ウェルメイドな本格ミステリ短編が読みたければ著者の短編集は必読
2022/01/16 00:15
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投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
名探偵法月綸太郎シリーズ第二短編集。
いずれも傑作の、推理小説好きならお買い得の短編集です。
同じ時刻に別の場所で毒をあおった変型の心中事件の陰に隠れた真実を探る「背信の交点(シザーズ・クロッシング」。容疑者が犯行時刻に、某有名殺人事件の犯人逮捕を速報するテレビ生中継に映っていたというアリバイを主張する「現場から生中継」など、どれも精緻な推理によって鮮やかに背負い投げを食らう感覚が楽しめます。
また『パズル崩壊』収録の短編で主役を務めた刑事と法月綸太郎が共演する「身投げ女のブルース」も傑作。『パズル崩壊』を読んでから、こちらを読むことをお勧めします。
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投稿者:ちーかま - この投稿者のレビュー一覧を見る
鉄道、オカルト、警察から交換殺人までとにかくバラエティに富んだ五つのミステリー。短編集ながら満足度は高かったです。
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投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
短編ミステリ5編+1(プロローグみたいなものですね)を収録、どの作品も、いかにも法月綸太郎らしくガチガチの本格で、読み応えはあるのですが、読み終わってみると、肩透かしをくわされた感じ、ケレン味があるわけでもなく、何か物足りず、可も無く不可も無くといった印象。テレビで放送された名探偵の真似をさせたりと、ところどころで綸太郎をおどけさせたりしてはいるのですが、これも失敗、別にそんなことさせなくとも、綸太郎と父親の警視とのやりとりだけで充分に楽しいのに。
ますます長編が待ち遠しくなりました。
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友達からいただいた本でする。少しエンジンがかかるまで時間がかかりました。短編なのですが、無理をしないで長編にしてもいいのに、と思いながら読んでいた。頭に来た?のは 「身投げ女のブルース」で一瞬「都筑的な」風味があり、心中(もしかして 意識している?!都筑風なアジェクティブを使っている!?)と不本意でござりましたがあとがきをみたらやっぱり彼を意識して書いていたやうでする。黄色の部屋はいかにして改造、、の時の彼とのインタヴュウを読みながら非常にはがゆかったのを再び思い出してしまいました。一ファンとしてのインタヴュウを望んでいたわけではなかったので、都筑を無上に愛するアタクシとしては許せるわけがありませぬ。以来法月さんは余り好きではない人としてカテゴライズされているのを再確認したわけでする。
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登録漏れしてた。
2010/12/3〜12/7
少なくとも4年ぶりくらいの法月作品。
法月親子の活躍する5作品+アルファが収められた中・短編集。
「イントロダクション」、「背信の交点」、「世界の神秘を解く男」、「身投げ女のブルース」、「現場から生中継」、「リターン・ザ・ギフト」を収録。
法月さん自身があとがきに書いているように、本格的なパズラー作品が並ぶ。ミステリ好きにはたまらない作品群。自分の好みとしては最後の「リターン・ザ・ギフト」か。
穂波が図書館員の守秘義務のようなものを主張しているが、それを言うなら、法月警視はどう考えても捜査上の秘密を子供である綸太郎にばらしてるよなぁ。
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『背信の交点』
法月綸太郎と沢田穂波の乗った「あずさ68号」で死んだ品野道広。毒物での中毒死。妻である晶子の「あの女」の言葉。品野の浮気相手として語られた西島あずさ。「しなの23号」で発見されたあずさの死体。両方の列車が同時に到着する塩尻駅での心中と考えられたが・・・。発見された味の素が入った空き缶。晶子とあずさの関係。
『世界の神秘を解く男』
心霊検証番組の取材で訪れた園山家。娘のエリカの周囲に起きるという心霊現象。その心霊現象を捕えるためにやってきた丸山教授。前夜起きた園山家のサロンで起きた小火。密閉されたサロンの中でシャンデリアに押しつぶされて死んだ丸山教授。教授の助手・古賀。学会からもつまはじきにされていた丸山教授。。園山家の長男・公一の受験。
『身投げ女のブルース』
秘密の情報提供者に会いに行くために出かけた葛城警部が遭遇した自殺しようとする女。近くのマンションで殺害された占い師・小島霊峰。霊峰と争い殺害してしまったと勘違いし自殺を図ったと供述する事務員の鹿島伸子。死亡推定時刻は鹿島伸子の自殺未遂時間。何者かに殺害された小島霊峰。鹿島伸子の下着の色に隠された秘密。
『現場から生中継』
殺害された須賀こずえ。容疑者となった恋人・墨田成秀のアリバイ。犯行時刻に生中継されていた猟奇殺人事件の逮捕の映像に写っていた墨田の姿。「テロップの下を見ろ」電話を受けたという友人の中島の証言。
『リターン・ザ・ギフト』
ホステス武藤誉子を殺害しようとして逮捕された新宮和也。接点のない2人。武藤の弟・浩二から殺人を依頼されたと証言した新宮。逃亡した武藤の部屋から発見された3冊の図書館から借りられた本。交換殺人を題材にした本。殺害されていた新宮の妻。事件の証拠固めに穂波の勤める図書館にやってきた法月警視。穂波が目撃した容疑者の姿。
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11月9日読了。「このミステリーがすごい!」2000年度の第11位の作品。犯人によって・あるいは偶然に発生してしまうアリバイなどのトリックを探偵役、法月綸太郎が解決していくという短編集。相当な本格推理マニアらしい著者の趣味が遺憾なく発揮されている好編、というべきか?文体にも過剰な文学趣味などがなくある意味簡素で読みやすく、結構面白い。
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せっかく虚構の世界を楽しんでいるところに、オウムや酒鬼薔薇事件など、現実にあった事件を思わせる文章があるのがイヤだ。作品世界が虚構であることを思い知らされてしまう。とくに時事性の強いものは、何年か経って読むとそこだけ浮いた感じになる。たとえ本筋とは関係なくとも、抜きがたい違和感がある。これだから日本の現代作家のミステリは読む気がしないのだ。が、これはタイトルに興味を惹かれて読んでみた。設定にも驚く。この人、ほんとにクイーンが好きなんだなあ…。これほどの敬意を前にほろりとせずにいられようか。(反語)
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『背信の交点』
けっこう好きかも。微妙ーに凝ってて微妙ーに劇的だわね、死に方が。これ一本で純文書けそう(笑)
『身投げ女のブルース』
仲代刑事はいったいどう思っただろう?と、そればかり考えてしまうなあ。「ちらりとも見なかった」って、見れなかったんだと思うよ…。
『背信の交点』と『リターン・ザ・ギフト』がよかった。奇しくも両方沢田穂波嬢がでているなあ。
これは個人の好みだと思うんだけど、探偵には糾弾してほしくないなあ。探偵は謎を解くもの。糾弾する人は、ほかにいると思うんだよね。探偵って、もちろん違うときもあるけど、大概の場合第三者でしょう。第三者になにがわかる!っていうのもあると思うのよね。だからといって罪を犯して良いわけじゃないんだけどさ。
綸太郎の場合、そこまでやらんでも、というところまでつめよるので…お前何様?とか思ってしまうのだな、私は。そういう点では火村助教授のほうが好感が持てる。
綸太郎は、北村薫の『秋の花』の彼女にも、「キミは逃げたじゃないか」とか言ってつめよりそうでコワイ。
法月氏の作品は昔のほうが好みって言うか…良かったなあ。
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探偵法月綸太郎の短編集。
どの作品もテンポが良くて読みやすく、面白かった。
息子の出てくる(作者同名の主人公)モノはどれも好き。
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学生時代、辛くて辛くて仕方なかった時に読んだ本。
面白くてもうしこし頑張ろうと思えた。
長編よりもやはり短編が楽しい。
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中編が5本。以下は、ぎりぎりネタバレにならないように書くつもり。
物理トリックの裏をかかれたような2本目、(当時の)世相と小道具を生かしたアリバイトリックの3本目、意外な犯人の4本目は、それぞれおもしろかったけど、プロットに少し無理があるような気がしてもう一つ感心しなかった。ただ、ささいな手がかりから犯人の考えた筋書きを読み取っていく感じは興味深い。ただ、まあ「解釈」の問題にとどまっていくような印象はある。
うーんとうなったのは1本目と5本目。どちらも図書館が絡む(1本目は微妙だけど)、作者のいわゆる「図書館もの」である。トリックがどうしたというより、犯罪の裏にある人間心理の謎のようなものが前面に出てきている感じで、それが新鮮だったしおもしろかった。
1本目は、電車の中での毒を使った死をあつかったもの。名探偵法月倫太郎が見つけ出す真相(=解釈)は、それだけでなかなかうまいものだけど、その先がよかった。事件が、まったく別の歩行から見えてくるような感じで、ある意味とても後味が悪いんだけど、人の心というものの不思議な動きと、いわば神の裁きとでも言うようなものについて考えさせられる。
5本目は、「交換殺人」をテーマにしている。2人の犯人が相手を取り替えて殺すことで完全犯罪を企むのが「交換殺人」だけど、この古典的な内容を、実に見事にひねりを加えている。特に秀逸なのは「動機」に関わる部分で、はっきりいって救いようのない身勝手な殺人の話なのに、なんだか純愛物語のように感じてしまうから不思議だ。
全体として、人間を駒のように使った単純なパズルではない感じがする。むしろ、駒であることからはみ出してしまう人間の心が、事件を複雑にする大要素であるという感覚でかかれているように思う。すべての中編で、それが成功しているとは言わないけれど。
2009/4/6
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「イントロダクション」
「背信の交点(シザーズ・クロッシング)」
「世界の神秘を解く男」
「身投げ女のブルース」
「現場から生中継」
「リターン・ザ・ギフト」
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《身投げ女のブルース》
この短編小説は、法月綸太郎シリーズのひとつです。
にもかかわらず、
法月綸太郎本人は登場しません。
そしてそのことが、
読者が真相に近づくための、
最大のヒントになっていようとは!
――またひとつ、傑作に出会いました。
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迷探偵法月綸太郎の短編集(全6話)。短編というより中編と言った方がいいボリューム。著者に珍しい鉄道もの「背信の交点」、法月警視が息子の推理で不可解な事件を解き明かす「身投げ女のブルース」などが印象的。