大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争
著者 辻田真佐憲
信用できない情報の代名詞とされる「大本営発表」。その由来は、日本軍の最高司令部「大本営」にある。その公式発表によれば、日本軍は、太平洋戦争で連合軍の戦艦を四十三隻、空母を...
大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争
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商品説明
信用できない情報の代名詞とされる「大本営発表」。その由来は、日本軍の最高司令部「大本営」にある。その公式発表によれば、日本軍は、太平洋戦争で連合軍の戦艦を四十三隻、空母を八十四隻沈めた。だが実際は、戦艦四隻、空母十一隻にすぎなかった。誤魔化しは、数字だけに留まらない。守備隊の撤退は、「転進」と言い換えられ、全滅は、「玉砕」と美化された。戦局の悪化とともに軍官僚の作文と化した大本営発表は、組織間の不和と政治と報道の一体化にその破綻の原因があった。今なお続く日本の病理。悲劇の歴史を繙く。
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現実を冷静に見極めないとこうなる
2017/03/05 12:05
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:素敵な楽園 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本は欧米諸国に追い詰められて太平洋戦争に追いやられたと言う人がいるが、そのことは正しいと思う。しかし、その選択をしたのは日本である。時の権力者及び中枢にいた軍の幹部が、日本の戦力・資源・経済力をもっと冷静に分析して、日本がアメリカと戦ったらどのような結果となるかなるかしっかりとシミュレーションすることができていたら、戦争という道を選ばず、多くの国民を死と貧困に追いやることはなかった思う。国民も軍の報道を安易に信じて浮かれた。その結果多くの犠牲が伴って民主主義の平和国家になったとは皮肉なことだ。軍民統制とは恐ろしいことだ。彼らは日本国民の将来よりも自分たちの立場の保全を優先し、不都合な事実のねつ造を重ねていった。勝てないことがわかってきても自ら止めることができない状態だった。 米軍の戦艦や巡洋艦の数を遙かに上回る数を撃沈したと報道を繰り返したが、敵国には愚かしさが手に取るようにわかったことだろう。 私の父親の兄は沖縄で戦死したが、勝てる見込みのない戦争を早く認め、その後の日本の立て直しをしてくれていたら死なずにすんだことだろう。沖縄の人と共に。 この本は戦争を起こした日本人の気質と反省を顧みるためのとても良い本である。
マスコミへの疑問
2016/10/27 23:19
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Freiheit - この投稿者のレビュー一覧を見る
大本営発表といえば、でたらめ、誇張した発表の代名詞であるが、今のマスコミにそのような病理はないだろうか。
知られざる大本営発表
2018/08/13 20:36
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
我々は日頃「大本営発表」という言葉をよく使うが、大本営発表にも種類があり、内容の軽重によって発表する部署が異なったり、それによって大本営発表ではなくなったりするなど、今まで知らなかったことが知れたので、よかった。今でもよく聞かれるNHKラジオの開戦を告げる放送が、通常の放送ではなく、後から録音したものだということ、「玉砕」や「転進」が戦中いつでも使われていたわけではないということ、教科書でもよく取り上げられる「竹槍事件」が陸軍と海軍の政争だったことなどとても驚いた。
関心、無関心事に関わらず注意したい
2016/09/25 12:31
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
夏の終戦記念日前後に戦争期をとりあげた本を読むことが最近の習慣だ。今年読んだ本の中では辻田真佐憲の「大本営発表」と江藤淳の「閉ざされた言語空間」が印象的だ。どちらも権力者側、支配者側が情報操作、検閲等を行い、国民の関心を集める、あるいは蚊帳の外に置く、さらに国民意識をある方向に向かわせようと行った活動記録を丹念に資料を収集し読み込んでまとめている。
本書は、着眼点もおもしろく、太平洋戦争の著名な戦いを順追ってとりあげているので、戦史を概観できる歴史本としても読める。
権力者側と国民との間には、マスメディアが介在し、情報を握っている者との関係も問われる問題だ。戦前、戦後を通じたこのような情報操作、検閲等が強力に行われたことは、表面的には過去の出来事となった。しかし、情報空間、言語空間がいびつにゆがんでしまっている現象は現在社会でも事例に事欠かない。広く国民に対して、両書は自覚と警鐘を鳴らしているようだ。
現在ではインターネットという新しい情報ツールが普及し、草の根マスメディアが普及している。これはこれで別な問題はあるようだが、権力者側もマスコミ操作は容易ではなくなったとは思う。だが、公然とマスメディアに対して経営面等からの脅しを口にする権力者もいるので意識は変わらない人もいる。
過去の経験から、いつも話半分と思って、マスメディアの記事やニュースを読み聞きしているが、専門外のことは案外信じてしまうこともある。注意したい。
4回沈んだサラトガ
2016/09/22 16:06
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:野次馬之介 - この投稿者のレビュー一覧を見る
馬之介がまだ子馬だった頃、「大本営発表」という遊びがはやった。みんなで遊んでいるとき、誰かが不意に「大本営発表ッ!」と大声を出す。「このたび馬男くんとヒン子ちゃんがケッコンすることになりましたァ」とか「馬次郎クンがボクのエンピツを盗ったので、牢屋へ入れられます」などとからかい合うのである。
これは戦後まもない頃だが、そんな他愛もない遊びが本気でなされたのが戦時中の「大本営発表」だった。開戦当初の真珠湾攻撃やマレー沖海戦があまりにうまくいったので、その後の負け戦(いくさ)を正直に発表できなくなり、ミッドウェイ海戦では日本側の空母4隻が撃破されたのに対し「わが方損害1隻喪失、1隻大破」と発表する一方、敵空母は無傷だったにもかかわらず「2隻撃沈」と「架空の戦記小説」のような発表がおこなわれたのだった。
同じような「勝った、勝った」の連呼はその後も続き、日本国民は広い太平洋海域が全面的に日本軍の手中にあると思いこまされていた。この状況を高松宮は日記の中で、「でたらめ」と「ねつぞう」であると痛烈に批判している。
大本営の方も、みずからの発表が心苦しかったのか、発表の回数は目に見えて減少した。開戦時の1941年12月には90回もおこなわれた発表が、翌年1月は68回、3月は34回、5月は19回となり、ミッドウェイに負けた6月は9回に急落してしまった。真珠湾から半年で10分の1に減ったのである。
以後9月と10月は各2回にまで落ちこんだというから、大本営発表の回数は日本の負けを如実に示していたといえよう。おまけに、発表のたびに「ヨークタウン」や「エンタープライズ」を沈めたというので、昭和天皇から「サラトガが沈んだのは、こんどでたしか4回めだったと思うが」と苦言を呈されたらしい。
子馬たちの「大本営発表」は大笑いのうちに終わったが、本物の方は笑うに笑えぬ苦しい悲劇であった。
真面目な面白い本である。
興味深い
2023/09/05 10:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
太平洋戦争の歴史と大本営発表が、分かりやすく解説されていてよかったです。隠蔽、捏造など、興味深く読むことができました。
「たのしいプロパガンダ」、大本営発表
2021/11/25 22:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「たのしいプロパガンダ」で披露したように北朝鮮を訪問して、なまじ朝鮮語が出来るのでソ連仕込みの対南・対外宣伝コースにコロッと引っかかった人が昭和10年代の軍やマスコミをあれこれ言ったところで説得力はない。勿論、「たのしいプロパガンダ」としての大本営発表を信じ込んだ人はいるだろうが、何故か出て来ないのは願望か?
大本営発表に至る過程が表になっているが、要は軍が天皇に上奏した内容から取捨選択して決めるはずなのに、本文では何故か触れていない。ここは重要な事で、大本営陸軍部・海軍部(参謀本部と軍令部)が天皇に対して結果的に嘘を上奏してしまった事を認めるわけにはいかないので、昭和19年以降の戦いに見られるように上奏に沿った範囲で戦争を指導する事になる。「天皇の戦争責任」とは言うけれど、「臣下の輔弼責任」はあまり聞かないような気がする。大本営発表の問題点は、ここから生まれてきたのに、気がついていないから見落としている。
加藤建夫に触れるならば、彼の部下だった「朝鮮限定」の軍神、崔鳴夏大尉についても触れたら、どうか?
日本軍の悪口をあれこれ書き立てるが、海軍航空隊の搭乗員は意外とミッドウェーでは生還者が多くて、帝国陸軍は南太平洋海戦ぐらいまではアメリカ海軍と互角に戦術的に戦い得たし、ガタルカナルからは撤退出来たではないか?
日本軍の戦果の誤認について否定的に書いているけれど、事情はどこの国でも同じような手段しか確認出来ないではないか。特に潜水艦は。「兵士というもの」で始めて知ったが、まだドイツ軍は戦果の確認が容易に出来るはずの1940年のノルウェー戦で怪しげな「戦果」で騎士十字章を授与された「英雄」がいたそうだから、戦争末期に1隻しか沈めていないのに柏葉付騎士十字章を授与された「英雄」が出現するわけだ。部下の戦果を横取りしたり、最初から撃墜していない敵機を「撃墜」したと主張したりした「撃墜王」とか沈めてもいない船を沈めた「潜水艦の英雄」とかは、どこの国でもいそうだ。
大本営発表を行う陸海軍の報道部長の個性についての分析は面白い。用は向き不向きがあるわけだ。
しかし、新名丈夫のように海軍にコネがあって、陸軍は海軍に手出しは出来ないので懲罰召集をかけても海軍報道班員となったら何も出来ないのも、この時代らしい。もっとも東條英機はミッドウェーの敗戦を海軍からすぐに教えられなかったというから、どっちもどっちだ。