
バルサはしたたかだし、タンダは穏やかな中に強い意志を持ってるし、
マーサはお茶目なおばさんだし、アスラは優しいけれど危うげな感じで、
チキサはいいお兄ちゃんだけど妹と罪の間で悩んでいる。
無条件に人を助ける、命を何よりも尊いものとして扱う。
身分や運命。
テーマと世界がかちっと合わさってる。
ほんっとすごすぎる。
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人買い、兄妹、神様
異世界の物語。
主人公はバルサ(女性)という短槍使い。
バルサさんはかっこいいね。惚れちゃうよ(^^*
このシリーズも大好き。
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守り人シリーズ第五弾。
軽装版ですネ。
今回は初の上下巻。同時発売しております。
文庫版もきっと上下巻同時発売だと思いますが、私は文庫版出るなんて知らなかったので、聖霊の守り人を軽装版で購入。そのままの流れで、購入してます。
こちらの方が出るの早いですしね。
さてまぁ、元々のハードカバー版は随分と昔に出ておりますので、ネタばれどうしようかなぁ、と悩むところではありますが、一応文庫版の方が(うちの店では)売れているので、ちょっと注意しつつ。
バルサは何だかんだ言っても、やはり子供には甘いですし、タンダにも甘いw
タンダもバルサに甘いですしね。
シハナがあんまり好きじゃないなぁ。あのタイプは、一度完膚なきまでに敗北して、ぽっきり折れてしまえばいいのに…。
引き続き帰還編を読もうかと思いますw
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この物語を読み進めているとき、KiKi の心にはずっとある出来事が去来していました。 それは「9・11同時多発テロ事件」でした。 そして読了して、あとがきを読んだとき、この物語があの事件の1ヶ月前には書き上げられていたことを知り、著者上橋さんの心に浮かんだ物語と呼応するかのようにあの事件が発生したかのようなタイミングの妙に舌を巻きました。 とても残念なことに現実の世の中で発生したあの事件では「アスラ」のように「最終破壊兵器」を封印してしまえる勇気と胆力を持つ本当の意味で賢い人間はあらわれなかったけれど、この物語でははかなく幼い少女がそれをやってのけました。 深い物語だなぁと思います。
(全文はブログにて)
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2011年5月23日読了
最初から全力な内容で、ついていくのに必死な状態でした。
まさか、あんな緊迫した話になると思わないじゃないですか!最初はバルサとタンダのイチャイチャが見られると思っちゃうじゃないですか!いや、見られたには見られたんだが…なんていうか、あの2人はぎこちなさというか思い合っている癖に触れ合わないのがもどかしいというか。とにかくあの雰囲気が好きなんですよ!なのに、タンダの額にキスして去るとか、バルサどんだけ男前やねんwwwもちろん、煮え切らないタンダもバルサを助けることを優先にしたのがかっこよかったなー。
しかし、序盤から超常現象っぽさ全開で、なんかナユグとも種が違うような気がしました。
どこの国でも言葉は違えど、ナユグのような精霊の異界があるんだという共通認識は面白いですけどね!それから生じる差別はやはり根深いなーなんて思っちゃいます。
上橋作品は、なんていうか本当に悪い人っていないですよねー(ユグロは除く)割り切って悪に徹しているだけで、実際はそうならない道を模索したいと思ってる。シャハルなんて、いい例だと思います。思想や立場の関係で悪に見えるだけで、みんな国を良くしたいと願っているだけなのにね。だから、タンダがシャハルに話を持ちかけた時にはグッときた。けど、シハナはそうもいかないようだけど…(;一_一)
バルサとアスラ、シャハルとタンダたち、ロタ王国内…これからどんな波乱が待ってるんだろう!
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人は守るべきもののためにこそ、本当に強くなれるのだろう。
そう思わずにはいられない上巻でした。
さて、早速これから下巻を読みます♪
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アスラとバルサが一緒に逃げるところが、
心あたたまってすきでした。
シハナは、怖い。
イメージとしては、
髪が短くてちょっとぽっちゃりしてて、
目が細くてきっとしてて…みたいなかんじ。
はー
どう収集つけるんだろうか
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2013.1.6読了。
偶然宿屋で会った人買いに連れられた兄弟を助けたことにより、バルサとタンダが、ロタ国の秘密に関わって行く話。
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長編なので、かなり読みごたえがある。しかも、話もなかなか大がかり。まだ黒幕がいそうだけど、ここまで出てきた敵はどの人も憎めなくって…何とも言えない複雑な気持ち。これからどうなるか楽しみ。
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シリーズの途中なので評価が難しい。
面白かった。それは間違いない。
何が正しいのか、何を求めているのか、アスラが自分自身に問いかけた時、本当を言うと、自分なら、自分だけでは戻れないのではないかな、と思った。ことに、激情に絡めとられてしまったら。
「悪に堕ちる」という意味では、スターウォーズのダースベイダーが、なぜ、暗黒面に堕ちてしまったのか、実は、まだ腑に落ちていない。それほどの強い理由(暗黒面に堕ちなければ、本当にパドメは救えなかっただろうか?)は、どこにあったのだろうかと。
アスラの場合は、その逆で、あれほど貶められ、蔑まれて育ってきながら、どうして帰還することができたのだろう?
何か見落としがあるのかもしれない。双方とも、もう一度、時間をおいて読み直し・見直してみたい。
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用心棒バルサは人買いから兄妹を助ける。
妹アスラは美少女だが、恐ろしい力を宿していた。その力は国家をもゆるがす。
アスラは命を狙われながらも、自分の身のうちに宿る恐るべき力に魅せられていく。
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どこの国にも独自の伝説と文化と宗教体系がある。それは現実世界でも同じ。守人シリーズのすばらしいところは設定に無理がなく、ファンタジーといえでも限りなく現実世界の生々しさを感じさせてくれるところ。
アスラの持つ特殊な力と、アスラを救おうとするバルサの感情がたんたんと伝わってくる。後半が早く読みたくなる。