当事者からの言葉
2022/08/26 22:47
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぱんだ - この投稿者のレビュー一覧を見る
出てきた事例の運動について、強烈な運動だなぁと感じながらも、やっぱりそこまで当事者が行動しないと社会が変わらない、変わらなかったのだろうなと思った。
先日、路線バスに乗っていたとき、車椅子ユーザーの乗客の方がバス停で待っていたら運転手の方が業務としてさっと車椅子の方を乗せて、車椅子を固定し、「お待たせしました。」と、運転しているのを見た。今では普通の光景だが、それに至るまでのことを本で知り、何とも言えない気持ちになった。
可哀想って思う事自体が強者の感情なのかもしれない。
選挙ですら、もしかしたら障害者の投票について公平な機会を奪ってはいないか考えさせられた。
投稿元:
レビューを見る
障害者、特に脳性まひの青い芝の会という団体が戦後、何のために、どういう行動を起こし、それが現代にどのようにつながっているのか、解説している本だ。
新書で専門用語も使っていないので読みやすい
投稿元:
レビューを見る
差別について考える時、いつも浮かぶ私の実体験がある。
昔、3歳の娘と手を繋いで歩いていた時、向かいから黒人の方が歩いて来てすれ違った。娘は明らかに顔をしかめて通りすがり際にその方を避けて、ウェッ だったか なんだったか 侮辱的な反応をした。
私は ただただ ビックリして 落ち着いて娘と話ができる場所で先ほどの行為がどれだけいけない事なのか 混乱しながらも一生懸命幼い彼女に説明した。
3歳の娘はテレビ以外で見る初めての黒人が奇異に感じて反射的にそういった反応をしてしまったんだろう。「知らない」という事の恐ろしさ。そこから始まる差別的感情についてずっと考えていた。多くの差別は無知から始まっていると思う。障害者について考える時も私達は「知らない」からどう対応したらいいか分からないのだと思った。
だから、住む世界を分けるのではなく、一緒の社会でと思っていた。ただ重度障害者のリアルを知らない私が理想を発言したって浅はかでただの馬鹿だ。
紹介されている「しののめ」の詩に胸が詰まる。
これぞ障害者のリアルな感情だと思った。健全者だって心を痛め人生がままならないことがあるけれど、やはり経験体験実感できない感情だ。そこにどうしても大きな深い分断がある。私はあなたに決してなれない。
私達は対立する。しかし対立は、暴力を伴わなければ決して悪いことではない。違いと分断を自覚と理解をしながら対立して主張し合っていく事ではないかと思った。私も女という性というだけで実社会ではまだまだマイノリティだが、弱者側が大人しく我慢し続けた事で今の世の中がある。将来の子ども達の未来の為にきちんと主張し合っていく事が大事だと切に思っている。
投稿元:
レビューを見る
障害を持つ親族に囲まれて育ったため、半ば義務のように読み始めた。
障害者差別を中心に扱った本を読んだのは初めてだったが、入門書としてよかったと感じる。
差別に対して当事者がどう捉え、抗議してきたのか整理することができるし、本書で引用される彼らの言葉を知ることで、私自身も今まで言葉にできなかった違和感を自覚することができた。
読んで良かったと思う。
投稿元:
レビューを見る
1957年に結成された脳性マヒ者たちの団体「青い芝の会」が障害者差別に対して打ち出した行動綱領「われらかく行動する」は1970年に発表されたが、当時としては非常に先進的なものだったことを本書は証明するものだ.障害者自身の人権を彼ら自身が考えている.健全者との対比で、障害者を次のように定義している."改善されるべき社会構造が障害となって社会参加を阻まれている人たち、そうした障害に直面している人たち" 「行動綱領」を今一度かみしめて見るべきだと感じた.
投稿元:
レビューを見る
なんかの学術書で引用されていたか話題にされていたので購入.まだ読み始めたばかりなので感想はその後で.
投稿元:
レビューを見る
仮にマジョリティとは誰かについて、私なりに説明すれば、それは「葛藤を伴うことなく、自分のことを『大きい主語』でかたれる人』となるでしょう。つまり、「日本人」「社会」等々といった言葉で自分を指し示すことに違和感を覚えず、また他人からの異議申し立てを受けずに済む人のことです。
投稿元:
レビューを見る
タイトルと内容が、かけ離れていると思うが面白かった。著者の思惑が問題を『博愛主義に基づいた道徳と、ふんわりさせて棚ざらし』から『生存の為のゲリラ戦と認識して直視する』であるならば、かなりの策士だなぁ。いずれにせよ、『安楽死,尊厳死』『女性の権利』といったキーワードに反応するなら、一読しておいても損はないかなぁ。
投稿元:
レビューを見る
☑︎障害と無縁でいられる人など存在しない
☑︎ 「生きる意味」の証明作業を要求することは暴力的な行為
☑︎「自分には何ができるのか」を「自分」を主語にして考える
障害者差別という複雑で難しい問題について考えを深めることができました!
投稿元:
レビューを見る
日本の障害者運動をポイントを絞って振り返ることができる良書だ。また、70年代当時から指摘されてきた労働という概念、人間の定義を組み換えようとした運動は未だ達成されず、危うくは過去の過ちを繰り返す、これまで積み上げてきたものぶっ壊してしまう危機を伝えている。自分自身から変えていくことの必要性を痛感する。
投稿元:
レビューを見る
※このレビューでは「障害」を「社会構造の側にある問題」と捉える考え方に沿い、「障害者」という表記をしています。
昨今の社会的なトピックを目にするうちに個人的に学ぶ必要性を感じたことがあり手に取った本。
障害者差別を問い直す、というタイトルだけれど、この本では「日本脳性マヒ者協会 青い芝の会」の活動が中心となっている。
どれだけ差別問題に関心がある「つもり」で、自分は差別に加担しないように心がけている「つもり」でいても、彼らの語る「健全者」としてこれまでの人生を過ごしてきた私は、これまで無自覚に彼らに向けていた眼差しを彼ら自身の言葉によって自覚させられ突き返される。彼らの眼差しによって自分自身が障害者差別の当事者なのだと思い知らされる。背筋がひやりとする。「健全者」とは〈マイノリティの側からレッテルを貼り返すための言葉〉とは実に的確な表現だと思う…。
正直彼らの活動や発言の全てに賛同することは難しい(特にジェンダー観と生殖に対する意識のあたりには全く同意しない)。けれど彼らの活動がなければ変わらなかったものも多かろうと思う。主張の根底にあるものは理解できる、という部分についても、そこまで極端な言葉、強硬な手段に訴えることはないじゃないかと思ってしまう面がある。ただそれはトーンポリシングにあたるのかも知れなくて、彼らだけの問題ではなく、そこまでさせた社会の側の問題とも言える。それでもなおやり方……という感情がつきまとう。難しい。
一度目を通しただけでは明確に言葉にしてまとめられる気がしないので、マーカーを引いた場所から幾つか抜粋して並べておく。
・「マイノリティ」「マジョリティ」とは、その社会や共同体への帰属意識と違和感の濃淡の差を示す言葉
・「マジョリティ」とは「葛藤を伴うことなく、自分のことを『大きい主語』で語れる人」
・「マジョリティ」は、自分自身の価値観や考え方といった「個人的な見解」を「大きな主語」に溶かし込むことができてしまう。そうすることで、あたかも「一般的な見解」であるかのように語ることができる
↑上記3項はあらゆる差別に対して言えることだなと。
・障害者への「優しさ」や「思いやり」といった感情それ自体が「差別」
・あるいはこうした感情が「差別」を助長したり見えにくくしたりする
・青い芝の会は障害のある人とない人とが「仲良くする」「互いにわかり合う」といった考え方も拒絶した
・現状の社会において、両者の関係性が決して対等なものでない以上、障害者の側に「わかってもらうように努力すべき」「歩み寄って仲良くしてもらうために我慢すべき」といった圧力がかかることが明白だから
↑同時期に読んだ「いのちを選ばないで」の中に知的障害を持つ方に対する支援について「哀れみの政策ではなく彼らが生まれながらにして持っている人格発達の権利を徹底的に保障しなければならない(要約)」という言葉があって、通ずる部分があるなと思った。
(本書の中にも〈恩恵を施す慈善的態度〉を批判するくだりがある)
・誰かに対し、「生きる意味」の証明作業を求めたり、そうした努力を課すこと自体、深刻な暴力である
・割り切れない事情を力任せに割り切って「解決」させるような発想は、弱い立場の人に我慢や沈黙を強いたり、そうした「解決」に馴染めない人たちを排除したりする方向へと進みかねない
↑差別が根強く残る現代社会を生きる当事者として、強く意識したい言葉
立ち返って序章から
・私たちの社会は「障害者差別」を「解消」することを法律として掲げた
・議論し続けることを社会の約束事として共有した
現代を生きるひとりひとりが当事者として考え、議論し続けるしかないのだと思う。その手がかりとして考えるヒントが本書には多くちりばめられている。
投稿元:
レビューを見る
一言で言うとめちゃめちゃ考えさせられる本です。
健常者の意見を聞いたあとに反発した障がい者の意見を聞くと納得する反面、頭がぐちゃぐちゃになります。
あとがきで作者が述べていましたが、この本に障がい者差別にどう対応していくべきなのか答えは無いので結局自分で考えなければならない問題になります。
正直しんどいです。3日くらいこの問題について考えふけってしまいそう。
このような障がい者差別等の問題は様々な視点からの意見があり、一概に自分の個人的な意見や感想をこの場で安易に発言することはできないので興味ある人は是非ご自身で読んで欲しいと思います。
投稿元:
レビューを見る
正直バスの問題では、過激だなぁ…とばかり思ってしまったが、「過激にならざるをえない」という社会の実際がある。「他人が他人を決めつけてはならない」当たり前のことなのに、守られない。
障害者、ほかマイノリティに向ける「優しさ・愛情」自体が差別感情であることが、広く認識されるといいと思う。
投稿元:
レビューを見る
自分の中の差別を痛快に指摘されました。
生きる意味の証明、障害児を殺してしまう親への批判、愛と正義の否定を書いた行動網領の趣旨、とても新鮮であり、特に青い芝の会の弁論は昔のものであるはずなのに新鮮で現代の世論はそれを議論するのに追いつけてないと私は思っているので残念に感じました。
車椅子の優先利用や名古屋城のエレベーターをつけるかつけないかで揉めてますがこの本を読んでから議論のスタートラインに立てる気がします。
投稿元:
レビューを見る
自分の家族の中での差別をも表に出して訴えたり、親による障害のある子の子殺しに対する減刑を求める動きに反対運動を行ったり、過激と見られるほどの主義主張を繰り返す著者の障害者当事者活動に、圧倒させられましたが、そこまでしないと現状は変わらないという事実がある以上、声高にならざるを得ないのだと感じました。
「バス闘争」のように、バスで脳性マヒ者を見かけたら、自然に手を差し伸べられて、介護者の役割を果たせる自分でありたいと思いました。