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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
今もずっと継続し、台湾危機とも相まってより課題.緊急性が大きくなっている「沖縄問題」の原点を詳細に記述してある作品である。小説 文学作品としては、平板な会話文や単調な記述など、決して上手いものとはいえない。退屈な部類に入ってしまう。しかし描かれている内容は、日清両国の間で巧みに泳いできた国の有り様を否定され、戸惑いうろたえる琉球の士身分の人々の言動を、大変丁寧に描いていて非常に勉強になる。
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読むのにやたら長い時間がかかってしまった…。厚いのが2冊なうえに、話がなかなか進展しなくて、正直投げ出したくなる感じだったけど、それこそがねらいなのかともうがってしまうほど。琉球処分にあたってのヤマト役人の苛立ちの追体験をさせたいのかな、と。しかし、今の辺野古の問題は「平成の琉球処分」というあとがきにどきっとする。
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教科書にはない沖縄の歴史を思い知らされる1冊。明治政府の処分官松田道之の明治国家建国に向けた官僚としての責任感及びそれに基づく役割遂行への意思に共感する一方、独立国としての誇りを持ちつつ、生存のためのプラグマティズムとして日本と支那両属国の道を選択した琉球王国の立ち位置も理解できる。両者の狭間で多くの人間が苦悩し、その苦悩の積み重ねの上に歴史が動いてきたという事実の理解なくして現在の沖縄問題は語れないと思う。そのような歴史への理解なく沖縄の人々の気持ちを弄ぶ民主党政権の罪は重いと言わざるを得ない。
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元々は、1972年に出版された作品。
菅総理が、「『琉球処分』と言う本を読んでいる」と言っていたので、読んでみました。1972年といえば、5月15日に沖縄返還がなされた年です。この作品は、それに関連して出版されたと理解できます。
琉球処分は、過酷な経験を琉球・沖縄に課したと言う事になるのだと思います。過酷な処分自体を否定する気は毛頭ありません。しかし、小説なので話を割り引く必要があると思いますが、その根底には、“コミュニケーション不足”と言う問題があったんだなぁと言う事が、物凄くよく判りました。いや、“コミュニケーション【不足】”等と言う生やさしいものではなく、“コミュニケーション【断絶】”と言う方が適切かも。直接対話をして、やり取りをしているのに、お互いの事を表面的にしか理解していない、あるいは逆に深読みしすぎて理解出来ていないと言う事が積み重なっているんだなぁと思いましたね。
本の帯に「沖縄問題は、すべてここから始まった」と書いてあるんですが、今の沖縄問題も、相互の“コミュニケーション【断絶】”があるのかと思われ。
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清国の冊封体制と、薩摩による支配の両属にあった琉球から、日本の1つの県となる過程における琉球の激動を描いた良作。作者は沖縄人で、ながらく沖縄で働いているのに、これだけ客観的に描けるのはすばらしい。ともすれば、当時の祖先たちを馬鹿にしているようにも読めるが、おそらくそれは真実に近いのだろう。
琉球処分以前の沖縄の立場は、たしかに薩摩の圧政よりも冊封によって信頼関係を築いていた(と、少なくとも琉球側は信じていた)清国のほうが信頼しており、武器を持たないかわりに信頼と貢物による外交によって平和を維持していたわけで、そこを日本が琉球処分を行い、その50年後には太平洋戦争の舞台としたことは、今日の沖縄の反日感情を理解するためのよい材料となろう。単に、地上戦が行われた、というだけではない、過去の歴史から見た沖縄人の感覚を、これを読むことで理解が深まった気がする。世界の潮流に抗い、反発しながらも、徐々に侵食されていく沖縄がよく描かれている。
本文ではないが、宮古郡島分割論などは初めて聞く話でちょっと驚いた。琉球史もしっかりと勉強しなければ。
元になった松田処分感の「琉球処分」についても是非読んでみたい。
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元防衛次官、守屋武昌の「普天間」交渉秘録に続いて読んだのだが琉球処分時の松田道之の姿がかぶる。政府の官僚からするとなぜこの理屈がわからぬのか、一旦受け入れたことをなぜ反古にするのかと言ういらだちが募り、琉球〜沖縄からすると日本政府の言い分はわかるがなぜ我々の言い分を少しも聞いてもらえないのかとなる。琉球政府もその中で意見が分かれている。沖縄の本土復帰の交渉についても政府と沖縄で同じ様な軋轢が有ったらしい。
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史実を踏まえた物語。日本と琉球は別の国だったのだなと今更ながら考えさせられた。但し、士族からの視点で書かれているので、百姓がこの琉球処分をどうとらえていたのかも知りたいものだ。
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明治維新後の琉球王国を日本に統合するまでの、琉球と明治政府の交渉。息詰まるというよりも、前提となる国に関する考え方を合わせることが難しかった様子が興味深い。当時から琉球の人々から見ると、日本は異質で、大きく考えの異なる政策を持ち込んできて混乱を起こす元凶だったのだと思う。当時の琉球から見た国際情勢は遅れたもの(清国の属州で、清国が守ってくれる)であったが、現代ではどうだろうか。米国は本当に守ってくれるのか。
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むつかしい。
娯楽というよりは、勉強という感じで読み進めている。
物語の総括は、下巻のレビューに。
★3つ、7ポイント。
2014.11.30.図。
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沖縄旅行に先立って読んだ本。自分が琉球王国についていかに無知だったか、その事実に愕然としました。明治初期、琉球王国が日本に併合されるまでを描いた小説です。
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近代国家建設を進める明治政府に翻弄される琉球。琉球にとって日本とはどのような存在だったのか?興味深い
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明治維新直後の沖縄(琉球)の様子を小説として描いたもの。琉球の状況もさることながら、明治維新政府のやりようも窺い知ることができて興味深い。
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2022年5月15日沖縄本土復帰50周年の節目ということもあり、本書を読み始める。明治時代の黎明期 明治5年から物語が始まる。
琉球は、当時清国と薩摩藩に両属していた。日本が明治となったことがきっかけに、清国から切り離し、日本に組み入れることを前提に政治的な駆け引きが行われた。
日本政府と琉球との交渉がつぶさに展開され、興味を掻き立てられる。名前を覚えるのが大変だが、それぞれの理論展開が登場人物の立場から語られる本書のスタイルに魅了された。続きは下巻へ
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琉球っていうのは、本当に危うく微妙なバランスの上に成立している。明治になり、急速に近代化を進める日本と清の間で、ひたすら翻弄される琉球。
小説なので、全部が事実ではないだろうけど、いろいろと現代の沖縄に通じてる気はする。
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固有名詞が難しいうえに登場人物が多くて誰が誰だったかわからなくなるし、ストーリーとしては地味なので、おもしろい!とは思えなかったけど、日本人としては知っておかなければならない内容だった。習近平が沖縄は中国領と言っているらしいけど、あながち根拠がなくもない。薩摩藩に搾取され、日本政府からも格別の恩恵は受けてない。昔から懸命に平和を保ってきた小さな琉球王国の最後が哀れ。新生日本としてはどうすべきだったのか?それからいまふと思いついたけど(全然調べてないけど)ひょっとするとハワイがアメリカになったのもこんなふうだったんだろうか。
佐藤優の解説がいい。今の状況と本当にそのまま重なる。