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身に覚えのない罪を着せられてニューヨーク市警を追われたジョー・オリヴァー。十数年後、私立探偵となった彼は、警察官を射殺した罪で死刑を宣告された黒人ジャーナリストの無実を証明してほしいと依頼される。時を同じくして、彼自身の冤罪について、真相を告白する手紙が届いた。ふたつの事件を調べはじめたオリヴァーは、奇矯な元凶悪犯メルカルトを相棒としてニューヨークの暗部へとわけいっていくが。心身ともに傷を負った彼は、正義をもって闘いつづける―。
「ブルー・ドレスの女」という題名は記憶があるが、残念ながら未読。確か映画化されたはず。
題名も、表紙も、そして帯の惹句もいい感じだったのだが。登場人物の出入りが激しくて、よくわからなくなってしまったのは、読み手の責任ですね。この手の私立探偵小説が普通に読めた時代が懐かしいです。
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久しぶりの一人称の探偵小説。
場面場面が気持ちいい。
ハードボイルドのテンプレを押さえているように思える。
それにしても登場人物多すぎ。翻訳物ばかり読んでいるけれど今回は難渋した。
巻頭の登場人物欄をもっと充実してください。
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身に覚えのない罪で警察をクビになり現在は探偵として生きるジョー。ある事件を追うなかで自分の過去とのつながりを見つける。ハードボイルドの王道のような、でもそれだけではなく今の空気もあって面白い。とても読み心地がよくてずっと読んでいたかった。
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二つの事件が並行して解き進められていく話。久々に翻訳もののミステリ読んだ!という充実感があります。
とはいえ、関係者が結構多くて「あれ?この人前に確か名前出てきたけど何だっけ・・・??」と戻りながら読むので時間がかかる。老化だなぁ。しかし手間暇(?)かけてもしっかり把握したくなったのだから物語に引き込まれたのでしょう。当初考えていた大団円とは違ったけれど痛快なラストで読後感がよかったです。
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国産ミステリーの犯罪のほとんどが、極めて個人的な犯罪を扱うのに比して、世界の賞を獲るような作品は必ずと言っていいほど、国家レベルの犯罪、あるいは政府機関の犯罪、もしくは制度の生み出す社会悪が生み出す犯罪を描くものが多い。単なる謎解き小説にとどまらず、犯罪を小説の題材として描くことで、何らかの社会的メッセージを描くもの、そうではなくても高位なレベルで行われる犯罪に、個人として立ち向かわねばならない状況を小説の背骨に据えているものが多いと思う。
国産小説にそれが皆無とは言えないけれど、あくまでそうした部類の読み物とは一線を画し面白さだけを追求して、家族や男女間の愛憎のもつれ、ちっぽけな利権の殺意などを題材にした、後に残らないその場しのぎの作品が作家の名を忘れられないためだけに年に何冊という勢いで続々出版されてしまう。それがまた、当面の面白さやゲーム性だけを求める読者に受け入れられるという現象や、そうした図書文化のスケールの小ささにぼくはいつも愕然とする。良い小説とは、ぼくらが生きる時代や社会背景に、物語の中で密接に関わらなければいけないと思う。その時代の碑としての軌跡を残すべきものでなければならないと思う。ミステリーとしての伏線やトリックなど技法がすべてではないということだ。いわゆる小説としての成熟度。そして試されるべきはむしろ読者の成熟度であろう。
さて、本書を読んでいて思ったのは、主人公の黒人探偵の「原罪」そして「贖罪」である。それを克服しなくては生き続けることができないほどの主人公の生への枯渇である。そして彼を追い込んだのは、ちまちました犯罪ではなく、社会的問題として断罪されてもよい種類の組織悪による圧倒的権力と社会構造なのである。それも警察という名の。
こうしたことはニューヨークを舞台にしたこの作品だけではなく、多くの映画にしても小説にしても、世界の娯楽小説の軸に使われることが欧米エンターテインメントの圧倒的主流である。国の悪に対し、己の身を守る。自分のために、家族のために。そして何よりも生きる意味を問うとき、沸騰せざるを得ない己れの尊厳のために。
そう、あのウォルター・モズリイが約30年ぶりに帰って来たのである。色のついたタイトルのイージー・ローリンズを主役とする戦後1940年代のLAを舞台にしたシリーズではなく、現代のニューヨークで。P287に、作者がしかけたオマージュには、モズリイ・ファンとしてはにやりとしてしまう。そしてイージーとは異なる現代のNYならではの生活スタイル、時代や場所が変わっても一向に変わらぬ男たちの持つべき尊厳と生き様。イージーの無法で無謀でコントロール不能な相棒マウスを覚えているだろうか? 彼を想起させる、強烈にアウトローなイメージを噴出させる重要助っ人メルの存在もがある。時代は変われど、ハードボイルドにはアウトローも欠かせない存在である。
新主人公の課せられた宿命や不運、それを乗り越える一途さや、周辺人物の魅力的な個性がものを言い、火を噴く怒りをどう収めるのか? この許されざる強烈な悪党どもを、どうやってぶちのめすことがで���るのか? 不安と緊張の中にも期待がうずく緊張の各ぺージ。
ハードボイルドとは、時代を変えては、その時代を映す鏡になり得る。面白さの中に、驚くほどの時代描写・社会への嗅覚が見られる事実と、そこへの参画意識、そして何よりも闘志というところにこそ、ハードボイルドのコアな部分が潜んでいるように思う。是非そんなポイントをこの作品の中に捜し当てて頂き、現代の小説というものの可能性に、改めてご注目願いたい。
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今のこの国のように、役人や警察が民衆のために働くのでなく、自分たちの利権を守るために働くのが当たり前になってくると、頭の切れる警官なら自分が正規のルールに従って動くことが自分の所属する集団の中にいる他の者の目にどう映るか、だいたい分かるだろう。法や正義を盾にとって、いつか自分に害を及ぼすことになるだろう相手に、本心を明かすことはなくなり、遠巻きにして眺め、警戒するに決まっている。
独善的でなく、周囲に気を配れるだけの器量さえあれば、腐った林檎でいっぱいの箱の中に入っていたら、自分だけいい匂いをさせているのがどれだけ危ういことか気づけるはずだ。ところが、自分の腕に自信があり、周囲の助けを借りることなどちらりとでも考えたことのない男には、それが分からない。張り切って仕事をすればするほど、お偉方の足元をすくうことになっていることに。
ジョー・キング・オリヴァーは十年以上前に、罠にかかった。その頃は自分の性衝動を抑制することができず、逮捕に向かった相手の色香に負けて、情を交わしてしまったのだ。強姦罪で訴えられた夫に、妻は怒りのあまり保釈金を払うことを拒否。檻の中で刑事がどんな目に遭うかはよく知っている。殴られ、顔を切られ、小便をかけられても、看守は何もしてくれない。親友の刑事が手を回し、隔離棟に移されたが、八十日余りそこで過ごすうちに元刑事は犯罪者へと変貌した。
一度失ってしまった誇りや気概はなかなか戻ってこなかった。十年余りを無気力に過ごしたある日、探偵事務所に手紙が届き、その翌日若い女が捜査の依頼をするために訪れるまでは。手紙の差し出し主はかつて自分を陥れたあの女で、過去を悔い、いつでも証言台に立つと告げていた。電話すると麻薬所持で逮捕され、釈放する代わりにジョーをハニー・トラップにかけるようにコルテスという刑事に指示されたと語った。
ウィラという女は弁護士だった。刑事殺しの罪で死刑囚となった活動家のフリー・マンの弁護をする弁護士ブラウンのもとで働いていた。彼女はブラウンが急に態度を翻し、熱が冷めたことにいら立ち、調査を依頼しに来たのだ。マンは少年少女が性奴隷として働かされている組織の壊滅を目指して活動していた。ウィラはそういうマンに心惹かれていた。ジョーは、警察が一枚噛んでいることに、自分の事件との共通点を認め、事件を引きうける。
自分を陥れた刑事を突き止め、復讐し、名誉を回復して復職するための行動と、マンの刑事殺しの事実を暴くための行動が、同時進行で綴られる。話は錯綜し、次から次へと芋づる式に新しい登場人物や手がかりが現れる。十年前とちがうのは、一人で行動しようとしなくなったことだ。警察内部に敵がいるので、親友のグラッドストーンの手を借りるわけにはいかない。しかし、探りを入れたら、敵はすでに動き出していた。独りで立ち向かうには危険すぎる。
ジョーが頼ることにしたのは元凶悪犯で、今は時計の修理屋をやっているメルカルトだった。以前、銀行強盗の従犯で逮捕した際、メルが仲間を売ったと偽証するよう検事に促されたが、ジョーは肯んじなかった。その結果何年か冷や飯を食���された。メルカルトは、そのことを恩義に感じていて、何かあったらいつでも声をかけてくれ、と事務所に来たことがあった。今は足を洗ってはいるが、裏の世界に顔が利き、荒っぽい仕事も平気でやってのける頼りになる男だ。
メルカルトの登場により、謎解き主体かと思っていた物語は少し趣きを変え、ノワール色が濃くなる。私立探偵の調査は関係者の話を聞いて、事実を明るみに出してゆくことだが、元凶悪犯のやり方はかなり荒っぽい、自分のアジトである南北戦争当時、逃亡奴隷を逃がすために作られた地下鉄道の駅舎に拉致し、拷問によって吐かせる。片脚を撃たれて、次は左手を撃つと脅されたら、大抵の者はしゃべるに決まっている。
ジョーがはめられたのは埠頭でヘロインの売買をやっていた男とコルテスという刑事が組んでいたからだ。ジョーはその男を逮捕する寸前だった。それで罠にかけられたのだ。しかし、当時の証拠はすべて破棄され、関係者は今ではニューヨーク市や警察の幹部級だ。私立探偵一人を闇に葬ることなど簡単にやってのける。自分の復職は叶わない。マンは相手に狙われ撃ち返しただけだったが、それを裏付ける証拠はなく、判決を覆すことはできない。
八方塞がりの局面を転回するのは、やはりメルカルトだった。あっと驚く方法で一件は幕を引くことになるのだが、通常のノワールやクライム・ノヴェルの解決手段ではない。ここまで読んできた者としては快哉を叫ぶ気持ちにはなれない。主人公はこれで溜飲が下がるのだろうか。いくら社会が腐っているからといって、自分の生き方をそれに合わせる必要はない。何かもっと別の方法はなかったのだろうか。ああ、もやもやする。ただ、読み物としては面白く、リーダビリティの高さは保証する。チャンドラリアンには向かないだけだ。
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読み進めずにはいられないんだけど、登場人物が多すぎて途中で何が何だか訳が分からなくなってくる、けどなんか面白い。なんだこれは?
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すこぶる情けないハニートラップにまんまと掛かり、警官からレイプ犯たる囚人に落ちぶれた末、服役後に私立探偵へ。そんな男が、実はかつて警官時代に捕まえた極悪犯からは全幅の信頼を置かれ、多情多感な年ごろの娘からはそこらの父親にはとうてい叶わない尊敬と愛情を得ている。展開としては、探偵として依頼された事件と、かつて自分自身が陥った事件の冤罪を並行して晴らすというもので単純なれど、なにせ登場人物が多くて整理しきれない。最後は、ミッションインポッシブルのごとき救出作戦を成功させるが、あれで安心円満解決といえるのだろうか?そんな甘い相手じゃないと思うんだけど。
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主人公のオリヴァーはニューヨーク市警の刑事として鳴らしていたが、ハニートラップに簡単に引っかかりレイプ犯扱いされ、妻に見捨てられ警察をクビになり、いまは私立探偵をしている。娘だけを生きがいとして生きてきたが、そこにハニートラップを仕掛けた女性から手紙が届く…直後別のもう一人の女性から黒人ジャーナリストの無実を証明して欲しいと依頼がある。オリヴァーは2つの事件に繋がりはないが共通点を見つけ、自分の無実を晴らすためにも同時に調査を進めることにする。
出てくる登場人物が個性的で良いのだが、多過ぎて誰だ誰やら分からなくなりかけ混乱する。その中でも群を抜いて魅力的なのは元凶悪犯で主人公の相棒になるメル。メルの存在こそがオリヴァーを良人とし、いろんな意味で救っている気がする。
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身に覚えのない罪っていうのがハニトラで家庭も壊れてムショに拘置されて殺されそうになって、それから私立探偵になったけど無気力な生活をしている。
そこからの起死回生の話し。まあ黒幕は早々に推測できたし、登場人物が矢鱈と多くて途中何が何だかよくわからなくなった。
悪漢メルと組んで仕事をやり遂げてハッピーなエンドを迎えたのは良かった。
しかし題名と内容が全然合ってない。なんか旅ものとか逃避行な物語かなと思っていたよ。
作品紹介・あらすじ--------
身に覚えのない罪を着せられて、ニューヨーク市警を馘になった刑事。十年後、私立探偵となった彼は、かつての自分と同じように冤罪で苦しむジャーナリストの事件を引き受ける。一方、自身の事件についても新たな事実が浮上し……エドガー賞受賞の傑作ミステリ
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・1週間後の深夜読書会の課題本。ミステリーは苦手なんだけど装丁、タイトルいいな。読めるかな。
・主人公は黒人のもと警察官。ニューヨークが舞台。車はビアンキーナというくすんだ褐色のイタリア車。別れた奥さんと娘がいる。セロニアス・モンクをきく。
・140
見張られてる者を見張っている見張りを見張っている。メル。
ティッシュ配りもそーなんか
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敵がいったい誰なのか?この手の小説を読むとき普通はそこを意識していると思う。ただ、その謎の敵がわからないまま次から次へと登場人物がふえるため、私には少し読みにくかった。端役が多すぎるというか、名前がなくてもいい登場人物が多かったという感じかな。
アメリカの探偵小説を読み慣れている人向きかもしれない。
後、エンディングは、好みではなかった。Sキングに似たような結末があるが、読後感は、キングの方がぜったい良い。
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あの「ブルードレスの女」作者の久々の邦訳ということで、書評家の評価も高く期待して読み始める。主人公がニューヨーク市警を追われた経緯や刑務所での悪夢のような経験など、導入は魅力的。登場人物が個性的に描かれてはいるものの、次から次へと現れては一旦消える(もちろん後で再登場)ので、冒頭の登場人物一覧に戻ること数度、しかしそれでも思い出せずに本文から登場箇所を探すことも幾度…。途中でやめなかったのは、気の利いたラストに期待したから。それには応えてくれたかな。
最近わかりやすい筋立てのミステリーや、ドラマTHE Wireとかの見過ぎで、複雑な物語を楽しめなくなっているのか?と自分が心配になる。
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嫌いなアメリカノワールものだったが、広いものの面白みが味わえた。
ハヤカワミステリの王道を行くような流れ、展開、そして警察という巨大組織の悪を自らの孤軍奮闘ともいうべき砕身で戦う黒人探偵。
筆者Wモズリーはペンを30年も寝かせていたのである・・尤も握っては居たろうが。
2019、満を持して❓描いた世界は!
とは言え、ただならぬ彼・・背後を支えるのは犯罪人ばかり、そしてメガトン旧売春婦など。
この5月、ミネソタ州で起きたあの事件・・J・フロイドさんの死・・いや殺人。
モズリーが描く世界、そして黒人刑事(アフリカ系黒人とロシア系白人の間に生まれた彼)が今、この時代でも尚更根深く巣食う黒人へのいわれなき差別、警察という名のもとに堂々と行われている圧倒的権力と巨大な社会構造という名の組織悪なのである。
小気味よい、テンポの訳文は一世代前を思い出させる。
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びっくりするほどハードボイルドだ。
読んでいると、80年代が舞台かと思うようなハードボイルドものだが、i-padなんかが出てきて現代に引き戻される。
複数の事件が主人公を軸に複雑に交差するため、ストーリーを見失うこともあったが、少し前のページに帰りながらも面白く読めた。現代ニューヨークの人種間の感度や、暴力の匂い、組織犯罪の影がうまく書かれており、また、ハードボイルド小説の魅力である、主人公の骨太な矜持が魅力的な小説だ。