古関裕而の昭和史 国民を背負った作曲家
著者 辻田真佐憲
軍歌から「六甲おろし」「オリンピック・マーチ」まで、日本人の欲望に答え続けたヒットメーカー。連続テレビ小説「エール」のモデルになった80年の生涯。軍歌「露営の歌」、早稲田...
古関裕而の昭和史 国民を背負った作曲家
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商品説明
軍歌から「六甲おろし」「オリンピック・マーチ」まで、日本人の欲望に答え続けたヒットメーカー。
連続テレビ小説「エール」のモデルになった80年の生涯。
軍歌「露営の歌」、早稲田大学の応援歌「紺碧の空」、夏の甲子園のテーマ「栄冠は君に輝く」、「とんがり帽子」「長崎の鐘」
……。昭和という時代に日本人が求めた曲を作り続けた作曲家・古関裕而。
クラシックの作曲家を目指すも挫折し、
戦時中は軍歌でヒット曲を連発。
軍歌の帝王と称された前半生。
終戦後は一転してドラマや映画音楽から
社歌や自衛隊の歌まで作曲するなど
常に大衆音楽の担い手であった。
NHK朝の連続テレビ小説「エール」のモデルとなった
日本を代表する作曲家の80年の生涯を
新しい資料と丹念な取材で読み解いた一冊。
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あの歌もこの歌も、古関裕而の歌ばかり
2020/06/04 15:59
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
2020年上半期のNHKの朝の連続テレビ小説(通称朝ドラ)「エール」のモデルということで話題となったている作曲家古関裕而の生涯を昭和史に添って描いたこの作品の「あとがき」の書き出しはいささか刺激的だ。
「古関裕而は、今日かならずしも有名な作曲家ではない。」
しかし、この印象は少なからずある。
国民栄誉賞を授賞した古賀政男や服部良一はその名前が先に来るが、古関の場合、彼の名前よりも彼が作曲した歌の方が先に来る。
早稲田大学の応援歌「紺碧の空」、阪神タイガースの応援歌「六甲おろし」、怪獣映画「モスラ」で歌われた「モスラの歌」など。
古関が作った楽曲は5000曲を超えるそうだ。そのうち、どれだけ古関が作った歌だとわかって私たちは歌っているだろうか。
古関は1909年8月福島県福島市に生まれた。
東北人の特長でもあるが、福島の人もあまり自分を表立って表現しない。
古関と彼が作った歌との関係を見ていると、福島の人の気質を見ているようで面白い。
それでいて、彼には「なりたい、なりたいと希望し続けること」、そんな強い意志も持っていたと著者は書く。
そんな強さも福島の人の良さのような気がする。
そして、この評伝が「昭和史」と付けられているように、古関の作曲家人生が実に昭和とリンクする。
軍歌で国民と寄り添い、社歌や校歌で国民を鼓舞し、それらをたどると見事に昭和の年表と重なるような思える。
まさに著者が最後に綴った、「昭和は古関裕而の時代であった」のは間違いない。