異世界誕生 2006
「なにせクソ・オブ・ザ・クソだからな。まずジャンルが悪い。今どきファンタジー小説なんてあり得ないだろ」2006年、春。小学六年の嶋田チカは、昨年トラックにはねられて死んだ...
異世界誕生 2006
12/26まで通常605円
税込 61 円 0pt商品説明
「なにせクソ・オブ・ザ・クソだからな。まずジャンルが悪い。今どきファンタジー小説なんてあり得ないだろ」2006年、春。小学六年の嶋田チカは、昨年トラックにはねられて死んだ兄・タカシの分まで夕飯を用意する母のフミエにうんざりしていた。たいていのことは我慢できたチカだが、最近始まった母の趣味には心底困っている。フミエはPCをたどたどしく操作し、タカシの遺したプロットを元に小説を書いていた。タカシが異世界に転生し、現世での知識を武器に魔王に立ち向かうファンタジー小説だ。執筆をやめさせたいチカは、兄をはねた元運転手の片山に相談する。しかし片山はフミエの小説に魅了され、チカにある提案をする――。どことなく空虚な時代、しかし、熱い時代。混沌極めるネットの海に、愛が、罪が、想いが寄り集まって、“異世界”が産声を上げる。
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異世界アンチテーゼのその先へ
2019/12/08 17:27
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Caris - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレなしでこの物語を一言で表すとしたら、「これまでの時代の反省と、これからの時代を生き延びる為に必要な一冊」でしょうか。
一度でも小説を書いた事があるなら、「あるある~」と共感する事間違いなし!
さらにそこで終わる事無く、そこから飛躍して、驚きの怒涛のどんでん返し!
本作の凄い所は、様々な難しいテーマを扱っているものの、最後には上手く纏め上げられていて、読後は非常に気持ちの良い一冊となっているところです。
現実が辛くて仕方がなく、俺TUEEEのなろう系ばかり読んでいる人にはもちろん、情報化社会を生きる私たち全員の心に響くものが詰まっています。
ただし、文章力は並のライトノベルとなっておりますが(←追記。そうではなく、過度な描写などなくとも、人の心の機微は描けるのだ、という事を学ばせてくれます。)、そんなの気にならないくらいに良い内容です。
↓続編2007を読んでの追記です。
【人の醜さ、美しさをこれでもかと描いた傑作シリーズ。】
人間は、誰しも不完全で醜く、脆い生き物です。それは日常で苦労せずとも、狂気に満ち溢れたネット掲示板・Twitterを少し見渡せば分かる事です。
しかし。それでも、人には美しい瞬間があることは事実です。不完全な故の美しさ。
本シリーズは、そういう人の正負の側面が現れる瞬間をかき集め、押し込め、伊藤ヒロという確かな実力者によって綺麗にまとめられた、読む人の感情を乱す素晴らしい作品です。
今まで出会ってきた数ある作品の中でも、群を抜いて優れた傑作であると、少なくとも私は断言する事が出来ます。
いじめ、ネット炎上、引きこもり、自殺、落ちこぼれ、創作、物語とは。
このどれかに引っ掛かったのならば、絶対に読んでください。
また、少し域は狭くなりますが、物語の作り手を目指す方にとっても、素晴らしいメッセージが込められています。
ライトノベルというジャンルの可能性を感じさせてくれる作品でした。
ライトノベル読者層だけでなく、一般の人にも届いてほしいと思えるような、強い力をもった傑作です。
星の数ほどもある作品の中から、この『異世界誕生』に出会う事が出来たあなた。これも何かの縁です。是非読んでみてください。
正直、(伊藤先生が続編を書けるのなら)二作で終わらせるのは勿体ないと思います。
2019年11月現在では続編が刊行される予定はないという事ですが……勿体ない。
『異世界誕生 2008』が刊行され、さらには世の中に知れ渡り、多くの人の心を豊かにしてほしい。この作品には、そういう強い想いが込められています。
そして、世の中が少しでも良い方向に向かせてほしい。
……そんな未来が来る事を、心から願って止みません。