人生で1度は読んでほしい良作集
2020/12/06 09:33
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投稿者:こっこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヘッセが戦争を体験する頃に書かれた短編集で、実体験が強く反映されています。実体験を基にした小説はうわべだけじゃなく、読者に迫ってくるものがあります。訳者のわかりやすい言葉遣いもあってだと思いますが、とても話の中に入りやすい短編集でした。
高く評価されるべき短編集
2010/10/29 19:57
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:K・I - この投稿者のレビュー一覧を見る
短編小説が9つ入っている。
トーマス・マンの『魔の山』は上巻の後半でぱったりを読むのを止めてしまった。
それに比べてヘッセは僕にとって身近な作家だ。
詩を書いているし、水彩画も描いている。
「詩人になれなければ、何にもなりたくない」と言って神学校を飛び出したというエピソードも共感を呼ぶだろう。
ヘッセの小説はどこか詩人の小説という感じがある。
でも往々にして、詩人の小説が小説としては骨格が弱いのに対して、
ヘッセは小説においても強度をもちうる小説を書いている。
第一次世界大戦がヘッセに与えた影響は大きかったようだ。
そのあたりのことはこの本の「解説」に書いてある。
この本に収められている短編は今の日本で書かれる多くの短編と異なっている。
いや、あるいは同人誌で描かれる短編にはこれらのヘッセの短編と似た傾向のものがあるかもしれない。
ある文芸評論家は同人誌に掲載されている小説よりも商業誌の新人賞をとった小説の方が小説としての価値が断固として高いと主張しているが、そんなことはないんじゃないの、と僕は思う。
商業誌でデビューして主流にいるような作家があとの時代から見て、重要とみなされるとは必ずしもそうとはいえないだろう。
まあ、そんな私怨に似たことはともかく、ヘッセの短編はすばらしい。
まだ、自然、そして詩、美、への信頼というものが失われていない。
でもヘッセは詩や美を手に入れるためにその人が失う対価というものもちゃんと見据えている。
そこが子どもとは違うところだ。
とにかく読んでよかった短編集でした。
ヘッセ流メルヘン
2020/08/02 16:42
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投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヘッセの小品集だが、後書きによるとすべてではなく抜粋されているらしい。最初のアウグスツスでいきなり魅了された。その後の短編はかなり奔放な内容で、ヘッセに抱いていた先入観が吹き飛ぶ。とてもよい作品集だと思うが、いつか全編を読んでみたい。
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忘れていたピュアな気持ちを思い出させてくれる本。
ただ、その純粋さは、やもすれば罪になりかねない子供の純粋さではなく、物事をよく咀嚼した上で出てきた甘味のような、純粋さだ。大人が読んでも十分楽しめる童話。
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現実を超えることを模索していた時期に出会ったので、忘れられない作品の一つ。ヘッセの後期作品は全てそうです。
さまざまな召命と目覚めの物語。
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ヘルマン・ヘッセの短編集。中学のとき友人の薦めで読んだ一冊。
冒頭の「アウグスツス」が好き。
「誰からも愛されますように・・・」というわが子に対する母親からの願い。
この願いがアウグスツスの人生を狂わせます。
人から愛される人生より 人を愛する人生を。
10代の頃の私にとって、忘れられない
深くて考えさせられるストーリー。
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ヘルマン・ヘッセの童話短編集です。
彼のするどい感性に、一話目からジーンときてしまいました。
サン・テグジュペリの『星の王子さま』を思い出しました。
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「アウグスツス」「詩人」「笛の夢」「別な星の奇妙なたより」「苦しい道」「夢から夢へ」「ファルドゥム」「アヤメ」「ピクトルの変身」
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童話集ということで宮沢賢治的なロマンチックな世界観をイメージして読んでみたら、初っ端からいきなり子どもに読ませてはいけないような話で、何ともヘッセらしいと思ってしまった。
全編に共通することだけど、これは疲れた大人向けの作品集と言えるだろう。
ヘッセの魅力はドロドロとした怨念にも似た感情を見事なまでの美文で表現しているところにあると思うのだけど、それはこの作品集に所収されている短編童話でもその本領を発揮している。
ここまで詩的な美しさがありながら読み易い文章を書ける人もそういないと思う(もちろん翻訳も素晴らしいのだろうけど、原文で読める能力がない自分が本当に惜しい)。
特に印象に残ったのはやはり「アウグスツス」「アヤメ」の二作。
愛に翻弄される・・・なんて有りがちなテーマのはずなのに考えさせられた。
ヘッセは少年期に読むべき作家というイメージが強いかもしれないが、この二作に関してはこれから結婚を考えている女性に推薦したい。
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ヘッセの作品、とっても好きな短編集です。
平和主義者だったヘッセは、当時の政府に反抗しながら、拘留されたドイツ人や捕虜のために書かれた慰問文庫にあった・・・と記憶しているのですが、本当に美しい、珠玉の短編集です。
“Augustus.”の中の不思議なオルゴールの音、“Iris.”の中のあやめ(タイトルのIrisは”あやめ”のドイツ語)の描写。
しばし世俗を忘れて、本の世界にどっぷりと浸かりたくなる美しさです。
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単なる童話には終わらない作品ばかり。「生きること」「愛すること」「死ぬこと」という、人生において誰もがいつかは直面する大きな、そして重要な問いについて、平易な言葉で厳粛に表現されている。愛すること・愛されることの恐ろしい側面を描いた「アウグスツス」、死へ向かう人の苦しみ、あきらめ、そして解放を描いた「苦しい道」など、すべての作品の中で美しい文章の中に「人生」そのものが凝縮されている。苦しいとき、哀しいときに何度でも読み返したい一冊。
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世界は突き詰めたところ、神様の心のようによくも明るくもなく、暗く悩ましく意地悪だった。森がざわめくのは、楽しくてざわめくのではなく、悩ましくてざわめくのだった。
私たちの故郷でも、死はひどく恐れられていません。大部分のものは生まれ変わることをいといません。それを喜ぶものも大勢います。しかし一人の人が他の人を殺すことをあえてすることは決してないでしょう。
この本はおそらく1993年くらいに読んだ。
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ひとの無意識とか感覚とか深層心理的なところに直接響いてくる、ものすごい密度の短編集。
いまのところ最初のアウグスツスがいちばん好き。
こんな言葉の構成ができるヘッセは神様みたいだと思った。
ぞくっとしてきゅんとするかんじ。
一日にたくさんは読めない。
おはなしひとつでおなかがいっぱいになる。
気がむいたときにひとつずつ心をこめて読みたい。
そんなかんじの本でした。
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「Märchenの中の Augustus と Iris は Hesseの書いたものの中でもっとも美しいもので、いわばHesse文学の縮図とも言える」郁文堂 Irisあとがきより
生きるための支えになる本。私はつねにこの文庫をカバンに入れている。500円硬貨でお釣りの来るこの本が私の歩みを後押ししてくれる。Ich will ! Ich will !
以前の版をお持ちの方は、今の版は『ピクトルの変身』が追加されたので是非再読されたし!Anselmがたどった小路は、果たしてここにたどり着いたのか否やは、皆様のご判断で。
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ヘッセの短編集。
特に『笛の夢』が好き。
暗い話なのか明るい話なのか、夢が真実で真実が夢なのか、分からないことだらけ。
笛とか歌の上手な女性は何を寓意しているのだろう。