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投稿者:きよし - この投稿者のレビュー一覧を見る
ばななさんのファンで、『キッチン』から追っている。
たしか、『キッチン』が福武書店から出たのが1988年であり、『さきちゃんたちの夜』は2013年である。
その長い年月で、ばななさんは変わらないところは変わらない良さがあるし、変わったところは変わったかなぁと僕はおもっている。
ひとつに、ばななさんの著作に対するよくある批判として、人生はそんなにやさしいものではない、綺麗事ではないか、というものがある。
そして、ばななさんはそういった意見に真摯に向き合ってきたということが、近著から伺える。
この『さきちゃんたちの夜』でも、どの主人公も恵まれた状況にはいない。しかし、だからといって投げ出したり、絶望したりすることなく、強く優しい心で生きている人間ばかりである。
物語ではない人生でも、逆境と感じるときにおいても、僕たちもそう生きることができると、ばななさんはそう教えてくれているのではないか。
さきちゃんという同じ名前を持った主人公の五つの短編
2018/04/05 18:50
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
さきちゃんという同じ名前を持った主人公の五つの短編が収められている。いつものよしもとばななだ。作者は「鬼っ子」が一番好きらしいが、私は「さきちゃんたちの夜」が一番気に入っている。
いろんなさきちゃんたち
2019/03/09 23:15
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投稿者:メイチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
いろんなさきちゃんのお話。それぞれのお話に関連性はありません。
一人のさきちゃんがなんとなく自分の友達に雰囲気が似てて、楽しく読みました。身近な、あるいは知らない誰かの日常に、ちいさな奇跡があるから人生は美しいのかもしれません。そういうきらめく瞬間を書くのがこの作家のうまいところだと思いますが、ただそれが第六感とかスピリチュアル的なものに拠る時が多いので、正直またそれかよ…と思ってしまいました。
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あけましておめでとう。
ふらりと立ち寄った駅の本屋で平積みになってるのが目に入って、ずっと気になってた本だけときっと今が買うべきタイミングなのだ、と思って購入。
今年の一冊目がこれでよかった。
ごくごく水を飲むような、そんな感じ。
食べる描写が生き生きとしているのも良い。
生きるということ。
「記念碑的な作品」が、こんな風に軽やかなのはいいなぁ。
表題作は、なんだか私にあの稲毛の書店や、そこから続く道や、そこから連鎖してかつての義母のことを思い出させて、ちょっとぎゅっとなりつつも、満たされていく感じがした。
絵がほしのよりこなのもずるい。
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さきちゃんたちの夜、が一番好きだった。
毎度ばななさんの小説に登場する喪の仕事の期間のおいしくて力ある、魂を元気にする食べもの。
今回はエビピラフがほんとに食べたくなっちゃって夜中にどうする!な気分でいます。
虫が鳴いているのが聞こえる、夏の終わりの夜に、いいタイミングで読めました。
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著者が一番描きたかったという鬼の話から読んだが、これが一番嫌い。主人公が独善的で、ギャラリー(親族や世間)は低レベルな思考の人間なのだと思っている風にとれてしまった。親族の勝手な思い込みは外れるのに、主人公の勝手な思い込みはいつも当たるのか?
世間がとやかく言っても自分が正しい、気持ちがいいと思うことを信じて生きていこう、ということなんだとは思うけど……。
これを執筆するまでの著者の境遇に想いを馳せてしまう…。それとも読み手の自分がやさぐれていて、いつものほっこりやさしいばななワールドに浸れないのか?
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大切なことがいっぱい詰まっていて、
話は違っても何かが一貫している。
鬼っ子は特に印象的だった
おさまるところにおさまる、という、その言葉を励みにしよう。
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勉強以外の本で、本屋でフラッと手にとって買ってみたのは初めてだったが、読んでよかった。
時々感じる、他人のやさしさと冷たさの違和感を、いくつかの物語の中で語られていて、共感できた
「癒しの豆スープ」と
「さきちゃんのたちの夜」が
個人的には好き
心根がやさしくきれいなままでは生きていけない
根っこの方に流れているどろっとしたものを抱えている
でも、人間みんなそうなんだなっと
ちょっと心が軽くなれるお話しばかりだった
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久しぶりに読んだ。14歳で初めて『キッチン』を読んでから早16年。私のものの見方はかなり、この人の作品の影響を受けているような気がする…。この人の文章を読むと、生きてるってそーいうことだといつも思う。こういう文章表現のように今を認識しながら生きていきたい。大人になって、人生は物語のようにはいかないのかもと思い始めたけど、でも、私はそーいう風に認識していきたい。
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この前に読んだ本に出てきたバファリン女の名前がサキさんだったなぁてなことを考えながら手にしたこの本、サキ(早紀、紗季、咲、紗季、崎、さき)という名の女性を巡る5つの短編集。
作者のあとがきに『きつい時代をなるべく軽々と生き抜こうとするさきちゃんたちに優しい気持ちを託して、読む人も希望を持てるようなものを書きたかった』とあったけど、端麗な文章で諄々と綴られる人生に対する達観と希望が心に沁みる。
「鬼っ子」の世間の付き合いを絶った伯母の生き方とそれを理解する姪の心情には、色んなことが渦巻く世の中で、平凡に、しかし自分の信条のおもむくままに生きることのしんどさと価値が描かれ、このお話が一番良かった。
「癒しの豆スープ」では、祖父母の無償の行い、父母の離婚、父のお店の仕事などの話に、人生における働くことの意味や仕事にかける心情や、そこに関係する人間の欲得などについてじんわりと思いを致される。
私はまたまた亡き父のことを思い、父にはいつも恨み言を言っているけれど、父には父の思いや生き方があった筈で、父も必ずしもそれを良かれとして生きていなかったのではないかと諭されたような心持ちになった。
「さきちゃんたちの夜」では、人生そのものについて『全てが面倒くさい。でも、つまりはそれが生きていくってことなんだ』と喝破される。
確かに人生は面倒くさい。だけども、そうした面倒くさがりの私にも『もっともっとペースの乱れるようなことを呼び込もう』とエールが届く。
全編を通じて“陽が射すたびに確実に消えていく雪を見ているような、美しく儚い、人生に寄り添う寂しさ”のようなものが漂う中で、だけども、その中で生きる意味を問いかけ生きる力を与えてくれるお話ばかり。
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◆誰でもないあなたは、誰よりも強い。
最高傑作の一つ、それが本作であることは間違いない。よしもとばななの作家人生、そのものが詰まっている。
面白いというより、美しいという表現のほうがあっているだろう。心の機微が丹念に描かれている。
この本を読んでいると、ひとつの感情は一色で表わせないことがわかる。たとえば、ひとえに「さみしい」といっても、人によって、あるいは対象とする出来事によって、寂しさの深さも毛色もこころを占める面積も違う。こころがキュッとなる切なさもあれば、ただぽっかりと穴の空いたような喪失感に近いものもある。
一方で、こんな感情、誰しも一度は持ったことあるよねっていう表現もある。なつかしいニオイに一瞬、身を委ねてみたり、思わず寂寥感に苛まれてしまったり、時々、悩んだり。そういうものに出会うと、思わずハタと立ち止まってしまう。
ひとの数だけ、感情にも無限の色がある。たくさんの種類の感情に囲まれて、私たちは生きているんだ。それってめんどくさいけど、なんだか人間くさくていいかも。
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どの作品の「さきちゃん」も好ましく、身近に感じられ、共感できる女性や女の子だった。
「鬼っ子」は舞台が宮崎で、地元を少し思い出しながら読んだ。なぜか分からないけど、死んだおばさんのような孤独を私もいつか味わうんじゃないかと思ったし、そんな孤独なら味わってみたいと思うほど、さきさんの眼を通して語られるおばさんは強くカッコよかった。
「癒しの豆スープ」のさきちゃんには娘の大きくなった姿を希望をもって重ねた。
「天使」のさきさんの子宮をなくした女性の心理描写は胸を打つものがあった。
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いろんなさきちゃんたちの夜
生きている間には 小さな幸せを感じたり 泥の中に沈むような気持ちになったりするけど それが生きているってことなんだなぁと 改めて感じることができる
どの作品も 最後はふわりとした軽やかな気持ちになれる
名前は違うけれど 私も「 さきちゃん 」なんだ
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【収録作品】スポンジ/鬼っ子/癒しの豆スープ/天使/さきちゃんたちの夜
*単行本で読んでいたので再読。前より沁みる感じがする。
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印象に残ったのは表題作の「さきちゃんたちの夜」。
ひとり暮らしの長い崎にとって、面倒くさい存在に感じる姪っ子、さき。面倒と思いながら崎は、人と触れ合う感覚を思い出していく。
ひとりで生活していると、自分のペースが出来、それが長くなるとそのペースを乱されるのが、うっとうしくなってくる。相手が10歳の女の子というところが、崎の気持ちを自然にほぐしているのかもしれない。
2015.10.23