「偏って」いることへの対抗策は?
2018/03/19 11:35
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投稿者:ジル - この投稿者のレビュー一覧を見る
「荻上チキ」のブランディングは「本」、「情報」、「分析」ということか。新聞の書評委員会の「内幕」は興味深いが、その他は巷間囁かれていることを、「分析」した内容。
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最近日本会議を中心とする保守の活動が活発になり新聞界ではいわゆる左右を代表する新聞同士の戦いをの様相を見せている。では実際に5大新聞が取り扱う記事にはどのような違いがあるのか。それを新聞記事のリサーチにより数値で表し違いを明確にした本である。
荻上チキ氏はデータを駆使した社会分析が得意であり実際この本でも多くのデータを取り扱っている。どちらか一方の立場でカウンターとなって批判を展開するのではなく、冷静な第三者としての視点で分析を進めるので、どちらの側からも納得のいく結果になっていると思うのであるが、いかがであろうか。
ちなみに私は朝日新聞擁護、産経新聞に対しては批判的な立場で読ませていただいた。
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偏っていることは悪いことという思い込みや前提があるわけですが、逆に偏ってないということがありうるのか、そう問われると確かに自分自身も自信がないことに気付かされました。自分は偏ってない、自分はフラットな判断ができていると思う人ほど、この本を読んでみることをお薦めします。
新聞は読み比べる必要があるというのは以前から耳にします。実際読み比べてみると同じ事件がまるで別物のように感じることがしばしばあります。読み比べる以前に一面で取り上げられるトップニュースが全く違うことが多くて愕然とします。トップニュースが違うと、今、世の中で何が起きているのか認識が全然変わってしまうからです。
この本は、そういう偏りを、感覚的にではなく、データとして我々に見せてくれます。例えば、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部改正」が閣議決定された際の社説で、各社がどういう見出しの記事を書いたかが分かります。あるいは各社がどういう有識者を選ぶかも特徴があります。いわゆる有識者も右から左までいろいろなスタンスがありますので、自社に合う意見を言ってくれる有識者を選ぶわけです。
新聞がテーマになっていますが、ネットニュースなどでも同じような状況があることは言うまでもありません。私たちは何かを判断する前に、どうやって情報を収集するか、それが重要な問題です。
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とても面白かった。データを提示しての解説はとても分かりやすく、新聞、メディアについて考え直すきっかけとなった。
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肌感覚で新聞から感じることを各種データで裏付け。データのとり方に問題が無いのが前提ですけど。
雑誌 新聞ダイジェストが無くなったのは、痛い限りです。
新聞社へ応募する人は、いろいろな新聞社へ応募すると思うのですが、各社のバイアスはいったい入社何年目から影響を受けるのか。こんなのも言及して欲しかったです。自分は保守系だから、朝日・毎日は受けなかった、なんて人がいたらご容赦ですけど。
いらないわたしの持論:
新聞とNHKにポリシーは関係あるのか?勧誘員のしつこさじゃないのか?個人的環境だと、読売が一番しつこいです。朝日、日経、東京は勧誘にすら来ませんでした。
P5 「メディアが信用できるとなっては本末転倒」な部分は共感できました。
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ちょうど昨日の産経新聞の阿比留瑠比の極限御免という記事で「朝日は自社の慰安婦問題直視を」という記事が載っていました。本書は新聞同士の言及を検索によってカウントしていて産経の朝日への言及数は中央5紙の相互言及の中で飛ぶ抜けていて、それを「産経はかまってちゃん」「産経をスルーする朝日」と表現しています。まさに新聞はまったくキャラの違う人間同士のリアリティショー。お互いに反目は止めてフェイクニュースに立ち向かうのである、という主張もありますが、本書は「みんな違ってそれでいい」という金子みすずモードかな?つまりメディアにフェイクの反対のトゥルースがある、という思い込みが危険で、みんなそれぞれに「偏って」いてそれをわかって付き合う、というレベルの高い向き合い方を提案している、と思います。そこはちょっと目鱗で、フェイクVSファクトという構図自身がメディアを痛めつけている、という指摘に思えました。でもそれは著者や池上彰みたいな高いメディアリテラシーを育むことが前提になるよな、とため息気分にもなります。各新聞社はそれぞれNIE(ニュースインエデュケーション)運動を推進していますが、それは本当に大切な教育だと改めて思いました。最終章の20のポジ出しはシンプルかつ大切な提言だと思いました。(ちょっとこれ新聞社の仕事?みたいに思った項目もありますが…)デジタル時代の新聞社のキーワードは「中立性」じゃなくて「透明性」と「応答性」。新聞拡販戦争戦争によってこじれ切った新聞社たちがこれを一緒にやるのか?それぞれにやるのか?それともまったくやれないのか?部数がどんどん減っていく新聞の明日はどっちだ?
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この本は日本のメディアについて分析したものだけど,古今東西どんなメディアもそうなんだというのは意識したいよね。
面倒がって広く流布される支配的な情報ばかりに頼るようではいけない。
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メディアは透明な道具ではない。偏向報道を批判する声が大きい現状を著者は牽制する。ヨコのリテラシー論やニコニコバイアスなどネット時代のメディアリテラシーの教科書。その上で「一冊の本に触れただけで自分は目覚めた!と気持ちよくなる」第三者効果についての記述も忘れないようにしたい。
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保守系が最も強く右派大衆寄りの産経新聞、高所得者の保守系を意識した読売新聞、リベラルな朝日新聞と毎日新聞、経済に特化した日経新聞という色分けができる。
産経新聞は過激な記載も多いことが右派大衆に受けているが、一方で政府を庇いきれなくなると前言を簡単に放棄する傾向もある。
日本のウェブ上では、右派的な発言が奨励され、右派・リベラルな発言は嘲笑される傾向がある。いわゆる愛国主義が増長される傾向があるので注意が必要。
池上氏などが毎日各紙に目を通すという意味が理解できた。ただし、これを実践するにはお金も時間もかかり、サラリーマンが毎日こなすのには厳しいと思う。
・一要なメディアには、それぞれの特徴がある。同じニュースを取り扱っていても、取り上げ方や意見は大きく異なっている。しばしば、特定のメデイアだけを取り上げて、「偏向している」と批判する人もいるが、それは正確ではない。バイアスのないメデイアなど存在せず、どのメディアにもそれぞれの偏りがある。特定のメディアの偏りばかりが目につくとしたら、それは観察する者が何かの立場に強くコミットメントしているためだ。
・全国紙としての販売部数は、多い順で読売新聞>朝日新聞>毎日新聞>日経新聞>産経新聞の順。日本ABC協会が発表しているレボートには、各社が自社のスタンスについて短い文章を寄せている。
・読売新聞「真実を追求する公正な報道」「勇気と責任ある言論」
・朝日新聞「ともに考え、ともにつくるメデイア」「課題解決模索型報道」
・毎日新聞「毎日新聞150年そしてその先へ」「選ばれるメデイアを目指して」
・日経新聞「マクロ・ミクロの経済情報を分かりやすく冷静に報道」
・産経新聞「日本にあって良かったね」「読者第一」
・朝日新聞が他紙に言及する際は、産経相手にかかわらず、どの新聞相手にも割とフラットな記述が続く。
・他方、産経新聞は、朝日新聞を徹底的に批判することを売りとしており、言及頻度だけでなく、その語調も強い。全国5紙の中でも、最も過激な言い回しを用いていると言える。
・朝日と毎日の意見がぶつかることは少ないが、読売と産経との間に温度差が出ることはしばしばある。産経は読売よりも右派色の強い読者を相手に記事を届けており、特にウェブ時代を経てからオピニオンをより前面に出すようになっている。
・各紙による安倍内閣の支持率は、産経86%、読売43%、日経41%、朝日14%、毎日9%。一方不支持は、産経5%、読売29%、日経38%、朝日70%、毎日59%。この結果は読者層も表しているが、世論調査の調査方法も統一されていないことも考慮する必要がある。
・個人的には特に、「態度の学習」という観点に着目する。一部ウェブ上では、朝日新聞的なもの、民主党的なもの、左派、リべラルやフェミニズム的なものを潮笑し、韓国や中国を嫌い、マスメディアを攻撃するという態度を取ることが、「普通の日本人」「情報強者」として正しいとする「ふるまい」が見て取れる。そうした「ふるまい」を、あくまでネタとして消費しているつもりでも、態度の��倣を繰り返す中で思想が形成されていくということも考えられる。
・もともと日本のウェブ空間は、ある時期から右派的な「ツッコミ文化」を醸成しており、それが慣性として継続されているとも考えられる。こうした点は、海外のネット政治の動きとの比較が必要になるだろう。
・個人的には新聞書評は、すでに売れているベストセラーをプッシュするものというよりも数千部の本が1万数千部になる、2万部の本が3万部になるのを手伝うというのが重要な役割だと思っている。そのために、関心がありそうな潜在購読者の好奇心をくすぐる、読んで面白い書評を目指す。
・書評欄は、社説などほかの紙面と比べると、イデオロギー対立が目立たないようにも見える。
・毎日は、一つ一つの書評に力を入れる傾向があるため、時間がかかりタイムリーさという面では落ちるが、書き手の個性は出やすい。
・露骨なのは、紙面の下段に掲載されている広告だ。特に書籍の広告はあからさまである。リべラル系新聞にはりべラル寄りの書籍広告が、保守系新聞には保守寄りの書籍広告がそれぞれ掲載される。そうした広告欄と比べると、書評欄のほうがより広く、社会に開かれているとも言える。
・僕は日々、複数の新聞を読んでいる。ひとつの出来事でも、各紙によってオピニオンが異なるため、自覚しながら読み比べることが重要だ。
・紙の新聞を読み比べるメリットとして、紙面づくりの違いをビジュアルで直観的に比較できるという点がある。「この新聞はこれが一面記事か」「この新聞は、独自スクープをトップに持ってきたな」というものから、「あれ、この新聞は、この出来事を取り扱ってないな」「この新聞は、この事件の取り扱いがとても小さいないな」というものまで。
・何を掲載し、何を掲載しないのか。何を大きく扱い、何を小さく扱うのか。その優先順位は、その新聞の特色を露わにする。
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既存の引用できるものはできるだけ、それでも無いものは自らリサーチする徹底したデータによる論は石橋を叩いて漸くコミットするので、信頼度が高い。終わりつつある新聞に寄せるだけでなくさらなる現在のメディア論を展開してほしい。このデータ第一主義をもって。難しそうだなあ!
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読売-日テレ
朝日-テレ朝
毎日-TBS
産経-フジ
販売部数
読売>朝日>毎日>日経>産経
左(民進) 朝日 毎日 日経 読売 産経 右(自民)
・著者ポジ出し
記者のトレーサビリティ
過去記事を判断材料に
ソースリンクの徹底
公開期限がすぎた記事もえつらんかのうに
翻訳報道
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コンテンツアナリシスとしてはやや食い足りない感じ。論じるに当たって根拠となる数字等が示されていないことに違和感を感じ続けた。新書のレベルだから仕方がないのかなあ。
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自分の読んでる新聞がだいぶ偏っててだんだん思想が染まってきたと自覚してたので、読んでみました。
データベースからの中立的な分析で、各紙の個性がよく見えてきました。
わかったのは、偏りのないメディアは存在しないということ、もちろん自分の中にもバイアスがあって、「真実」なんてないこと。偏りをなくしたいと思って読んだのだけど、結局、自分が心地よいと感じる言説だけ集めて、自説を強化して、「自分こそは偏っていない」という選民思想に繋がる。著者は、各紙のクセを認識しつつ、うまく付き合うように言いたいのだと思いました。
著者のメディアへの提言は、なるほどなと思うことばかり。署名記事のタグ化とか。もしかして言いたいことってこれで、その根拠と説得力を持たせるために、これだけのことを語ったのかな。
時々ちょっとユニークな部分もあっておもしろく読めました。
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読売、朝日、日経、毎日、産経の主要5紙を徹底比較。
記事の取り上げ方、内閣支持率の統計の取り方、よく呼ばれる専門家やその登場回数などを多角的に分析し、比較した表が異様に多い本。
各紙の政治的立場や社会問題に対するスタンスがかなりはっきりしてくる。
わかった上でどう付き合うか。
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第一部「新聞はいかにして「偏る」のか」は、タイトル通りの内容。原発再稼働問題などのいくつかのテーマについて、各紙の記事を引用しながら、各紙のスタンスというか、右か左かのポジションを浮き彫りにしているのが面白かった。
また、同じ右や左でも、各紙の個性のようなものもあって、それもまた面白いです(特に産経の資質という言葉に関するダブルスタンダードの指摘は面白かった)。
第二部は世論調査が各紙でやり方違うとか、第三部は書評欄の裏側とかが書かれていて、興味深かったです。
ちょっとだけ新聞読みたいと思ったけど、まあ読まないかな。読むとしたら飛ばし記事が得意な日経かと。