幸福に通じる道は人の数だけある。
2017/05/01 12:11
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投稿者:コスモス - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は、幸福であることの必須条件として、「存在」を挙げています。
民族、国、言語、食べ物などの何らかの独自性が必要になると考えています。
確固たるアイデンティティが必要ということです。
確固たるアイデンティティを確立させるということは、他との区別化を図るということです。
ただ、この本を読んでいて思ったのですが、他人との比較するということは、
自身が不幸であると考えていることにつながると思います。自分より裕福な暮らしをしていたり、自由な生活をしている人を見てしまうことがあるからです。自分自身のことを認められない人だと尚更かもしれません。
そうだとすると、自分自身のアイデンティティを確立させたうえで、
他人と比較したり、他人からとやかく言われたとしても、それを肯定し続けることが
幸福になるための方法なのかもしれません。
幸せな場所はどこにあるのだろうか
2017/01/21 18:25
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投稿者:s.Izumi - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカのジャーナリストである著者が、幸福を探して世界中をめぐった紀行文。
9か国を訪ね(自国のアメリカも加えて述べられているのは10か国)、その国に暮らす人々に話を聞き、時に過去の文献を参考にしながら、ジョークや不平を交えて、幸せとはなんだろうか、幸せな国はどこだろうかと探求していく。
目次だけを見ても、幸福はころころと定義を変えることがわかる。例えば、スイスでは「幸せは退屈」、タイでは「幸せとは何も考えないこと」、モルドバでは「幸せは別の場所に」。なんとも一貫性がないではないか。
読書中、自分の幸福の捉え方と比較しながら、さまざまなことを考える。自分がこの国に身を置いたらどう感じるのだろうか、日本では何が幸せと結びついているのだろうか、そもそも自分は幸せを求めているのだろうか…
幸福という哲学的テーマに絞った旅の体験は、なかなか得難い時間だった。
ちなみに、著者の感覚が合わない方は、最後に収録されている対談を読むと、また違う視点から本書に再度取り組むことができるかもしれない。
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ごつい本。幸福という観点を10か国での視点で記していて、その比較が面白い。
日本人が同じ国を回り、記述すると、まるで別の本になる気がする。
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思わず笑ってしまった。
ブラックジョークがツボにはまったw
読んでて、旅に行きたくなってしまう一冊。
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"歴史の教えによれば、都市の黄金期というのは、ごくまれにしか明かりがともらない特別な窓のようなものである。一瞬、世界に光を投げかけて内と外を照らしたかと思えば、次の瞬間には閉じてしまう" ピーター・ホール 『都市と文明』
"この言葉はエアコンのきいた部屋では聞き取れない
人工の風が柔らかな母音をかき消してしまうから
でも山あいの風や小舟の上に砕け散る波しぶきなら
この母音をかき消すことはない
年配のご婦人はこの言葉で長い髪を結うことができる
うたをくちずさみあ、編み物に精を出し、パンケーキを焼くこともできる
でもこの言葉でカクテルパーティーは開けない
酒を片手に、立ったまま、気の利いた話をするのは難しい
この言葉はどっしりの腰を下ろして話さなければならない
言葉が重すぎて優雅な世間話には向いていない
でもひとたびこの言葉を話し始めれば、人生に輝きが増す" ビル・ホルム
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「海外旅行」と「しあわせ」という現代の流行りを組み合わせているのだから面白くないはずがない。
著者の皮肉っぽい知的な文章がクスクス笑わせてくれる。
国が違えば文化も違うのは何故かというと、環境や歴史が違うからに他ならず、だからこそ国ごとに幸福がどういうものなのかも違ってくるのは当たり前のこと。
それを体験から学ぶことができるのは旅ならでは。
自分のしあわせを見つけたらあとは気にし過ぎないこと。
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ひとつひとつの章は文化比較ルポとしては面白いものの、結局どうなの!!というものの結論が出ないまま次の国に行ってしまって、まとまりに欠ける印象。もう少しで強烈なオモシロ本になりそうなのに。
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ブラックジョークは確かに面白い、取材対象との距離の取り方も参考になる。
でも、なんかまとまりがない感じが否めない。結論を出さないのも一つの書き方だろうが。
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幸せとは何かをめぐって10か国。著者が決して幸せな人間ではない(といっては失礼だが、どこかネガティブな気質なのである)のも面白い。
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長いー!!やっと読みおわった。文章うまいなあと思う。ジョークジョークジョーク、ぽんぽんと読めてつい笑ってしまう。たんなるお国事情だけではない、もっと根底にある何かを掴もうとして、もう一歩踏み込むところが面白い。
幸せはどこにある?という曖昧な、哲学的なテーマで旅をする記録を書いた、ノンフィクション。アメリカ人である目線から、しあわせ度の高い国や極端に低い国を巡る。
そもそも、最初の幸福研究の進んでいるオランダの取材で、著者は衝撃的なスタートを切る。幸福研究の第一人者から、「(自分は研究ができればよいので、)世の中が幸せになって欲しいとは別に願っていない」と言い切られるのである。
その前に、すでに研究室内の作業員があまり「しあわせそうに見えない」というジョークも挟まっている。幸福について、考えれば考えるほど幸福は遠のくという矛盾がここにある。
触るなそれが薔薇だ、幸せについて考えすぎると不幸になる。しかしそんな啓示を振り切り、各国をめぐる旅に出る著者。
そんな著者の問いは、「幸福な国はどこか?」という単純なものから、「そもそも幸福って何なの?」となり、「いや待って、幸福より大事なこともあるんじゃない?」と形を変えていく。
宗教論やお金のことなど、既存の論理の道筋に足をとられそうになるところを、ギリギリで回避するところがすごくいい。それこそが本書の存在価値だと思う。
なぜそれが可能なのかというと、もちろん著者の取材力もあるが、旅の途中で
「(個人としては不幸であったとしても)社会には、適合者だけではなく不適合者も必要なことがある」という言及があったように、
その社会の適当な不適合者からも話を聞けていることで多角的な意見が聞き出せているからだと思う。
本書は、実際の出来事の話だけでなく、事例や学説をつかった示唆もおもしろい。
いちばん印象に残ったのは、「快楽=幸福か?」という思考実験の話だった。たしかに、快楽だけを与えられてることが真の幸福かというと納得したくない気持ちがわいてくる。
(書いていて思ったが、本書は、こうやったら幸せになれますよ、という単純なものではなく、
「個人の幸福感」vs
「それより重要な(あるいはそれに影響を与えることもあるかもしれない)何か他のもの」
という図式になってるのかもしれない。)
国と国のつなぎ方、ブリッジや話の展開や転換もすごくうまかった。ジョークもこてこてだけど、アメリカの立場を巧妙に利用して絶妙な嫌われものを演じていて、読みやすかった。
おもしろかった国は、カタールとモルドバ。お金があって文化がないカタール。そんなおとぎ話みたいな国があるんだな、と思った。お金も文化もないけど、野菜と果物がおいしいモルドバは、ほんと、いいキャラだなあと思う。どちらのケースも幸福についての示唆に富んでいた。
遊びに行きたい国は、やっぱりタイ(パッタイが美味しそう、タイ料理が好きすぎる)。次にブータン、インド、とアジアが続くのは、やっぱり仏教が好きだからか。人のにおいのするごちゃまぜ文化もおもしろそうだと思う。住みたい国はアイスランド(全員が詩人って最高)。
ちなみにこのアイスランドの失敗を推進する発想は、特に日本人の不幸と密接に関係してる気がして、ぞわっとした。
日本は、仏教的なところもあるし、スイス的なカチッとしたいところもあるし、アメリカ的なマネー成功神話や自己啓発界もあるし、なんかいろんな国の不幸がごちゃまぜになってる。日本はまちがいなく「不幸」を自覚してる国。
いろんな国のあり方、自分で選ぶことのできる範囲とできないこと、地理的条件と宗教のつながりなどが展開されていて、自分自身の「幸・不幸センサー」を把握することに役立ちそう。
幸せそうな人が何故しあわせそうなのか? あるいは 不幸に見える人がなぜそうなのか? ということを考えるきっかけを得ることができる。
中身は濃く、長い。枚数より長く感じた。千ページくらいの読後感。たぶん、文章をそのまま読むだけでなくて、示唆や皮肉、ジョークなど言外の意味が多いからだろう(翻訳なのもあるかも)。
もー長かった!でも長い旅に付き合わされた分、この著者のことはめっちゃよくわかって好きになってしまった。幸があってほしい。
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幸せが何かという大きな問いを、様々な角度から幸福だとされる世界各地を訪ねることで求めようとするストレートな試みに興味をもった。著者はもともと、旅行好きが高じて世界各地での報道活動に携わっていたアメリカ人ジャーナリストである。
調査対象地域は、研究結果をもとにした幸福度をはじめとした様々な基準から選ばれた世界10ヶ国である。それぞれの地域に二週間程度は滞在し、現地の人々への聞き取りを実施しながら、各地で著者が得た幸福についての考察を伝える流れとなっている。幸福学研究者を訪ねてその後の調査方針を探るオランダへの旅を皮切りに、なかには比較対象として幸福度が低いとされているモルドバも含み、終章である故郷アメリカはわずかに触れられるにとどまる。
それぞれの滞在先についての著者の好悪も隠さず伝えており、アイスランドやブータンなどについては好意的で、裕福なカタールには否定的な印象を抱かされる。ペシミスティックな著者のキャラクターも本書の特色のひとつで、読み進むうちに「幸せ探しの旅」という途方もない企画を実行に移した動機についても妙に納得させられるところがあった。各地に住む人々との会話を通して答えを導こうととするのが大きな要素だが、それとともに随所で盛り込まれる幸福に関する実験や調査についても、興味深い結果が多くあった。
完全な答えは得られないとしながらもエピローグで示される、「お金は考えられているほど重要ではない」「家族や友人といった社会的なつながりが大事」「嫉妬は毒」「物事を考えすぎない」といったヒントは、各地への旅から得られた教訓と合致しており、企画倒れに終わらせない十分な成果だと思える。そのうえで著者は、そもそも「幸福とは本当に最高善なのか」という本書のテーマを覆すような疑問を呈し、必要なのは「空虚で幸せな人生」より「豊かで有意義な人生」ではないかと問い直す。著者はこれを大半の人にとっての真実として捉えているのだが、私にはあくまでも著者個人(またはその周囲の人々)にとっての価値観ではないかと思えた。
本書の滞在先ではないが、著者がジャーナリストとして四年間滞在した日本についても度々言及されている。その特色としては同調圧力の強さ、過剰な礼儀正しさ、裕福かつ長寿でありながらも幸福度は高くないなどといった、多くはネガティブな文脈で取り上げられている。巻末には、僧侶・草薙龍瞬氏と、旅のエッセイスト・たかのてるこ氏の対談も収録されている。
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しあわせとは?
そんな疑問を解決するべくいろいろな国をまわる紀行本。面白いですね。何回も読み直しています。
スイスとブータンが良かった。
何より作者がちょっと変わった人なのも魅力的。
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紛争地帯や難民など、世界で最も不幸な地域や人々を取材してきたアメリカ人のジャーナリストが、一番幸せな場所を探して世界を巡る滞在記。ドラッグも性もオープンで自由なオランダ、真面目でなんでも正確なスイス、金が有り余っているカタール、国是として幸せを追求するブータン、世界でもっとも不平の少ない国タイ、そして世界最強国アメリカ、などなど。どの国も幸せを感じる独自の一面があり、それは確かに幸せそう。外貨が稼げて福祉が充実し、自然と一体で勤務時間も短く、小さな国だからほとんどの人が近所付き合いのように信頼できる国アイスランドと言われると、ほう、と思うが、厳しく長い冬、退屈さ、美味しいものがあまりない、と指摘されると、そんなことはなんでもないことだと反発する。これはどの国でも同じ傾向が見られる。つまり、誰もが、自分自身が幸せに思うことがあること重要で、他者から見たときに異なるポイントを指摘されるとそれを低く評価するというバイアスを持っている。結局青い鳥は自分の手にあるということだが、他の世界を知ってくことは盲目的(もっというと迷信)にならないために大切なことと思った。
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幸せとはなんなのか。
国によって捉え方も様々で、結局答えはわからないけれど、ヒントをもらいながら自分なりの幸せを考える機会になった。
ユーモアあふれる文体も好き。
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アメリカ人ジャーナリストの著者が幸せの秘密が見つかりそうな世界10カ国を訪問して幸せ探しをするルポルタージュ。アメリカの幸福度は世界23位で、生活は豊かになっても幸福感はここ50年変化がないそうだ。幸福に対してとてもネガティブなアメリカ人らしい著者が旅を通じて幸せのヒントを見つけていくところは面白い。インドやタイなどのアジア的な物の見方を知ることで視点を変わっていっている。日本人も昔はもっと幸せだったんだろうなと思う。思考がアメリカ的になるにつれて幸福度は後退するのだ。おそらく世界じゅうがそっちに向かっているのだ。自分が子供の頃からその予兆はあったけれど今はそれが当たり前になってきてること、そして何よりアメリカ的思考に間違いはないと思い込んでることが怖い。だって、明らかに電車の中や人混みを歩いていて昔と比べて笑顔の人を見かけなくなったなと思うから。自分の顔に気づいてない人が多いから。