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日本国際政治学の双璧をなす彼の著作。色あせた感もあるが、リアリストとして、現実に妥協することのない強い姿勢が感じられる。理論が羅列されているわけではなく、歴史物を読む感覚で国際政治の基礎を学べる名著。
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政治学の基本の書。国際政治を学ぶ人が始めに読む本です。
民主主義のメリットとデメリットを改めて理解するのに良い本です。
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学部生が、国際政治の現実を理解する為の方法論として、リアリズムを理解し、用いるのに役立つ入門書。但し、これだけ読むと学部生によっては、現実を理解するだけではなく、それに理想や倫理を掲げるリベラリズムを見下す傾向に陥りそう。現実を理解する事とその現実を肯定し、安住する事は違うという事を高坂も述べているので、その点を読者は忘れてはならない。
また結局は、この本は見方の提示でしかなく、現在においてはそれ以下でもそれ以上でもない。また現実を慎重に理解する事は、本人が現実を肯定し安住しているつもりではなくても、そのように見られる可能性がある事も本書は示している。カーも高坂も、理想や目的なき国際政治を肯定していないし、リアリズムの厳しい分析や理解の上で理想や目的はたてられるべきだと述べているが、結局本人たちはその作業に(少なからず、記念碑的著作と言われるものの中では)移っていない訳である。
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国際政治学の名著らしい
俺には、どの辺が名著なのか分からんが。。。
てか、昔読んだ本なので、内容あんまり覚えてない
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高坂正堯著。出版されたのが1966年と、40年以上も前の本。つまり、冷戦の真っただ中に書かれた本である。
したがってその思考枠組として「冷戦」は所与のものであり、分析もその視点からなされることとなる。IT技術も国際機関の発展も現在と全く異なった時代を生きた著者の本に触れることで、当たり前ながら「古いな」と感じると同時に、当時の学者がどのように国際関係をとらえていたのかといった点で、いわゆるパラダイムの違いというか、簡単にいえばジェネレーションギャップを感じた所は面白かった。
だが同時に現代にも通じる命題、あえて言えば現代だからこそ通じる命題も見られる。たとえば、「すべての(国家)秩序は力の体系、利益の体系であると同時に価値の体系である」といった部分。「日本を外国とを分けているのは、人間が勝手に引いた国境線ではなくて、むしろ言語や習慣に体現された行動基準と価値体系である」。民族、文明文化、宗教をもととしてナショナリズムや共同体意識といったアイデンティティ、さらには個人の価値観が形成される。これは人間である以上は仕方がない。グローバリゼーションの進む中で「世界市民、地球人」といかに観念的に唱えたところで、残念ながら民族紛争はなくならないし、すべての人が同じ価値観に属するはずもない。「国際社会にはいくつもの正義がある」のである。ブッシュ前大統領とネオコンの方たちに聞かせてあげたい一言だと思う(笑)
(2009.04.18作成)
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京都大学法学部で教鞭をとっていた高坂正堯氏の名著。
1966年というから、すでに40年前の著作ということになる。執筆当初は、米ソ冷戦のまっただ中であり、各地の旧植民地の独立闘争も血なまぐさい時期であった。
そのような時代の中で生まれた論考であるから、無論、古い部分もあるが、しかしポスト冷戦の現在においても十分楽しめる内容である。
テーマとなるのは国際政治と平和である。カントをはじめとする啓蒙的な思想家が古くから、平和論を唱えてきたにも関わらず、平和は訪れない。
ただ単純に平和の望むだけの幼稚な理想主義ではなく、「なぜ平和が訪れないのか」ということを国家主権と国際機関の関係を軸に説明する。
イデオロギー、利害関係、権威、恐怖、疑心など数多くの要素を含んだ国際政治のエッセンスを知るのに適した入門書だといえるだろう。
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この本は「平和」を国際政治学的な視点から希求する本である。そして具体的な結論は最後まで示されない。「平和」構築とはあまりにも高い壁であり、この本はその壁を一望するための「目」を与えるに過ぎないものである。しかし、我々は見ないことにはその高い壁制覇への計画は立てられないのであり、確かに情報は古く、壁のデータは古いが、それであっても壁の登り方の方法論とはそうはわれわれが人類である限り急激には変わらないのではないかと思う。それがわれわれが国際社会に生きるのならば必読と言われつづけることの所以であろう。願わくば、今の気鋭の学者によってもっとこうした本が書かれてほしいものである。そうならない限り、この本の地位は揺るがないであろうし、そういう意味ではこの本にはもはや価値を持たない本としての称号を与えたいものである。
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1966年初版、著者は1996年に没しており、内容も冷戦期のそれであり、正直に云って古い。しかしながら今も通ずる内容である。
「戦力なき平和」のような空想的な国際組織は、ルソーの言葉を出して否定している。ならば国際連合のような組織はいらないのかというと、そういうわけではない。国連は、不完全とはいえど国際世論の代弁となりうることもある。その国連にあらがう事は、その意味での「権威」にあらがうことになる。
国連の機能に疑問があるのは事実で、各国の利害が対立しあい議論の応酬が激しい。しかしながら「そのような場」が国連の機能といえないだろうか。国際連盟は機能しえなかったのは、利害の衝突がなく、友愛的な雰囲気が漂ったが、結局は機能不全に陥ってしまったことを考えたい。
世界に正義は複数あるのだ。善悪ではない。
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各国家は力の体系であり、利益の体系であり、そして価値の体系である。したがって、国家間の関係はこの三つのレベルの関係がからみあった複雑な関係である。p19
「ホッブズ的恐怖」by ハーバード・バターフィールド
ピストルの比喩 p49
基本的にはあくまでも軍備が緊張を作っているのではなくて、その逆、つまり緊張が軍備を必要としているのである。p76
【アダム・スミス「富の二重性】
隣国の富は、戦争もしくは政略上の交渉においては我が国に危険を与えるけれども、通商貿易においては利益を与えるものである。p83
【カール・マンハイム「社会の基本的民主化」】
これまで政治に参加しなかった人々の政治への参加は、権力増大と表裏一体となっているのである。p90
Cf. 工業化による大衆の動員
ミュルダールは、福祉国家の理念を国民国家の境界を超えて世界に適用し、福祉国家を建設する必要を説いた。p109
【ベンサム『永遠平和計画』】
「目的は永遠世界平和であり、著者が目指す支配の範囲は地球全体であり、そして新聞が彼の用いる唯一の力である」
⇒現代のSNSに通底するのではないか。p141
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国家は力と利益と価値の体系。国家間の関係はこの三つのレベルの関係が複雑に絡み合ってる。
国が異なるということは常識が異なるということ。国際社会にはいくつもの正義がある。
大規模な民間防衛や反ミサイル・ミサイル開発は、相手側の抑止力を効力のないものにしてしまい均衡を破壊してしまうので、こうした措置はとられてはならない。(ある程度無防備でいろってこと?)
経済交流が平和に繋がるわけではない。相互依存の増大はしばしば一国による他国の支配をもたらす。かといって一国が真に自給自足するのも難しい。
先進国同士が激しく競争していることが南北問題の解決を遅らせる。国も人間同様自愛心によってではなく自尊心によって動くから、先進国は全くの犠牲的な見地から援助を行うことができない。また、貿易政策は先進諸国の国内体制の変化を必要とするので、経済援助より難しい。更にこれらの援助に加えて、経済開発を可能にするような社会が途上国に不可欠。安定した政府を有する国家形成は極めて困難で時間がかかる。
国際機構による平和実現の難しさ。複数の正義が並立する国際社会において、全ての主権国家がその運命を託せるような正義は存在しない。国際機構に強制力を持たせることは一つの強国による征服という形にならざるをえないので不可。
国連は友愛的なフォーラムではなく激しい権力闘争の場。だからこそ国連は無用の存在とはならない。
調和の側面より対立の側面の方がはるかに大きいことが、国連の機能を消極的なものに限らせていて、国連にできることは紛争を局地化し中立化することだけ。それでも非力な国連軍が撃破されないのは国連に権威があるから。国連の権威に挑戦することは各国に激しく非難され、その非難を背景に実力行使が行われるかもしれない、そうした考慮が当事者を大きく制約する。
国際社会の混乱は直接は直せない。対処療法的に、間接に直すことができるのみ。
各国が自己の理念と利益を守りながら、国連の権威を高めていくしかない。
とかとか。
哲学者からの引用が多いのが興味深かった。安易な平和思想は容易く打ち砕かれた。勉強になりました。
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国際政治学の第一人者高坂正尭先生の著作です。
内容としては、国際政治学の入門書としてはぴったりかなのではないかと思います。
各国の持つ「力」(軍事力が中心)に注目して国際関係を捉える見方は現実主義(リアリズム)と呼ばれ、古くから国際政治学の中でも有力な考え方ですが、高坂先生もこの立場に立たれており、古くは中世ヨーロッパから、新しいものは冷戦時代の各国間の関係まで俯瞰しています。
書かれたのは今となってはかなり昔ですが、国際関係の本質を「力」とみなしつつ、国際関係を悲観することも無く、かつ楽観視することも無く、慎重に、粘り強く平和への道筋を描こうとする著者の知的努力には、感服せざるを得ません。名著としての輝きは未だ失われず、といったところでしょう。読みやすくおススメの一冊です。
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[ 内容 ]
戦後政治学に現実主義の金字塔を打ち立てた俊才の遺産を集大成!
30余歳にして、国家と国際関係の本質を見抜き、具体的な平和を探り始める。
[ 目次 ]
序章 問題への視角(1 権力闘争の変質 2 国際政治の三つのレベル)
第一章 軍備と平和(1 勢力均衡 2 軍備縮小 3 軍備規制と一方的段階的軍縮)
第二章 経済交流と平和(1 経済と権力政治 2 権力政治と経済交流の分離 3 エゴイズムと相互の利益)
第三章 国際機構と平和(1 強制力の問題 2 世論の力 3 国際連合の意味)
終章 平和国家と国際秩序(1 国際社会と国内体制 2 現実への対処)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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多分、名作なんだと思う。非常に多くの観点から国際政治の歴史と現状が説明してあって、勉強になった。
誰しも望んでいる平和が、なぜこれほど多数の人と時間をかけているのに実現されないのか、それは口でいうほど簡単ではなく、できない理由がしっかりある。ニーチェの力への意思という言葉を思い出した。
時間ができたら、もう一回チャレンジしよう。
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国際関係の概説書。新書だけに入手しやすく、内容も折り紙つきな傑作です。学部生だけでなく、社会人が読んでも得るものは多いはずです。
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本書はいまだに絶版になっていない希少な中公新書の一つで、初版は1966年となっていることから分かる通り、当然のことながら現代に至るまでのおよそ40年分の国際政治の動向に関する記述が欠落してます。しかし、古臭さを全く感じさせないどころか、国際政治の見方というか座標軸の持ち方に関する考え方は、政治的な主張や立場が違う方でも、読み価値はあると思います。